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第68話 蒼月邸での鍛錬 -8-

「それでは、まずはこの屋敷の主な部分を見て回ろうかの。」


小鞠さんが笑顔で言いながら、部屋を出て行く。私は急いで昼寝で着崩れた着物を直し、追いかける準備を整えた。


「はい、お願いします!」


部屋を出ると、小鞠さんがすぐに廊下の奥へと進んでいく。廊下は静かで、木の温かみが感じられる。小鞠さんが歩くと、その足音が軽やかに響く。


「こちらが食堂じゃ。朝食や夕食を共にする場所になるな。」


食堂に入ると、広いテーブルが中央にあり、その周りには椅子が整然と並べられている。大きな窓からは、外の庭が見え、陽光が差し込んで明るい雰囲気を醸し出していた。


「すごく、広いですね。」


私は感嘆の声を上げる。小鞠さんはにっこりと笑いながら、


「この屋敷は長い歴史があるからか、無駄に広い。琴音殿が来てくれて、食事の時の人数が増えるのはありがたい。」


と言う。私はその言葉に頷きながら、次に案内される部屋を楽しみにしていた。


「さて、次はこちらの書斎じゃ。蒼月が家で調べものをする場所じゃから、普段はあまり入ることはないかもしれんが。」


書斎に入ると、重厚な木製の机と棚が並び、壁には古い書物や巻物が並んでいた。書斎の奥には、大きな窓があり、そこからの光が穏やかに差し込んでいる。


「こちらの部屋もまた静かで落ち着けそうですね。」


「そうじゃな。ここは静かに考え事をしたり、調べ物をしたりするにはぴったりじゃ。」


小鞠さんが説明してくれる間、私は興味津々で部屋を見回した。次に案内されたのは、屋敷の一番奥にある部屋で、そこには多くの書物が整然と並んでいる書庫があった。


「ここは書庫で、この屋敷にある本や資料はここに収められておる。」


書庫の中には、さまざまな古書や巻物が整然と並び、古い紙の匂いはするものの、埃ひとつない清潔感が漂っていた。


「この書庫も、蒼月さんの調べものに必要なものが置かれてるんですか?」


「ここはどちらかというと屋敷の歴史とともに蓄積していった資料が多いな。蒼月が必要とするものはほとんど蒼月の書斎にあるでな。」


その後、小鞠さんは屋敷の他の部屋も案内てくれた。そのどれも手入れが行き届いており、この広いお屋敷の管理を任されているのは誰なのだろうと感心してしまうほどだ。


「こちらが手水ちょうずで、こちらが湯浴み処じゃ。」


どちらもまた清潔で使いやすそうな設備が整っていた。特に湯浴み処は広々としていて、リラックスできそうな雰囲気が漂っていた。


「最後に、こちらが客間じゃ。もし誰かが訪れる時に使う部屋じゃが、普段は誰も使わないので、もし必要なら使っても良いぞ。」


客間もまた、シンプルながらも落ち着いた雰囲気で、居心地が良さそうだった。


案内を終えた後、小鞠さんは私に微笑みかけた。


「どうじゃ、琴音殿。屋敷で迷子にならなくてすみそうかえ?」


「はい、とてもわかりやすかったです。ありがとうございます、小鞠さん。」


その言葉に、小鞠さんはほっとした様子で頷いた。


「それは良かった。何か困ったことがあれば、いつでも言うてくれ。わらわが手伝うからな。」


「はい、ありがとうございます。」


その後、小鞠さんと再び自分の部屋の前まで戻り、別れると、改めてこれからの生活について考え始めた。

新しい環境に慣れるためにはもう少し時間がかかりそうだけど、少しずつ自分の居場所を作っていこうと決意を新たにした。

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