ヘルパーRの浪費(10)
ヘルパーRが浪費するのは、洗濯用の洗剤と柔軟剤だけではなかった。ありとあらゆるものを浪費する。食器洗い用の洗剤もそうだ。家のキッチンが狭いので、少しでも小さいボトルに入ったものを!と思い、少しの量でたくさん洗えるものを好んで使っていたのだが、私が数週間かかって使い切るものを10日もかからずに使い切るヘルパーR。
「もう洗剤がありません。ストックはありますかー?ma'am」
このセリフがものすごくイラっとする。頻度が多すぎて。
多分、ドバッと出して泡モコモコにしてスッキリ洗いたいのだろうけれど、あなたのスッキリのために、いくらでも使っていいといことではないのだよ、ヘルパーRよ!これについては、早々に苦言を言った。使いすぎであると。すると、
「え!普通に使っているだけです!」
と反省するでもなく言うので、
「私が洗っていた時に比べて、洗い物を溜めないで、こまめに洗ってくれているのは感謝するんだけど、一度にスポンジにとる量が多すぎるんだよ。少ない量で泡立つのを使っているのに。」
と言ったら「Ok ma'am」と引き下がったものの、ついいつもの癖なのかドバドバ出すのを私は知っている。ヘルパーRは、自分のやることに自信を持っているので、私から注意されるのが嫌なのだろう。洗剤が少なくなったら、その洗剤に水を入れて薄めて使い出した!これには笑った。そこまでするんだな。
同時にイラッとした。私だって全く洗い物をしないわけではないので、その薄まったシャバシャバの洗剤をスポンジに取った時に、なんで勝手にこんなことするんだ!なんで私がこんなシャバシャバの洗剤を使わないといけない!?とイライラが募って、思わず、そのシャバシャバの洗剤を全て捨てた。こんなので洗って、綺麗に油汚れが落ちる気がしない!そしてすぐに買いものに出て、一番安価で、一番大きいポンプタイプの洗剤と、ついでに詰め替え用のパックを買って、無言で定位置に置いた。
(あなたに、質のいい洗剤は必要ない!さぁ、この安い洗剤をドバドバ心ゆくまで使うがいいさ!)
⭐︎
洗濯用洗剤、柔軟剤、食器用洗剤、だけではない。
キッチンペーパーも、ものすごい勢いで使っていた。散歩には行きたがらないくせに、買い物には出たがるヘルパーR。「色々足りなくなったもがあるので、買い出しに行ってもいいですかー?」と言って、3つ買ったら1つタダ、とか言うのを見つけて「安かった!」とか言って上機嫌で帰ってくるが、それだってあっという間になくなる。私が1ヶ月以上もかかって消費する1パックをわずか1週間足らずで使う。
一体何でこんなに無くなるんだ?と思っていたら、料理する際、水分を取るのに使う、これ自体はOK。普通のこと。ただ、彼女は肉や魚、ほぼ全ての食材を一度洗う。そして拭く。マーケットで買ってきたものならそれはアリ。パックに入ってないで裸のまま並んでいたりするから。でも、え?それ必要?と思うこともある。冷凍の真空パックなどの肉や魚も、ミンチ以外は全部水で洗って拭いている。でもまぁ、不潔よりはいいので、100歩譲ってヨシとする。
次に使うのは、レンジ・シンク周りの掃除。これは、掃除専用のダスターを使えば済むことなのに、1度に何枚も取り出して、贅沢に使っている。いつも掃除しているので、だいたい綺麗である。だからこそ、料理の後にささっとキッチンペーパーで済ませたいのだろうが、あんな風にザクザク取り出して使っているのを見ると、自分のお金で買うのならそれはやらないだろ!と苦言を言いたくもなる豪快な使いっぷり。
また、作り置いた食事などにふわっと被せるのに使ったりもする。これは場合によってはOK。しかし、食品に触れないようにふわっと被せて、全くペーパーが汚れてない状態で、必要なくなったらポイっと捨てる。同じく、私たちにご飯を出すときに、箸やフォークやスプーンを出してくれるのはいいが、その箸置きがわりに使うのだ。しかも、1人ずつに1枚ずつ。そして、私たちがカトラリーを使った時点で、そのペーパーたちのお役御免となる。
私は、ある日「キッチンペーパーの無駄使いやめて。何でもかんでもキッチペーパーを使ってるよね?ストレージ(倉庫)にもいっぱいペーパーが積んであるのに、あっという間になくなる。使いすぎてるよ!」とはっきり言った。
「Ahhiiii ! ma'am. 普通に使っているだけなんですけど!」
絶対に、「はい、わかりました」と言わないヘルパーRである。
私は、もうこの「Ahhiiii !(アーイーー!)」という言葉が大嫌いである。なんだか、こっちが真面目に言ってるのに、ふざけてんの!って言いたくなるような、気の抜けた言い方なのだ。英語の理解力の関係で、メッセージで伝え合ったりすることもあるのだが、文字でもしょっちゅう、この「Ahhiiii!」が登場する。もう耳にこの言い方が染み付いているのか、文字で見てもヘルパーRの声が聞こえてくるのだ!
怒り浸透な私の目の前で、また箸置きとしてキッチンペーパーを使うヘルパーR。このタイミングで?なんかコントでもやっている気分になる。
「それだよ!!カトラリーをわざわざキッチンペーパーに置く必要なんてない!レストランじゃないんだよ。家のものはなんでも大切に使ってね!」
とても渋々
「Ok ma'am…」と言うヘルパーRだったが、私は雇い主として特に間違ったことを言ってはいない。そんな態度をされる筋合いはないのだ!
そしてその数日後、まだうちに来て1ヶ月ちょっとしか経ってないある日「第1回 私、辞めます事件」が勃発したのだった。




