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第1章 異世界神隠し

初めまして 。

この度、このサイトでお世話になることになりました、杏子と申します … !


Twitterにて創作活動を前々からしていたのですが

今回この小説シリーズをこちらで連載しようと思い投稿させていただくことになりました 。

@anzu_0903にて活動しております。

Twitterでは霜月さんにイラストを描いてもらっているので

是非機会があれば覗きに来てくださいね 。



こちらの小説は2週間に1章ずつ

投稿していこうかと思ってます 。


読んでいただけたら嬉しく思います 。

よろしくお願い致します !

1 異世界神隠し





 周りが寝静まっている夜一時、青年が一人公園にたたずんでいた。勿論、公園には誰も居ない。青年は公園に誰も居ないことを確認した途端、勢いよく走り出し池に飛び込んだ。



     ◎         ◎




「げほっ 死ぬかと思った…」

青年が池から顔を上げると景色は一変。まるでそこは昼間のように明るい商店街のようだった。



「ごほっ…こっちの世界に来るのに池に飛び込む以外の方法ないのかよ・・・こんなの続けてたら死んじまうっての」

青年はボソボソと愚痴をこぼしながら商店街を登って行き、ひときわ目立つ看板の【キセツ】と書かれたバーの前で足を止めた。


 チリン チリンッ


ドアを開ければ青年は周りを気にすることなく一番端の席まで足早に歩きに静かに座った。


「おい、今日は何の用だ狐ババア」


カウンターの向こうには二十代後半くらいの尻尾をはやした女性が立っている。

「口の利き方に気おつけなよクソガキ。妾はまだ若いんだから。」

「若かろうがババアだろうがしったこっちゃねぇよ。で、ツムギ。俺を呼んだ理由は?」

ツムギと呼ばれた女性は青年の前にグラスと一緒に紙切れを置いた。

まるでこの場でそのことは〈口に出せない〉とでも言うように。

青年は紙切れを広げ読み始めるとだんだんと顔が険しくなっていった。

読み終えると青年は紙切れをカウンターに置けば肘をつき小さく「神隠し…か。」と呟いた。


【神隠しとは、

人間界ではよく子供がいなくなると神隠し、つまり神に子供を隠されたという風に言われるがそれは違う。犯人は、大別して狐、天狗、鬼に分けられる。山姥なども鬼に近い。天狗は主に少年、狐は若い男、鬼は若い女を攫っていたという。】


つまりこっちの世界、妖、妖怪などが住むこの世界では人を攫う奴らが神隠しなど起こすはずがないのだ。






     ☆        ☆






 妾は、あの名のないあいつをクロウと呼んでいる。

あいつは初めてあった人にそれぞれ名をつけてもらってるらしい。

全くあいつはどうやってつけられた名を全て覚えているのやら。

妾があいつと出会ったのは五年前、まだあいつが十四か十五くらいのことだった。

記憶をなくし住む家も食べるものもないあいつを拾い住む家をくれてやる代わりに様々な依頼をこなしてもらうようになった。

そして今、あいつに渡したのは一つの事件の紙切れだ。

ここから東に行ったところにある里で定期的に誰かが消えるらしい。

奇妙なことに男女関係なく彼らに接点はないらしい。


「どうだい?この依頼受けてくれる?」

「…珍しな。いつもなら俺に選択肢なんざねぇのに」


紙切れをテーブルに置き何か疑うような眼でこっちをみてくる。


「何もないよ。ただなんか嫌な予感がするのさ、だから無理して依頼をしないでもらいたくてね。」


らしくないことを言った自覚はあるが本当に心配だったのだ。


「…らしくないこと言うなよ気持ちわりぃ」

そういうと、あいつは席を立ち部屋の向こうへ消えていった。


「らしくない、か」

いつからか妾は親みたいに心配性になっているみたいだ。だが気持ち悪いはないだろ…、私はそんなことを思いながらあいつの背中を見つめていた。






     ☆           ☆






 「神隠しねぇ…」

俺は久しぶりに自室に入りベッドに寝転がった。

さっき渡された紙切れを見つめながら明日からの行動を考える。

「…とりあえず東の里に行ってみるのが得策か。」

独り言を呟きながらベッドから降りバックに必要な荷物を詰め込んでいく。


昨日までは人間界に住む座敷童の由実に呼ばれ旅館に纏わりつく人間の地縛霊を鎮める作業をしていた。どうも由実の座敷童としての仕事に支障が出たらしく急ぎで事を済ませた。

俺は特別強いわけでもなく、でも決して弱いわけではない…と思っている。



 俺は最初ツムギに拾われて適当に何かしてたら記憶なんて簡単に戻ると思っていた。

でも俺はまだ何も思い出していない。名前も故郷も何もかも思い出せないままだ。

でも何故か今回の神隠しの事件が終われば何か思い出す気がする。ただの感でしかないのだが何かがある気がして仕方がない。



「…気にしても仕方ねぇか。」


そして俺はそのままベッドに入り眠りについた。







    ○         ○







『ねぇどこ行くの?ミコトを置いてどこに行くの?』


一人の少女の声が聞こえる。

夢だろうか。完全には聞き取れないが自分に話しかけられていることだけは分かる。

ミコトとは誰なのか今の俺には聞いたこともない名だ。だが声を聴く限り女の子なんだろう。


「…おまえは…誰だ?俺のことを知っているのか?」


恐る恐る声をかけたが返事はなかなかない。


『………何言ってるの?ミコトのこと忘れちゃったの?ねぇ、*¥&$#……』


聞き取れない、重要な俺の名が聞き出せない。


「なぁ、もう一度言ってくれよ!俺の名は何なんだよ!!」


大声で叫ぶと急に視界が揺らぎそのまま俺の意識は再びなくなった。

意識が飛ぶ寸前に見たのは湖に映る幼い自分の姿だった。






       ○          ○







朝、いつもに増して良い目覚めではなかった。起きてからもボーっと天井を見ながら昨日見た夢を思い出す。


「……ミコト。」


なぜか懐かしく感じてしまう。彼女はいったい何者なのか、そして俺自身どういう存在だったのか。思い出したくても、やはり思い出せない。



「あああああああ、もうウジウジしてても何も始まらねぇ。この神隠しを終わらせてやる。」


俺は昨晩用意したバックを持ちツムギに借りている自室を出た。


バーに出れば案の定誰もおらずみんな寝てるようだ。

普段俺が座っているカウンターに近づくと袋とメモが置いてあった。


《これ持っていきな。定期的に連絡よこしなよ。これでもあんたを拾った身として心配してるんだから。   ツムギ》


カウンターの上には俺の好物のパインの飴の入った袋が置かれていた。


「母親気取りかよ…」


でも何故か嬉しく思ってしまう自分がいた。


飴をバックに詰め込めば俺は足早に店を出た。

朝が早いせいかまだ外は誰もいない、まぁこの辺りはバーなど夜の店が多く朝や昼間は基本的に静かだ。

まぁ妖は昼が寝てるのが普通か。


俺がこの町に来て五年。

個性的な奴らばかりなこの町

妖界であるここは人間が来ることはないため皆人間に化けることなく住んでいる。

俺を除いて。


俺が何者なのか誰も知らない。そして俺自身も。

由実曰くいつも物騒なことが起きれば俺も化けを脱いでるらしいが毎度毎度記憶が抜ける。俺の本当の姿を見た相手も。由実を除いて。


「俺は一体何者なんだ…」



本当は記憶のなくなる前の俺をツムギは知っているのかもしれない。でも決して俺に話してはくれないだろう。

だから俺は自分で記憶を取り戻す。




歩きながら東の里についてからのことを考えた。

里の人は見知らぬ俺に神隠しについて話してくれるものなのか少し心配だ。

東の里は〔二つの楽園〕と呼ばれているらしいがその意味を知るものは一部しかいないらしい。少なくとも俺は聞いたことがない。

東の里は川や湖もあり河童や毛唱妓などが多く住んでいるらしい。


個人的には河童はともかく毛唱妓は苦手だ。あいつらの絡み方はどうも慣れない。

毛唱妓とは一度ツムギの紹介で会ったことがあるのだが少し苦手だ。

まぁあいつらの仕事上仕方のないことだとは思うのだが…。


それに東の里の情報は他の里に比べてあまりにも少なすぎて何があるか分からない。

まるで隔離された里のように。


「…あそこが東の里か、二つの楽園と呼ばれる理由と神隠しの繋がりがあるか…か。」


人間と比べると視力は桁にならないくらい良く、今見えている里もまだ数キロ先だ。

そして俺は一日かけて東の里へと行ったのだった。

この度、1章を読んで頂きありがとうございます!

次の更新は9月となりますが2章も読んで頂けたら嬉しく思います 。

今回は読者様の貴重なお時間をこの小説に下さり誠にありがとうございました 。

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