表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

第四回: 作品の世界の広がりについて

作品の世界の広がりについて

たくさんの文章を書いていて、わかってきたことがある。

なんぼ一生懸命書いて世界を広げても、書いている世界自体は、そんなに広がってこない。


本編の設定では、銀河中に配置されたワームホールによるゲートウェイである「扉」によって、事実上、どこへでも行ける。そこに書くべき世界は無数にあるのだが、なぜか無限に書くことを想像できない。


これ、旅行に行った時と同じなのだ。すべては見てない。自分の目に入るもの、いや、むしろ、自分の見たいものしか見えてこない。それ以外のものは、いくら見えていても、自分の中に入ってこないのだ。


いくら行ったことのない場所で、興味津々でも、自分の興味のないことは、まったく見えないし、印象にも残らない。もっといっぱい見よう、そしてそれに基づいて、もっといっぱい書こうと思うと、自分の見える、そして見たい範囲を広げなければならない。


本編では、いくつかの異星の知的生命体と出会った。で、その、もし現実だったら、超刺激的な経験が、ほんの自分の興味の範囲でしか描けてないと思うのだ。


たとえば、あなたが地球を訪れた異星人と出会ったら、もし、何らかの方法で意思疎通が可能だとしたら、何の話をするだろうか?

ボクの物語の中では、主人公たちは、自分が探求している「謎」の答えを知ろうとしかしないのだ。それは、物語の展開上、仕方がないことであり、「謎」を解きたいから、その異星人を登場させているのだ。


でも、実際には、それを読んでる人たちは、もっと違うことを知りたいのではないだろうか。

たとえば──


家族のことをどう考えているのか。


どんな社会構成なのか。


友だちはいるのか。


何をして遊んでいるのか。


趣味は何だ。


どんなテクノロジーを持っているのか。


どうやってそれを獲得したのか。


社会における問題は何か。


それをどうやって解決するつもりなのか。


どんなペットを飼っているのか。


知りたいことは人それぞれであり、おそらく、いや、きっと、自分の知りたいそれを、物語の中の登場人物たちに聞いてほしい、そして答えを聞き出してほしい。そう、思っているのではないか。


だから、ボクが書いてることと、その読者の望みが一致してたら、興味を持ってくれるだろうし、全然興味のないことが話題になってたら、読むのをやめてしまうだろう。


そう考えると、やっぱ、作品紹介の最初の文章は重要だな、と思う。

自分の読みたいようなことが、そこに書いてありそうなら、読んでみようと思うし、そうでないことだったら、最初から読みたいとは思わない。


もしかしたら、自分の読みたいこと、知りたいことが書いてそうなのに、実際に読んでみたら裏切られた、とか。これはやっぱり、読んでる方にとって多大な時間の無駄なので、作家としては、そういうことは避けるべきだろう。


誰にとっても、「これこそ自分の知りたかったこと、経験したかったこと」なんてないから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ