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第84話 蒼月邸での鍛錬 -24-

その鐘の音が合図なのかはわからないけれど、朝と同じように狐火たちがやってきて片付けを始めたのを確認すると、小鞠さんは、


「わらわは少し休ませてもらう。」


と言い残して食堂を去っていき、


「瞑想の時間になったら琴音の部屋に行くな!」


ほむらくんもそう言うと、食堂を出て行った。

残された私は、狐火たちが上手に後片付けをしていくのを感心しながら眺めていたけれど、片付けが終わって今度こそ他に誰もいなくなってしまったので、私も自分の部屋に戻ることにした。


(今度はちゃんと戻れるといいんだけど・・・)


朝の出来事を思い出して、少々警戒しながら部屋に向かったものの、いらぬ心配だったようで普通に部屋にたどり着けた。


(ふ〜〜。濃い午前中だった・・・)


畳んだお布団を再び広げ、その上にバフっと倒れ込む。瞑想の時間までに起きれるかなあ・・・などと考えていたのも束の間、


「おーい。琴音〜。起きてるか〜。」


部屋の外から掛けられた声で目が覚めて、自分があっという間に寝ていたことに気がついた。


「はーい。ちょっとだけ待ってて〜!」


そう言って返事をすると、慌てて起き上がり、布団を畳んで身だしなみをささっと整えて、部屋の真ん中で正座をする。


「お待たせしました!どうぞ!」


と部屋の外に向かって声をかけると、ほむらくんが入ってきて、


「さて・・・じゃあ、集中力の鍛錬を始めるぞ!」


と、私の前にヨイショと腰掛けた。


集中力の鍛錬・・・どんなことをするのか・・・

午前中の訓練を思い出して、少し緊張する。


だけど、ほむらくんから言い渡されたのは、至極シンプルなものだった。


「これから2つの瞑想をするよ。まずは、琴音はひたすら瞑想状態を保って呼吸に集中することだけを心がけて。おいらは琴音の気が落ち着いているかどうかをこれで計測するからさ。」


そう言ってどこからともなく取り出したのは、糸の先にどんぐりのような木の実が縛られたもので、ほむらくんが空中に向かって木の実が付いていない方の糸を引っ掛ける仕草をすると、それは空中に固定された。


「琴音の気が揺れると、この木の実も揺れる。見てて。」


そう言われて木の実をじっと見ているが、特に揺れるそぶりはない。

すると、急に自分の身体がボウっという音と共に、大きな炎に包まれた。


「わわわ!!」


当たり前のように驚くと、ほむらくんは


「見て!揺れてるでしょ!」


と何食わぬ顔で言う。確かに炎は熱くないし、木の実も揺れているけれど、どうして毎回心臓に悪いイタズラちっくな仕掛けをしてくるのか・・・

炎が消えたことを確認して一息つく。

それとともに木の実の揺れも小さくなっていき、私の呼吸が落ち着くと、同じように木の実の揺れも止まった。


「わかったけどぉ・・・ほんと、心臓止まるかもしれないからやめてよね・・・」


軽く抗議をしてみたものの、


「止まったら蒼月様になんとかしてもらうから安心しろ!・・・あ、でも完全に止まっちゃったら流石の蒼月様でも無理だな・・・。」


と的外れな答えが返ってきて脱力する。


「もういいです・・・わかりました・・・始めてください。」


諦めて鍛錬を始めるよう促すと、


「じゃあ、さっきも言ったけど、しばらくの間、琴音は呼吸に集中することだけを考えててね。おいらは色々と邪魔するから!」


と、楽しそうにそう言ったほむらくんに、「負けるもんか!」とふつふつと闘志が沸いてきて、ゆっくりと目を閉じた私は、呼吸を整えながら瞑想を始めた。

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