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第五話 アルバイトが欲しいにゃん 3

ついにシフトが完成します。

で、アルバイトの採用が決まった最初の日曜日。普段であれば営業日なのだが、シフトを組みたい関係があった為。バイトを全員招集をかけた。

今日店内にいるのは、母さんと俺。父さんはデミグラスソースの仕込みをしていて、孝子は新作ケーキのヒントを得にお店めぐり。太郎はシフトの打ち合わせに同席して14時前には孝子と合流するらしい。

「太郎はシフトに入れる必要ないよな?」

「基本的には、パンと焼いたり、ピザ生地作っているのが仕事だからな」

「でも、参考にしたいから、開店準備からだから一応7時でいいよな?」

「ああ。それより前にいるけどな、トラがいないうちにフロアーの掃除したいから」

「うん、それで9時ちょっと前までと午後は……だいたい4時からラストでいいの?」

「まあ、そんなもんだ。パンを焼いているか、厨房にいるかだな」

「で、僕は平日は7時~9時までと午後の授業が終わってから閉店まで。俺達はバイトと同じ待遇。太郎は調理師免許の有資格者だから店のスタッフな」

「次郎君はどこの大学なの?」

「俺は隣の国立大学の商学部。法学部の授業は後期から取得予定なので同じ大学の方はよろしく」

「それって……商学部だと普通は3年生からでしょう?単位をそれだけ取得しているの?」

「うーん、そんな所?で、来年度から俺のシフトが減るからそのつもりで」

「えっ?就職には早いだろ?」

「うん。今年度で税理士試験に必要な単位数が取得できそうだから受験しようと思って」

「次郎はそっちの方を本格的に目指すのか?」

彰さんが俺に尋ねる。

「できれば、公認会計士まで取りたいので。最初の一歩ですよ。単位じゃなくても商工会議所簿記1級ルートでも受験資格貰えるから」

「お前らしいな。で、簿記の方はどうなんだよ?」

「俺は後は去年の秋に商業簿記と会計学は受かっているんで、後は原価計算と工業簿記だけなんですよ」

「さらっと言ってるけど、次郎ってもしかして資格ゲッター?」

バイト君達がこそこそと話している。

「僕は近くの総合高校に通っていたので、取れる資格はそれなりに取ったはずです。だから危険物も持っているし、秘書検定も準1級は取れたし、英検は準1持ってますよ」

「お前……商学部ってもったいなくない?」

「そうですか?事務のスペシャリストになりたいんで理に叶ってます」

「なるほど。だから来年からはオープン準備がメインになるってことだな」

「ええ。なので、基本的には僕はこれだけメンバーがいるので、事務処理とブログの編集等に専念しようと思います。もちろん、忙しければ手伝いますけど」


それから、メンバーに母さんと俺が考えたシフト分けを見せる。

「これって、大丈夫なんですか?」

バイト達が指を差すのは黒猫ママの提案で出来た、名前に一が入っているメンバーのみの一シフトのことだ。

「ちょっと遊び心があってもいいと思うのね。メインのシフトはこれだけども、学校の都合があるだろうから、オープンからランチ終了までは後二人は入れるわ。ティータイム対応は後一人はいても平気よ。そこのところはこっちも話は聞くから安心してね」

「今の皆の授業の時間割とかを聞いて無理なく、シフト表を作ったつもりだから。空いている枠は……皆で喧嘩をしないで決めてね?」

そう言うと、母さんは厨房の奥に消えて行く。いつもの事だからそんなに気にはしていないけど……あまり朝からラブラブ過ぎるのもいろいろと困るんだよ。

それから、バイト君達は、ああでもない、こうでもないって言いながらもお昼前にようやくシフトが完成した。

「次郎、出来たよ?」

「それじゃあ、母さん呼んでくるから、まだ帰らないでね」

俺は厨房に呼びに行く。そこにはビーフシチューとグラタンとクリームコロッケと焼き立てのバゲットが並べられていた。

「次郎。もうすぐ昼だ。折角だから、ランチのビーフシチューセットを食べて貰え。ドリンクは食後で構わないだろう?」

「そうだね。ありがとう。それじゃあ運んでもらえるように頼んでくる」

俺は店舗に戻って、食事を用意したから、ランチのセットを食べてから帰って欲しいって事を伝える。

「だって、今日は休みなんじゃ……」

「そうだけど、休みじゃないと出来ない事もあるからさ。俺達は午後からフロアーのワックスをかけるんだ」

「そんな……大変なのでは?」

「トラちゃんがいるからしっかりとはやらないけど。見た目的にいいからさ」

「さあ、お昼ですよ。働いていてランチセットを食べることはあんまりないから、折角だから食べて行って」

「そうそう、普段は出来ないお替わりも2杯まではいいぞ」

「バゲットは持ち帰りたい奴には焼いてもいいぞ」

太郎も珍しい事をいう。

「本当?太郎さんのバゲット欲しいです」

真っ先に言うのは裕貴君。典型的はパン食な彼は最近は太郎のパンを買うのが日常。

「裕貴はそれとは別に焼いてやる。試作品だけどな」

「ホント?嬉しいな」

ようやく全員のランチセットが店内に届いた。誰ともなく頂きますって言い始めて、アツアツのビーフシチューに手を伸ばした。

「すっごくお肉が柔らかい」

「そうだろ?丸二日は仕込むからな。」

「俺達が食べちゃってもいいんですか?」

「元からいる子たちは進級祝い。入ったばかりの子達はこれから頑張って貰うから前祝いね。それに出している商品を知らないとランチで困ったお客さんがいたら勧められないでしょう?もうすぐ梅雨時だからこうした暖かい料理がでるのよ。このランチはスペシャルランチで数量も30食しか出さないの」

「原価が高いからですよね?」

「そうなの。不思議と常連さん達が定期的に食べて行くわ」

母さんは皆も一度はお店のメニューは食べてみてねって朗らかに言う。

「それじゃあ、食後のドリンクをオーダーいいですか?」

俺は手際よく、皆の食後のドリンクを聞いてからカウンターで作業を始める。

さっき沸かし始めたお湯は丁度いい温度になっている。まずは時間のかかる紅茶の支度。

人数が多いから、今日はティーポットにサーブしていいだろうか?その後の掃除は俺の担当なのだから問題はない。

俺が準備をしていると、窯でパンを焼いていた太郎がやってくる。

「ひと段落ついた。俺がアイスドリンクの支度をする」

「サンキュ-太郎」

俺達は手際よくオーダー通りに作り上げて皆の前に用意した。

「今日は人数が多いので、ポットから注いで下さい。今日はお替りは自由ですよ」

「次郎?ティーインストラクター取るのか?」

「予定ですよ。去年コーヒーインストラクターは取ったんで。店に入ると大輔さんとか彰さんが紅茶は入れてくれるけどいつまでもそうはいかないんで。俺が取っていれば、俺がバイトを暇な時に仕込む事が出来ます」

「お前……本当に無駄がないよなあ」

「その言葉は褒め言葉として受け取りますよ。克幸さん。」

「ねえ、次郎?これだき素敵な男の子がいるんだから、お祭り企画で執事喫茶なんてどう?」

「どうって……母さんがやりたいんだろう?」

「だめ?その間はランチはお休みにして英国式で攻めるのってどう?」

ダメって言ったって無駄に決まっている。好きにやってくれ。もう知らん」

「皆がいいって言ったらね」

「いいですよ。普段だったら切ることないですから正装って」

ちょっと待て。嫌がるとかないのか?

「彼女その日は呼んじゃおうかな。どんな顔するんだろう?」

バイトがあらぬ方向にシフトしている……ダメだ……そっちに流れては……どうにかこの流れを切りたくて思案していた俺の方を誰かが叩いた。それは父さんだった。

「諦めよう。ああなったら、祭りを楽しまないと」

「それって……とうてつのイカ様フェアみたいなもの?」

「そうそう。ファン感謝デーみたいな?トラちゃんもヘッドレストつけておめかししようね?」

俺がいつも座るカウンターにちょこんと座って俺を見ているトラちゃんに親父が話しかけると、トラちゃんがニャーンといいお返事をした。

「おっ、トラちゃんからやってもいいってお言葉が出たぞ。紬さん祭りの予算を考えないと」

「そうね。まずは籐子さんにイカ様フェアの時の仕入れ体制を聞かないと」

「……イカ様フェア?なんだそれ?」

「皆さん、ここが地元じゃないですから知らないですよね。イカは国会議員の重光先生と私設秘書さんを結び付けてくれた恋愛成就のアイテムなんですよ。だからそれにあやかってイカ様な訳です。商店街の飲食店ではイカを取り扱ったお店が本当に多いですし、魚住さんの生簀のメインはイカですよ。この町はイカを重光先生の守り神をして感謝しながら食べるんです。とうてつさんはランダムですが、今月のイカ様フェアってイベントもありますから」

「すげえ……イカ様恐るべし」

「そうですね、イカ様って住民が言っているのは知っていましたが、そんな話があったなんて……知っている住民の皆さんの諜報活動が侮れません」

大輔さんが感心している。この人は調査とか得意そうだからとっくに知っていると思ったのに。

「次郎君?何か僕に言いたい事があるの……かな?」

「いや、大輔さんなら知っているかと思ったから」

「僕のアパートはこの町じゃなくて隣町ね。だからそこまで詳しくはないよ。流石裕貴君、土地の子だね」

「えへへ」

大輔君に褒められたと思っている裕貴君は機嫌がいい。いや、そこ違うから大輔さん褒めてねえし……多分。

その後、店の掃除を手伝ってくれるバイト君達は残って僕達と一緒にワックスがけと窓ふきをしたのだった。


本日のブログ

今日は臨時休業でごめんにゃ。お店に来てくれているお客さんは知っていると思うけど、新しいアルバイト君がいっぱいいるんにゃ。みんな、あたいにも優しいし、かっこいいにゃん。それでアルバイト君皆で顔合わせて、シフト表を作ったのにゃ。

明日からは新しいシフト表を基準にアルバイト君がデビューするにゃん。

みんな……仲良くしてにゃん。

その代わりにお昼から床をワックスがけしたから床はピカピカにやん。

きれいっていいにゃん。明日からはお店はいつも通りにゃん。


1グループ:悠一・順一・健一・眞一郎(通称一シフト)

2グループ:大輔(平川っぽい)・武人・智之・佳正・龍太郎

3グループ:智昭・裕貴・浩輔・浩史(別名孝子の犠牲者シフト)

4グループ:大輔(浪川っぽい)・彰・克幸・智和・望


以上のシフト分けになりました。学校のスケジュールの都合で基本シフトの1~2人位の増加があります(特にランチ)


皆さんのお越しをお待ちしております。


多分……紬さん、本気で執事喫茶やる気だよwww

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