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第六話 店内イベントを企画して……みた。紬さんが暴走した。

喫茶トムトムもイカ様フェアに参加してます。

それでももの足りない紬さんが……大暴走。

「イカ様祭りにはシーフードグラタンとシーフードピザとシーフードカレーとシーフードサラダしか出来なかったから不完全燃焼だわ」

イカ様祭りというのは、居酒屋とうてつでゲリラ的に行われるお祭り企画。

当時はイカがメインになる料理をだしてくれる。日本酒も頼めばイカ徳利で出してくれる。

イカ徳利は篠宮酒店で売っている。商店街の人達は、重光先生のラブロマンスにあやかり半分、冷やかし半分で商店街の非公認祭り感覚で楽しんでいる。

で、母さんもやってみたいって事になって、イカ様祭り・プチを開催したのだ。

通常のランチのメニューにイカをふんだんに使ったシーフードメニュー。それなりに売り上げに貢献できたのだが、とうてつほどの集客がなかった事が納得いかなかったらしい。

「で、何か……うちの店らしい企画はないかしら?執事喫茶はやるわよ。今は衣装を作っているから」

「母さん、作っているってどういう事ですか?」

「お忘れですか?こう見えても、店をやる前は服飾業界ですけど?」

「そうでした。申し訳ございません」

どうやら休みの日に、バイト達の執事服を制作しているようだ。

「えっ?紬さん作っているんですか?」

「その為に、皆のサイズを計ったの。オーダーメイドスーツよ。いいでしょう?この店を辞める時にはあげるわ。楽しみにしていなさい」

「それって喜んでいいのか?悲しんでいいのか?」

「うーん、買うと高いから有難く頂戴しようか?」

「安心して。素材にはケチケチしていないから」

母さん、皆が心配しているのはそこじゃないから。

「そういえば、孝子さんのお茶って彰さんしか飲めないんですか?」

「そんなことないわ。確か籐子さんが飲んで新メニューが浮かんだわなんて言っていたもの」

母さんがそう答えると、バイト達はおぉ、すげえ。籐子さん。って声が上がる。

そうやって籐子さんの伝説が出来上がって行くんだと思うけど……まあいいか。


「だったらさ、孝子さんのお茶を飲む会……真の勇者は誰だ選手権は?」

「やめとけよ。店から病人を出すな」

彰さんは必死に止めている。彰さん、ご自身が勇者様なのに何をおっしゃっているのだろう?

「商店街の人達で、小さいお子さんもいないから運動会に被らなそうなこの日あたりがいいんじゃない?」

と5月の第三日曜日を母さんが指を差す。

「そうですね。準備期間は短いですが、どうしますか?」

「大丈夫。イベントができたらいいなって、参加賞は用意してあるのよ」

そう言って、レジの下のチェストから出したのは、たくさんのいい子メダル……どこか違う。

「いい子メダルをちょっといじって、勇者メダルにしたの」

母さん、いつそんな事を考えていたんですか?

「……なんとなく。執事喫茶は秋には出来ると思うわよ。いい?皆太っちゃだめよ?いいわね?」

満面の笑みを湛えている母さんだが、背後から黒いオーラが滲んでいる様な気がするのだが。

「まあ、いいわ。勇者メダルは飲みきったらだろう?参加賞はなんだよ?」

「うんとね、マグカップ。これは発注しているから大丈夫よ。今回成功したら、通常営業でも裏メニューとして残せばいいかしらってね」

「紬さん、酷過ぎます」

孝子が頬を膨らませていると、それを彰さんは突いている。

「だったらさ、あのまっず~い茶を美味しく淹れてみたらどうだい?」

「言われなくても分かっているわよぉ」

そう言って、彰さんと孝子は口げんかを始めた。

今まで気がつかなかったけど……この二人ってそう言う事なのかな?食べ歩きは太郎と言っているけど、仕事上がりの後はいっつも一緒じゃないもんな。俺はちょっとだけ二人がそう言う関係なのだろうか?と考えたが俺の目の前の二人は本気で言い合いをしている……こんな調子じゃまだまだだろうな。

そんな二人は今回の企画の準備に参加する必要もないので、母さんとこれからの作業の手順を決めて行くのだった。


「ってか、それを参加賞にしていいのか?」

「う~ん、お店もそろそろ10年になるからね。記念に何かをしたかったのよ」

「でもさ、特大サイズのマグカップのそこに祝!勇者様!!ってのはどうなの?」

「そんな人……いないと思いますよ」

「だから、こうしたのよ。遊び心よ」

日曜日当日は午後1時までは通常営業でそこからイベントを開始してイベント終了後店は休業することにした。

その後は、残れる人で立食パーティーをする事になった(これは商店街の人や常連さん達にはサプライズにしたいんだって)

で、俺はブログの方にイベント告知と参加者募集の記事を書いた。


イカが……失礼、以下がブログより抜粋。


求む!勇者様!!

来る5月の第三日曜日午後2時より、孝子とお茶会を開催するにゃん。

皆でパティシェ孝子の淹れたお茶を楽しみませんか?

えっと、参加資格は……病弱ではない事。前日は夜更かしをしないこと……だけにゃん。

でもね……孝子茶はすっご~く個性的なお茶なの。普通に淹れているらしいけど……何がどうしてこうなった?って位の破壊力満点のお茶だなにゃん。

参加者には、参加記念として参加賞等を紬ママが用意しているにゃん。

孝子茶は嫌だけども、皆が頑張るのを応援するって人も募集中だにゃん。


緊急告知 孝子茶を飲む会~真の勇者様は誰だ?選手権~開催のお知らせ

開催日5月第三日曜日午後2時より 当日の通常営業は午後1時まで営業します。

参加希望者は、メール・店頭予約にて承ります。お名前・連絡先・性別をお知らせください。

参加費用はかかりません。参加募集人数は決めておりません。お気軽にご参加ください。

なお、参加されるともれなく参加賞をプレゼントいたします。


ブログと外に企画告知のポスターを張り出すと、商店街のメンバーを中心にあっという間に参加希望者が集まったのだった。あんなにマズイ茶を飲もうとするだなんて、なんてチャレンジャー揃いでお祭り好きな人達なのだろうか?


孝子茶のイメージ:とんでもなくしっぶ~いお茶で舌が痺れるとか?

孝子茶よりもラプサンスーション(中国の燻製茶)の方が飲めるとか。



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