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第247話 黄泉の扉 -8-

最初は渋っていた蒼月さんだったけれど、最後には根負けしたのか、渋々添い寝を承諾してくれた。


「なんだ、これは?」


静寂しじまと癒しの結界の天蓋付きベッドバージョンを初めて見た蒼月さんは、ポカンと口を開けてベッドを眺めている。


「なんか、美琴さんに会った日から突然こうなったんですよね・・・あ、中にどうぞ。涼しいですよ。」


そう言って、蒼月さんを誘う。

そろそろとベッドに上がってきた蒼月さんは、ベッドの中を漂う冷気に触れて、


「確かに、涼しい・・・」


と、ふわふわと舞っている雪の結晶を不思議そうに眺めている。


「閉めると時報ときしらせさんの目覚ましが聞こえないので、開けたままにしますね。」


そう言いながらテキパキと寝る支度を整えた私は、


「では、寝ましょう!」


元気よくそう言ってゴロンとベッドに横たわる。それを見て蒼月さんも苦笑いをしながら横になる。


雪の結晶が淡く光を受けて、透明な天蓋越しに天井に映っているのが見えた。幻想的な光景だけど、見慣れている私には特別感はない。

けれど、初めて見る蒼月さんは、天蓋を見上げて興味深そうにしている。


私は上掛けをそっと引き上げて首元まで潜ると、いまだに天井を眺めている蒼月さんに言った。


「怖いので、手を繋いでいいですか。」


その言葉を聞いた蒼月さんは、上掛けの下できゅっと私の手を握ってくれた。


「ふふ。ありがとうございます。では・・・おやすみなさい。」


笑顔で蒼月さんにそう言うと、私はそっと目を閉じた。




——目は、閉じた。




冷静に考えても、何をしているのだ私は、と言うツッコミが消えない。

もちろん、またあの夢を見るのが怖かったのは本当だ。


だけど、こんな、添い寝までお願いするつもりでは・・・なかった。


なんとなく成り行きというか、嫁入り前、嫁入り前を連呼する蒼月さんをちょっと困らせてやろうと思っただけというか・・・とにかく、下心ではなく出来心なのだ。


なのに、結果的にはこんな落ち着いて寝られない状況を作り上げてしまった。15分前に戻れるなら、迷わず「おやすみなさい」と言う。

しかし、今となっては後の祭りだ。


今はとにかくさっさと寝ることに意識を集中しよう。

目は閉じてしまったから開けられない。

そう思ったら身動きすら取れなくなってきて、さらに身動きが取れないと思えば思うほど、動きたくなる。


(たーすーけーてー・・・)


不自然に硬直したままそんなことを考えていたら、


スゥー・・・


隣から聞こえてきた健やかな寝息を感じて、


(はっや!!っていうか、私、一人でこんなにドキドキしてるのに!?)


(こっちは緊張で心臓ばくばくなんですけど!?)


(不公平じゃない!?)


心の中で蒼月さんの寝入りの早さにツッコミを入れる。

私はこんなに意識しまくってるのに、一人でさっさと寝てしまうなんて、なんだか悔しい。


(やっぱり、私だけが意識しすぎてるんだ・・・)


ほんの少しだけ、寂しさのようなものが胸をよぎり、そんな自分の勝手さに呆れてしまう。

そして、寝落ちしているのにまだそっと繋がれている手に意識を向ける。


(・・・あれ? なんか、指・・・絡まってる?)


(いやいやいや、これ、意図的なの!? それとも無意識!?)


(え、どっち!?)


一瞬だけ蒼月さんの寝顔を横目で盗み見たけれど、いつも通りの穏やかな顔で、すやすやと眠っている。


綺麗な横顔。すらりとした鼻筋。

寝ているせいか、普段よりも少し無防備な表情をしていて、なんだか見ているだけで心が落ち着いてくる。


(・・・・・・無意識か〜!!!)


(ズルい!!!)


色々と考えすぎて、疲れてきた。


(バカなこと考えてないで、私も寝よう・・・)


蒼月さんが眠ったことで冷静になった私は、フゥ・・・と小さく息を吐くと、今度は自然と夢の中に落ちていった。

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