うっかり者のサンタクロース(卅と一夜の短篇第14回)
ある夜、ふと覗いた窓に赤い服を着てブーツを履いた白ひげの男。洋風建築の向かいの家の屋根で煙突に足をかけている。
あの赤い三角帽子と白い袋はまさか……私は驚き、携帯電話に手を伸ばす。
翌日、向かいの家の前にはテレビカメラとリポーター。
「近所の方からの電話で外を見たら、サンタクロースがうちの屋根に」
LIVEと書かれたテレビ画面に映るのは向かいの奥さんだ。
「まさか夏にサンタの格好で泥棒に入ろうなんて、ねえ」
捕まった男は、煙突を見てこれならいけると思った、と供述しているとのことです。