生け贄
つまりは、俺は生け贄だったのだ。
神達が選んだ神の生け贄、それが俺だった。
門から異世界の神が来る。
自分の世界を滅ぼした邪神が、次の世界にその手を伸ばす。
魔物はかの神の先兵だった。
それで滅ぼせなかったから来た。
だが、なんとか奴を誘導することができた。
俺の家に入口を置いた極小ダンジョン、マスターダンジョンに。
このダンジョンは俺が作った全てのダンジョンを管理するためのものでダンジョン運営で動けない俺が探索者たちに助力するための施設でもあった。
このダンジョンに誘導することはできたが、このまま何もしなければ奴は直ぐに抜け出してしまうだろう。
今の俺は、神達の権能と神器を使いなんとか邪神と直接戦わず逃げたり足止めしたりして時間を稼いでいる。
神達は分かっていたのだろう。こいつが来ることを、だから都合のいい人柱を求めた。
そいつは神の力の受け皿になれる奴で、大切な人や物もなく、そして何より自分の存在意義を求めていた。
世界を救うという響きは甘美であった。
何者にもなれない自分にとってこれが生きる意味だと錯覚してしまうほどに。
天照大御神の天岩戸を無理やり解釈し、その岩を封印として、
クレタ島のミノタウロスの迷宮、これはダンジョンを作る際にも使ったがさらに強固に自身も出口がわからなくなるくらいに、
北欧のスレイプニル、神の子どもを縛った鎖で縛る
その他諸々を用い、俺は自分事邪神を封印する。
これが神達が提示した作戦だ。
邪神の力は強大で、本来なら複数個の封印を施しても破られる可能性があるが、もし封印に核のようなものがあり、それが常に封印を展開し続ければ邪神も抜け出せないのではないかと考えたのだろう。 その核に俺が選ばれたというわけだ。
きっと神達も本意ではないのだろう。俺が逃げ出すつもりがないことを知っていても直前で俺に作戦を伝えてきたことを詫びるものもいて、ここまで来たらやるしかないなと、なんだか諦めがついてしまった。
神達が言うには、邪神への勝算、つまり人類が戦いを挑めるまで成長したと判断した場合、封印を神達側が解く手筈だそう。
幸いと言っていいのか封印を施している間は自分も含めて外の時間に影響は受けないそうなので、100年かかってもおじいちゃんになっていることはないそう。
俺は今後人類がどんなに強くなってもこいつには勝てないと思うが、期待を持つことは悪いことではない。未来に託すというのも響きは悪くない。
そうして俺は邪神とともに自らを封印した。
こうして俺は人類の反映の礎、生け贄となったのだ。
最後にダンジョンへの挑戦者たちにメッセージを残そうと思う。
これは1つのダンジョンの最下層をクリアした際に自動的に送るメッセージだ。
「ダンジョンを楽しめ」
俺を生け贄に作られ、俺が作ったのだから、せいぜい足掻いて、楽しんでくれ。
これで最終回となります。
いかがだったでしょうか?
自分としては書きたかったことが上手く文章にできず、もどかしい気分でした。
ですが、こうして作品を一つ書き上げてみて、納得のいく出来ではありませんでしたが、満足感があります。
最後に、こんな稚拙をお読みくださり、読者の皆様には感謝が絶えません。批判や面白くなかったといった感想でもいいので伝えて頂けると今後の励みになります。




