異世界について
なぜ、ダンジョンなのか。
それは異世界側の事情とこちら側の事情が関わってくる。
さて、まずは異世界側の事情からだ。
まず、魔物たちがくるのは今からちょうど1ヶ月後、それまでは絶対に奴らはこれないことがわかっている。
なぜそんなことが言えるのか。
それはこの世界に魔力がないからだ。
魔力、それは異世界側では当たり前にある空気のようなもので、それがなければ魔物は生きていけない。
そしてその魔力だが、絶賛こちらの世界に流れてきている。
異世界側が侵攻のための足掛かりとして、魔力を世界と世界の狭間に極小の穴を開けて流し込んでいるのだ。
今はまだ魔力の濃度が薄く、こちらに来ることはできないが、それも時間の問題である。
この魔力が世界に流れていることに関してだが、実は悪いことばかりではなく、それがこちら側の事情になるのだが、神がこの世界に対して干渉しやすくする働きがあるらしい。(俺に接触できたのも、魔力の力添えあってこそだった。)
この魔力の流出により、神達は異変に気づき調査し、異世界の存在を知り、極小の穴から異世界を覗いた結果侵攻をしかけてようとしていることが判明。対策を講じることとなったのだ。
そして、選ばれた俺は今その大いなる目的のために頑張っている。
俺が作ろうとしているダンジョンについて説明しようと思う。
俺が作るダンジョンは魔物を封印するために作るある種の結界だ。
現在魔力を流し込んでいるあの穴はやがて大きくなり、魔物がこの世界にやってくることだろう。そこで穴の前にダンジョンの入口を作ることによって魔物を閉じ込め、地上に出られないようにする。
なぜ魔物を封印するのにダンジョンなのかというと、それはこれからダンジョンに入る人間(便宜上討伐者と呼ぶ)に討伐してもらうためだ。
封印をダンジョンの形で行うのにはもちろん理由があり、それはダンジョンという形をとらない通常の封印を施した場合でも、結局何十年か後に封印は破れてしまう
一部の魔物が持つ特殊な力による影響で、しかも通常の封印中はこちらからも手出しができないので結局意味のないことになってしまうのだ。
そこで、ダンジョンである。このダンジョンには魔力を持った生物を分解することで魔力を確保する効果を入れているため、探索者が魔物を倒せばそれだけダンジョンは維持できるのだ。
だがちょっと待て、確かに人間にも倒せる魔物はいるだろうが人間では倒せなかった魔物もいなかっただろうか、それではただ弱い魔物を倒して時間を稼いだだけで根本的な解決にはならないだろうという意見もあるだろう。
ところがどっこい。そこで出てくるのが魔力である。魔力は何も神だけに影響を与えるわけではない。人間含む地球上にいる生物全てにその影響は及ぶ。魔力の影響を受けることで人間はその魔力を受け入れる器が生まれ魔力を扱えるようになる。
そう、魔法が使えるのだ。
これは、異世界での情報の1つであり朗報でもあったのだが、どうやら異世界の人間は魔法が使えたらしく、魔力の流入によって、こちらの人間もその素質を得たのだ。だが残念ながらレベルなどの分かりやすい指標はなく、ただ魔物を倒せば、倒した魔物の一部の魔力がその者に移るということは分かっている。
これで30代まで待たずとも魔法使いになれると世界中の一部の男性は感涙に咽ぶだろう。主に日本が。
話がそれた。気を取り直して、ダンジョンは魔力に慣れてもらうための訓練上であり、異世界との戦線であり、魔物を倒した際ドロップ形式で魔物の素材や魔法の知識(を詰めたダンジョンもの定番のスキルオーブ)を余ったリソースで生成することで、宝箱となるのだ。これでダンジョン攻略に励んでもらえるだろう。
さらにダンジョンでは階層を作ることでそこから出られないように魔物を閉じ込め、弱い魔物は入り口に近い階層に、強い魔物ほど出口から遠い階層に配置することで、殲滅はよりしやすくなるだろう。
さて、ダンジョンの個数についてだが、これは全ての国に1つは配置することにした。ダン●ち方式のように1つのダンジョンに魔物を集めたほうが楽なのだが、それをすれば間違いなく利権を求めた人類どうしの争いになるし、そんなどろどろした結果は求めていない。
……まぁ魔物が殲滅されてダンジョンがなくなれば間違いなく人間間の争いが始まるだろうが。
ダンジョンという美味しい資源を落とす鉱山がなくなれば、今ある資源を有効的に使うしかなく、人間はその欲望を自制することはできないだろう。
かといって、魔物素材のドロップをなくすことはできない。何故ならそれらを使わないと倒せないような魔物もいるのだから。
だが正直言って魔物が殲滅された後の事など知ったこっちゃない。
だってそうだろう。俺はこの前までただのサラリーマンだったわけでこの先抱えるだろう国際問題を解決するアイデアなんてあるわけない。
だからまぁせいぜい、自分ができることをやってその時が来たら、また考えればいいさ。
もしかしたら、ハンサムなどこかの誰かが突如素敵なアイデアがひらめいて解決してくれるかもしれないし、俺の想像が外れるかもしれない。
そんなわけで、俺はダンジョンを作る準備に入るのだった。




