第五話 アルバイトが欲しいにゃん 2
ついに幻の5スケンジャーですよwww
バイトさん達に紹介でアルバイト募集すると言ってから三日後のランチが終わる直前の頃、毅さんが一人の男の子を連れてきた。
「紬さん、今忙しい?」
「そうでもないわよ。どうかしたの?」
「うん、こないだ話した従弟連れてきたんだ。ほら、ご挨拶して?」
「初めまして、大輔と申します」
その言葉に僕らは一瞬戸惑う。うちのバイトには既に大輔君はいる。
「あらっ、大輔君が二人になるのね。シフトの調整だけは気をつけないと」
なんて言って、紬さんは既に採用するつもりでいるようだ。
「あの……僕……採用なのですか?」
「そうよ。お店が出来た時が毅君の大学入学だったから……六年ずっとやってくれたんだもの。従弟とは言っても仕事をこなせる子しか紹介なんてしないわ。だから採用よ」
「あっ、ありがとうございます。将来は弁護士さん?」
「はい、毅兄ちゃんと一緒に事務所を開きたいんです」
「成程ね。でも、一番は学業との両立よ。学年で必修の単位を落としたらアルバイトは止めて貰うわ。いいかしら?」
「はい、よろしくお願いします」
その後、僕らは今日のシフトの彰さんと克幸さんと新しい大輔君を見ていた。
「うーん、彼は大輔君っていうよりさ」
「うん、大ちゃんって感じだよね?」
「さっき、履歴書見たけど、成人男性ですよ?」
「世の中はどうして見た目詐欺が存在するんだろうか?」
「いや、彰さんだって人の事言えませんよ」
「俺の事はいいの。孝子、俺にマズイ茶入れてくれよ」
「彰さんあんまりです。その言い方どうにかして下さいよ」
「仕方ないだろう?まずいんだから。うちの店の裏メニュー知っているか?」
「彰さん、それは言ってはダメです。狼煙が上がります。まだ武人がバイト希望者を連れて来るんですから」
「そっか……まあ、そこのところはいいか。あれをクリアするとご褒美があるの知っているか?」
「なんですか?それ?」
「紬さんがトリッキーに配っているいい子メダル……あれがな、勇者メダルになってだな次回のケーキセットがただになるんだよ」
遊び心のある母さんは、テストで100点だったとか、テスト順位が前より15人前になったとか、コンクールで賞を取ったと言うと、いい子メダルと渡す。他にも基準はあるらしいけど。母さんの琴線に触れるかが重要だから息子の俺でさえよく分からない。
メダル3枚でドリンクが一杯無料・5枚でケーキセットが無料・10枚でランチセットが無料になるといういい子メダル。一番貰っているのはキーボ君一号。その次は……多分常連の女子高生かな。鏡野課長の娘さんの七海ちゃんもこないだ貰えたのってはしゃいでいた。
そして、武人さんが、智之さんと眞一郎さんと智和さんを連れてきてくれた。三人も紹介してくれたご褒美といって武人さんはいい子メダルを貰っていた。
「皆も頑張ってお仕事すると貰えるから頑張るのよ?」
「はい。よろしくお願いします」
明日は午前中の授業がないという智之さんが、少しだけ手伝いたいと言ってくれて残っているので今の店はいつもよりアルバイトが多い状態だ。
七海ちゃん達がやって来て、店が少しだけ華やぐ時間になった。
「うーん、ここ分かんないや」
七海ちゃんが物理の課題に悪戦苦闘している。そこを食器を下げながら歩いていた智之さんが通りながら何の公式だったかな?って呟いたみたいだった。
そこから問題が融けた七海ちゃんは智之さんに向かって、新しいアルバイトのお兄さん教えてくれてありがとうって感謝を口にすると、智之さんはにっこりと微笑んでいた。
「ここって、勉強が分からないと教えてもらえるの?次郎さん?」
「皆得意と不得意はあるだろうけど、学校の授業程度なら大丈夫じゃないかな?」
「そうなんだ。女子はアルバイトできるの?」
「女の子はダメ。クローズまでだと9時過ぎちゃうよ。商店街は明るくても通りが暗いし、お客さんがストーカー化されても困るから雇っていないんだ」
「孝子さんは?アルバイトでしょう?」
「違うよ。孝子は俺達の従妹でもあり、うちのパティシエ。皆が食べてるケーキは孝子が作っているんだよ」
「そうなんだ。」
「で、孝子の実家は紬屋呉服店。両親が修行中で、紬屋とうちじゃライフサイクルが違うから、今は家に居候しているんだよ」
「そうなんだ。バイトさんだと思ってた」
「ごめんね、騙すようで。作業の時はちゃんとパティシエらしい服装しているんだから」
「そうなんだ。一度見たいなあ」
「それは次郎の仕事ね。よろしく」
「お前、そうやって俺に押し付けるな」
その日は和やかに進んでいった。
それから5日後の事。店の終了後、母さんが困った顔をしている。
「どうしたのさ?」
「バイト君が勧めてくれた子はいい子なんだけども……」
「なんだけども?」
「なぜかだいすけ君が5人も集まっちゃったのよ~。全員は雇えないし、でもいい子なのよ」
それは嬉しい悲鳴って奴だな。いいじゃん。それだけ揃ったのなら。
「で、母さんはどうするつもりさ?」
「とりあえず、籐子さんと黒猫ママと神神さんなら引きとってくれると思うんだ。だから明日店に来てくれるように頼んだの」
「母さん、なんかやり手婆みたい」
「だって、本当にいい子なのよ。他の子達は皆採用するのに、だいすけだからダメですはあんまりじゃない?」
母さんの言う事は分かる。確かに大輔が多い年だってあるよな。名前がネックになるなんて本人たちも困惑だろう?
「皆、うちじゃなくても決まるといいね」
「そうね」
俺と母さんは決まったアルバイトの情報を聞いて少しずつシフト表を作ることにした。
そして翌日、いつもの様に長テーブルには籐子さんと黒猫ママと母さんとトラちゃん。トラちゃんはいつからママ友会の女子会のメンバーになったんだい?神神さんは紬さんに任せるってことで店には来てはいない。
「あのね。お願いがあるの」
「紬さんがお願いってあまりしないわよね。いいわよ。どうしたの?」
「最近。お店が混んできたからアルバイトを口コミで紹介して貰ったり、常連さんがやりたいって言ってくれたのね」
「うん。最近トムトムは活気があっていいなあって燗さんも言っていたしね」
「そうなの。そこで問題が起きちゃったのよ。大輔君が既にいるじゃない?」
「うん。おっとりくんね」
「そう、毅君が連れてきた従弟君も大輔君なの」
母さんがそう言うと、二人ともあららって顔をしている。
「で、紹介してくれた子の中に更に三人だいすけ君がいるのよ。だいすけって名前のせいで採用できませんって言えなくって……。お願い。どっちでもいいからだいすけ君を雇って?」
「成程……それは嬉しい悲鳴ね。でも三人いるのに、二人でいいの?」
「一人は凄く元気のいい子だから、神神さんの所にお願いする予定なの。私に一人されているし」
「成程。紬さんにしては良く考えたね。それじゃあ……うちは……こっちの眼鏡君にしようかしら?へえ、これでだいすけって読むのね?」
「そうなのよ。それじゃあ、このだいすけ君をよろしくね」
「私はもう一人の爽やかそうなだいすけくんね。いいわよ。任せておいて」
「だいすけ君達には私が事情を話してから連れて行くからよろしくね」
「いいけど、事前に電話頂戴ね」
「もちろんよ」
そうやってオープンに第一回だいすけトレードは円満に終わったという。
その後、新しいバイトが入る時に、同じ名前の読みが二人以上被ると周辺の店舗に採用をお願いして歩く母さんの姿があったとかなかったとか。
そして、だいすけ君達に結果を告げる事になった。
「でね、君達は既に先輩でだいすけ君が二人いるので小さい店なので混乱するから雇う事ができないの。でも商店街の皆さんにお願いをして、他のお店で働けるようになりました」
「えっ?それって……」
「ってことで、一度履歴書はお返しします。これから一人ずつそのお店にお連れしますね」
そう言って、母さんは受け入れてくれる店舗にだいすけ君達を送り届けて行った。
「どうだった?たいすけ君達?」
「大丈夫よ。皆このまま働いてくれるって。ここが終わっても営業しているお店だからたまには顔を出してあげてね?」
「はあい。ってか、元気百倍だいすけって……二十歳越えていたんだ」
「……みたいです。僕と同じ年だと思っていたのに」
「裕貴は皆の弟だからさ。諦めなよ。さあ、お茶会のお嬢さん方が来る頃よ。頑張りましょう」
「はーい」
無事にアルバイトの採用は決まったのだった。
無事に各お店にだいすけ君が行くことになりましたよ。
お店担当者さん。これを参考にだいすけ話お願いします。
次回、シフト表を皆で作ることになりました。
ついに一シフトが完成します(コレ考えるの頭使いました)
更に追記、居酒屋とうてつでのエピは、今回の紬さんのお願いから更に数日後の話です。改めてとうてつの庭でお茶会をしているのです。
(そう言う事で補完をお願いします)