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第四話 初めての男子会?

トムトムの定休日の前日に双子が外出するようです。

「「こんばんは」」

「いらっしゃい。双子揃って珍しい」

「ほらっ、明日は俺達休みだしね」

「俺達もカクテル飲めるようになったから勉強しに来たんだ」

明日はバイトが休みの金曜日の夜。俺達は揃ってJAZZ BAR黒猫にやって来た。

今までも休みの前の夜はこうやって二人で出掛ける事は多い。

未成年だからってノンアルコールカクテルがメインだったけど。

3週間前にめでたく成人した俺達は孝子に内緒で通っている。

マスターもママも気さくな人だし、俺達より少しだけ年上な透君がいるから。

透君は、ママ達の甥っ子さんで、俺達で言うと孝子のポジション。今週の孝子は母さんの実家である紬屋さんに戻っている。誕生日のお祝いと言う事で両親が帰ってくるらしい。

普段は休みでない土曜日を明日は急遽休みに変更したと言う訳だ。

だから、閉店後もしくは仕事終了後には店のバイトを含めて皆……商店街のどこかにいるはずだ。俺達は透君の側のカウンターに腰掛けた。

「今日は二人でどうしたの?」

「飲んでみたくって。後で両親も来るって言っていたから」

「そうなの。トラちゃんは?」

「大丈夫ですよ。俺は両親が来たら帰ります。太郎は勉強したいって言っていたので教えて貰いたいらしいですよ」

そう、俺は週末に出た課題があるから、ほろ酔い程度で自宅に戻りたい。

帰ってから課題をやろうと思っている。

店の奥で作業をしていた透君が、カウンターに戻って来た。

「いらっしゃい。今日は?」

「「お客さん。明日休みだし」」

「それじゃあ、飲めるんだ」

「俺は、課題残っているからのんびりと飲めるのがいいかな」

「……ふうん。マスターがお任せで作ってくれるよ」

「「ありがとうございます」」

俺達のやり取りを和やかに透君は見ている。

「双子ってシンクロ率高いの?」

「「さあ?」」

聞かれた事に答えるのも、シンクロしているのだが、それはそれだ。

俺達の答えを聞いて、透君は笑いだした。

「言っている傍からシンクロしている。仲がいいんだね?」

「そう?」

「こんなものじゃない?」

「そうね、この双子はこんなものよ。はい、どうぞ」

太郎と俺の違いは、酔いの速度の差だろう。俺はすぐに顔が赤くなる。逆に太郎は顔色に変化はない。俺としたら羨ましい話だけど。

太郎の前にはショットグラス……俺にはハードルが高いものが置かれている。

「太郎はマティーニ。次郎は、モスコミュール。自分のペースで飲みなさい」

「「ありがとうございます」」

太郎は、マティーニを口につける。

「辛いよ。こないだより」

「今日はドライマティーニにしてみた。大人ってイメージだろ?」

「そうかも。次郎は飲めないね」

「いいんです。のんびりと飲めるものだってあるから」

「確かに。次郎は家に帰って宿題をやる予定だろ?この位はいいかと思って」

「そうですね。早く宿題が終わったら戻ってくるつもりですよ」

「そうなんだ。そんなに多くないの」

「多くないってことはないけど、前の検定で合格した分が今日の宿題だから。俺の場合は復習になるかな」

今日の課題は、原価計算の基礎の部分。既に商工会議所簿記2級を取得しているから皆に比べたら難しいものではない。

「去年資格取得に頑張っていたものね。次郎はどっちに進みたいの?」

「バイトの皆を見ていて思ったんですけど、国家資格とってもいいかなって」

「税理士とか?」

「まずはそこです。最終的には公認会計士になりたいなあって」

「時間はかかるけどいいんじゃない?いずれは店の事務処理をお願いしてもいいってことね」

「へえ、次郎君かなり本格的だね。サラリーマンになるのかと思った」

「最初はそうなるよ。最初から事務所なんて無理だしさ。最終的には、開いているテナントで会計事務所開きたいなって思っている。ここの商店街で育ったから、ここにずっといたいかなって」

「あら、皆が聞いたら喜ぶわよ」

「でも、この話はここだけですよ。親にも話していないから。店は太郎が継ぐんだろ?」

「ってか、次郎もこっちに来ると思っていた」

グラスの中のオリーブの実を齧った太郎は本音を零す。

確かに、高校を卒業するまではずっと同じだった。理由は、将来何になるか決めかねていた俺達は近所の総合高校で通いながら進路を決めようってことにしたから。

そこで、商業系統の授業を選択して思った割楽しかったから、俺はそっちの道に進んだ。

太郎は、モノを作る方が好きだから、両親の店を継ぐことに決めた。

親に言われたわけじゃないけど、周囲はどう思っているだろう?

「喧嘩しないの?」

「今更」

「双子でも女の子の好みとかは違うし、今になると趣味も違うよ」

「そうなんだ」

俺はグラスのモスコミュールを口に含む。ジンジャーエールのピリリとする感じが好きだ。

「一番近くにいるから、相手として分かるだけ」

「太郎は休みの日に何をしているの?」

「俺?口コミサイトを見て食べ歩き」

「趣味が仕事に直結しているのか。食べ過ぎるなよ。次郎は?」

「俺は逆にインドア。本を読んだり、トラと遊んだり」

「イメージ的に動いていそうなのに」

「太郎、明日はどこに行く予定?」

「明日は、お昼前に孝子を回収して横浜」

「ふうん。お土産よろしく」

孝子も動き回るタイプだから、この二人はよく行動を共にしている。

仕事も同じだから、明日はプロとしての目線重視なのだろう。

たまに俺も連れて行かれる。喫茶店めぐりの時は三人一緒だ。三人そろって目線が違う。

太郎はミール・孝子はデザート、俺はコーヒーと紅茶だ。コーヒーはおいしいのに、紅茶は残念な店も結構ある。

「次郎君、明日はゆっくりするの?」

俺はゆっくりと頷く。店のブログのチェックと、店にプラスになりそうなものをチェックする。店の備品のチェックは俺の仕事。足りないものがあれば休みの日に買い物に行く。

「店の備品チェックをして、買い物位だよ。ついでに資格スクールに寄るつもり」

「そっか。大学の勉強だけじゃ足りない?」

「とりあえず、どの位かかるか見てから、せめて半額は自分で用意したいから」

「次郎はちゃんとやり遂げるから、そこまでしなくてもいいんじゃないか?」

「でも、大学でお金かかっているから、少しは節約しないと」

「次郎は、国立大学だから、それだけでも十分親孝行だよ」

ママに言われて、俺が悩んでいた事を見透かされた気がしてしまった。

太郎達は、技術が店の売り上げに反映されるけど、俺の知識はすぐには反映されない。

焦っても意味はないのは分かるけど、気になってしまうのだ。

「次郎のブログでお客さん増えたっていうじゃない」

確かにブログの影響で店の客数は増えている。今度はどうやって客単価をあげていくかだ。

俺のブログにも改良の余地もあるし、メニューも考えてもいいかもしれない。

「うん。俺でも店にできることやりたいんだ」

「それでいいんだよ」

その後は、太郎はマスターにリキュールを教えて貰ったりしていて、俺は透君と今度の商店街のイベントの話で両親が来るまで話していた。


この日の商店街はトムトムのバイト君もあちこちに顔を出していたみたいですよ。

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