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第34話 夜市の暴走 -6-

月影さんと翔夜くんが、現場を収束させるためにそれぞれ手際よく動く。

月影さんは力仕事を、翔夜くんは妖術を駆使して事態を迅速に収めていった。

その姿を見て、周囲の野次馬たちも次第に散り散りになっていく。


「じゃあ、後は頼んだぞ。蒼月さんには報告済みだから。」


だるまが落ち着くまで一晩、番所の封印房ふういんぼうに留置して、明日、話を聞くとのことで、翔夜くんがだるまを連れて帰ることになった。


そして、私を家まで送れなくなった翔夜くんの代わりに、月影さんと一緒に帰る。(どちらにしても同じ家だしね)


「とんだ夜市だったね。」


苦笑いをして私を見た月影さんに、いつの間にか現場に駆けつけていたのを思い出し、素朴な疑問をぶつける。


「あれ?そういえば、月影さんも夜市に来てたんですか?」


と私が尋ねると、


「いや、翔夜からの呼び笛で駆けつけたんだ。」


と月影さんは答える。


(呼び笛とは・・・?)


怪訝な顔をする私に、月影さんは、


「ああ、俺は普通よりちょっと耳がいいんでね・・・」


そう言ってにっと笑う。

それから夜市での出来事についてあれこれ話しながら歩いていたけれど、長老の屋敷の門をくぐったところで、


「それはそうと、琴音ちゃん、あの結界なに?蒼月さんもあんなの見たことないって驚いてたよ。」


と、突然蒼月さんの名前が出てどきんと胸が鳴る。


「え・・・?あんなのって?」


「結界を張ったでしょ?あんなに柔らかそうな結界なんて見たことなくて、思わず隣にいた蒼月さんに聞いてみたけど、俺よりかなり長く生きてる蒼月さんですら見たことないって驚いてたから・・・」


確かに、番所でちびっこたちが張ってた結界は、もう少しすっきりというかシャキッとしているというか、透明っぽい薄い膜のようなものだった気がする。


「確かに・・・なんかゼリーっぽかったですよね。」


そう言った私に、月影さんは首を傾げる。


「ぜりい?」


あ、そうか。この世界にゼリーはないのか、と慌てて言い直す。


「あ、なんというか、ぷよぷよしてて、おもちみたいなお団子みたいな・・・」


これで伝わるかな?と不安だったけど、


「ああ、そう!そんな感じ。弾力がある感じね。」


とりあえず伝わった様で安心する。


「でも、私も無我夢中で見よう見まねで唱えただけなので、なんであんな感じになったのかはわからないんです・・・結界が張れたというだけで奇跡で・・・」


あの時は本当に必死でそれ以外何も覚えていないことを伝える私に、


「明日の朝、ちょっと試してみようか?」


と、顎に手を当てて何かを考えるそぶりをしながら、月影さんが言った。

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