選ばれた選択
さて、世界を救うという大きな目標ができたはいいものの、具体的に何をどうすればいいのか分からない。世界を救うための力をもらえるとも聞いているがどんな力かも分かっていないし。
というか今さらだがなぜ俺が選ばれたのかその理由すら定かではない。
俺は、社会人の父と専業主婦の母を持つ平々凡々な一般人であり、特に秀でた部分はない。
そんな俺がなぜ選ばれたのか、その理由と力の使い方について神が知らせてくれた。
理由その一、無宗教だったから
そもそも俺は神について全くと言っていいほど知らず名前すら分かっていない状況だったが、まず、俺が神と読んでいた予言やら会話を伝えてきた(脳内で会話というのは少しおかしいが)その存在は伝言役であり、また、どうやら俺に頼ってきた神は驚くことに地球で信仰されている全ての神らしく、神達は本来別の宗派の神であるため、一つの勢力に偏ることを嫌ったことから無宗教の人間が選ばれたそうだ。
また、無宗教と言っても全く神を信じていないものには声を届かせることはできず、ちょうどいいバランスで信仰の偏りなく神を信じていると言えるものにしか頼めないそう。
これで大部分の人間が候補からいなくなったが、というかほぼ日本人限定のような有り様になってしまったが、俺でなくてはならない理由は見当たらない。
理由その二 最良の未来を見たから
神の中には未来を見るという権能を持った神がおり、その神達によって未来を見た結果、俺に託すのが最良と判断したらしい。またどうやら俺は神々が与える力を上手く受け止める才能があるらしく、俺自身も自分以外が選ばれた未来、つまりパラレルワールドの未来を見せられたが、それにより大部分の疑問は解消された。まず複数人の人間が選ばれたパターンを見せられ、次に俺のような個人が選ばれたパターンを見せられたがどのパターンも正直言って地獄だった。
複数人のパターンだと、まず神達は各宗教及び神話を信じている、最も信仰心があるもしくは神話に対して造形が深い人間を選んで、協力してことに当てるつもりだったが、何を勘違いしたか自分は神に選ばれた人間であると周囲の人間を見下すようになり、無茶苦茶しまくった挙げ句しまいには選ばれた者どうしで殺しあいになり、神達の制止の声虚しく、世は世紀末に突入、魔物に対して人類は戦う余力が残っていないという状態になってしまった。やはり思想の違いというのは厄介で、特に宗教がらみというのは厄介なのだろう。最終的に協力できた未来もあったが必ずそれまでに犠牲者は出ており、結果体勢に穴ができてしまっていた。
次に一人の人間に力を与えたパターンだと同様に力を手にしたことで傲慢になり、無体をはたらき、結局力を取り上げるしかなかったり、1人に力を渡しただけでは全てを守りきれず、結果じわじわと削り殺されるという未来に行き着いてしまっていた。
しかし、未来を見ることができるというのはすごい。
これがあれば今まで見た別の未来の時間軸の連中も失敗することはなかったんじゃないのかと考えたが、この未来を見る、未来視も万能ではなく、先ほど俺に才能があると言っていたように、見える未来には個人差があり、俺のようにパラレルワールドの未来を見ることができる人間は希だったそう。仮に見えたとしても十全には使いこなせなかっただろうとのこと。
俺はこの未来視を使うことによって色々と試行錯誤した結果、魔物と直接やりあうべきではない、という結論に達した。
確かに神にもらった力は凄まじくそんじょそこらの聖人ですら及びもしない奇跡は起こせるし、ある程度の魔物は余裕だろう。それでも俺一人では大多数は救えない。
必ず取りこぼしは出るし、その取りこぼしはきっとでかい穴となる。
こういった未来を見せたことから、神達も俺に直接的に魔物とやりあって人類を救うことは望んでいないのだろう。正攻法では勝ち目がない。
ではどうすべきか。
三日三晩考え、未来視もフルに使い、神達に相談しながら話し合った結果、俺は現代魔物サバイバル物からテコ入れをすることにした。
つまり、ダンジョンを作ることにした。




