僕の先輩。
少しだけ血の表現あります。ご注意ください。
僕には、大好きな人がいる。
ずっとずっと前から大好きで。
想いを伝えるには勇気が足りなくて、いつも見ているだけですが、僕はあなたが大好きです。
キュッキュッとバッシュと床が擦れる音が響く。
僕は小学4年生の時にバスケを始めた。
そこで僕は、先輩に会ったんだ。
名前は栄太。
ふたつ上の先輩で、当時6年生。
6年生にしては背が高くて、誰にでも優しく、いつも笑顔。
そしてバスケがすごく上手。
僕の憧れれでした。
だけど、憧れは憧れではなくなっていきました。
先輩にシュート練習を見てもらうたび、僕の心臓はいつもより早く脈打ちました。
僕は先輩の事がスキなのだと気付いた。
先輩の卒業式、僕は先輩にお祝いの花を渡して、また一緒にバスケをしようって約束しました。
先輩は笑顔で僕の頭を撫でてくれました。
中学にあがると、先輩の背はぐんと伸びていて、キャプテンになっていました。
僕は全然小さくて、バスケでは不利で、バスケ部の中で1番のチビだった。
だから、いつも雑用を押し付けられた。
僕だってバスケがしたい。
小さくたって、練習をたくさんすればシュートだってできるようになるし、ドリブルでは僕が有利だ。
なのに、監督も、先輩も、同じ1年生にも、雑用を押し付けられた。
そんな時、栄太先輩は「いつも頑張ってるね」って笑って頭を撫でてくれて、ドリブルとシュート練習を一緒にしてくれた。
それから、先輩とよく目が合うようになった。
部活中、登下校中、廊下ですれ違う時。
目が合って、微笑んでくれて。
あぁ、先輩は僕と同じ気持ちでいてくれてるのかなと思った。
なのに。
「ヒロ。」
よく廊下ですれ違う時に栄太先輩の隣にいたちっこい男。
ソイツの名前を呼ぶ栄太先輩は僕の知っている先輩ではなかった。
愛しそうな目で。
愛しそうな声で。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
どうして僕にも向けたことのない顔でそいつを見るの。
どうして僕に触れなかったような触れ方をするの。
どうしてそいつを守ろうとしているの。
まるで、そいつの騎士みたいじゃないか…。
僕の事スキだって言ったのに。
どうして?
あいつよりかわいい顔をしてないから?
あんなのただの女顔の中途半端な男じゃん。
栄太先輩に守られて当たり前のような顔をして、天然ぶってる性悪じゃん。
僕は違う。
僕はこんなにも先輩を想ってて、こんなにも先輩との幸せを願ってるのに。
なんでそんな男…。
どうして僕じゃないの?
手に持ったナイフから、真っ赤な水が滴った。
以前書いてて消してしまったプリンセスと騎士というお話の登場人物の話でした。