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(3)

 

 えっ? 

 何? 

 つづく? 


 わたしは慌てて手紙をめくったが、次の紙もミミズの這ったような文字で埋め尽くされていた。


 もう松山さんいい加減にして、と言いそうになった時、大きなあくびが出た。

 続けて出ると、急に目がしょぼしょぼしてきた。

 続きが気になったが、これ以上読み続けるのは難しそうだった。

 手紙をちゃぶ台の上に置いてから部屋の隅に動かして、空いたスペースに布団を敷いて、崩れるように横になった。歯磨きもせず、顔も洗わず、眠りに落ちた。


 目が覚めたら夜の8時になっていた。

 アラームの設定を忘れていたらしい。

 慌てて飛び起きたが、ご飯を食べる時間もシャワーを浴びる時間もなかった。

 口の中が気持ち悪かったのでごしごしと歯磨きだけして、部屋を飛び出した。


        *


 仕事前のミーティングにはなんとか間に合った。

 しかし、休憩時間が来るまでお腹が鳴りっぱなしだった。

 誰にも聞かれる心配はないので恥ずかしくはなかったが、余りの空腹に耐えかねて何度も唾を飲み込んだ。

 それが腹の足しになるはずはなかったが、それしかできることはなかった。


 最初の休憩時間になった途端、コンビニに走り込んで、カツサンドを二つ買った。

 飲み込むのももどかしく、オレンジジュースで流し込んだ。

 それで人心地(ひとごこち)が付いたが、腹が満たされると手紙の続きが気になって仕方がなかった。

 休憩の度にその思いは強くなり、仕事が終わるのを待ちかねて、ダッシュで部屋に戻った。


        *


 先ずシャワーを浴びた。

 次に下着姿でやかんを火にかけ、お湯を沸かしている間にビールをグビグビッと喉に流し込んだ。

 それから即席焼きそばの容器に熱湯を入れて3分待ち、お湯を出してからソースを絡めて掻き込むように食べて、すぐに歯を磨いて、急いでパジャマを着た。

 そして、残ったお湯をマグカップに入れて、部屋の端にあるちゃぶ台の上に置き、今朝から敷きっぱなしの布団を整えて、いつでも寝れる状態にした。


 準備万端にして手紙を手に取ると、ミミズの這ったような文字が待ち受けていた。

 一瞬にして〈つづき〉の世界へ入っていった。



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