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ヘルパーがやってきた。(1)

夫の転勤にくっついてきて、いつの間にか海外生活23年。

ヘルパー文化のあるこの国で、ヘルパー無しでやってきたけれど、ここにきて住み込みのヘルパーを雇うことになった。赤の他人、しかも外国人と一緒に暮らすことにはそれなりに抵抗はあったものの背に腹は変えられない事情がある。ヘルパー紹介所にお願いしてから雇い始めるまで約2ヶ月かかった。待ちに待ったその日がやってきて、意外とすんなりとヘルパーRとの生活が始まった。


ヘルパーRがやってきた当日、もう夕方であったが、用意した部屋に荷物を置くなり、早速キッチンに立って掃除を始めた。掃除道具や調理道具の場所を確認したりしながらも手が動いて、あっという間にキッチンのシンク周りがピカピカになった。(おぉ!これがヘルパーってもんなのか!素晴らしい仕事ぶりじゃないの!)

私は歓喜した。冷蔵庫を開けつつ目でどんな食材があるのか確認しつつ

「夕食は何を作りましょうか?」

と、動きに無駄がない。

普通なら他人に何の断りもなく冷蔵庫なんて開けられたらイラッとするもんだが、それが彼女の仕事なのだし、あまりにも当然のことのように滑らかだったから、全く違和感もなく、むしろ今後の生活を想像して輝かしい未来が見えるようだった。

「今日は来たばかりだし、夫がピザでも頼もうって言ってるから作らなくてもいいよ。」

とカタコト英語で言うと

「Thank you ma’am」

とにっこり笑った。


夜、家族が揃ったところでピザを囲んで簡単なウェルカムパーティーとなった。

宅配ピザ、ついでにスペアリブやポテトなどのサイドメニュー届いた時、

なにぶん、ヘルパー生活に慣れていない私は、フォークや取り皿などを自分出だして用意していると、

「あー!私の仕事なのに!スペアリブは私が取り分けますね!」

とヘルパーRはテキパキと動いた。スペアリブの取り分け方も慣れたもの。私たちはその見事な手捌きに感動すら覚えたものだ。

私たちは料理の取り分けは彼女に任せて、各々ビールやら炭酸水やら飲みものを準備した。彼女の好みが分からないなりに、ピザには炭酸飲料だろう!ってことで、コーラ、スプライト、ファンタ、一応烏龍茶も用意していた。息子がそれらのペットボトルを両手に持って、

「飲み物どうする?」

と気さくに話しかけると

「すみません、私、炭酸飲料とか飲まないんです。お茶でいいです。」

と言った。我が家でもあまりそういう甘い炭酸飲料は飲まないので、(あー、余ってしまった。。。)と内心思ったけれど、それは彼女には何の落ち度もないことだ。そのうちめちゃくちゃ暑い日とかに夫か息子が飲むだろうし。

とにかく、穏やかで感じが良く、気の利く彼女に私たち家族はメロメロだった。

食べながら、あらかじめ用意していた『やって欲しいことリスト』や、家での簡単なルールなどについて夫から説明したり、初日なので色々お互いのことについて話したり終始和やかなムードであった。彼女はお客様ではない。一通り食べ終わったところで、自分から切り上げ、

「残ったものは冷蔵庫に入れておいてもいいいでしょうか?後片付けは私がやります。」

と、なんてことないような口ぶりで言うので、私たち家族は自然に視線が合う。口には出さなかったが同じことを考えていたのは言うまでもない。

(なんていい人なんだ!最高じゃん!)と。

いつもなら、私の口から

「食べたものは自分で片付けてよ!」

「あーあ、残っちゃったし!ラップしたりするの面倒くさいなー!」

なんて言ってることろだ。そんなことを考えていると、あっという間に片付けも終わって、

「sir、ma'am、他に何かやることはありますか?」

夫が私に何かあるか聞き、ないと答えると

「今日は何も無いよ。ゆっくり休んで。」

と言うと

「ありがとうございます、sir。では、今日は部屋に戻って荷物の整理をします。

おやすみなさい、sir。おやすみなさい、ma'am。おやすみなさい、Mr。」

こうして1人ずつにきちんと挨拶までして自室に戻って行った。

私たちは、彼女が自室に戻ったのを見届けてから、良い人そうだとか、仕事が速くて丁寧だとか、気が利く人だとか感想を言い合い、ヘルパーを迎える決断をしたことは正解だったと皆が思っていた。


だが!それは最初だけだった。。。





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