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妖怪とゲームセンター

 不思議な街、神凪町。

 街の中心にある神凪駅から徒歩数分にあるゲームセンター。

 紗月はゲームが好きだった。そのため休日はたまにゲームセンターに行く。

 いつもは一人でよく来るのだが、今日は違った。

 そこには紗月と玄々、そしてノウェムが居た。


「だぁぁぁぁ! むっず!?」


 画面に表示されるゲームオーバーの文字に玄々は頭を抱えていた。

 玄々は先程までシューティングゲームに興じていたのだが、やられてしまったようだった。これで7回目である。


「もうやめとく?」

「いいやっ! 負けっぱなしは性に合わん。絶対最後までクリアしてやる」


 玄々は即座にポケットから100円玉を取り出し、投入。コンティニューをする。

 今日は3人で遊びに来ており玄々にいろんなゲームを紹介したかったのだが、初めに遊んだゲームを先ほどからずっと遊んでいる。

 紗月は、小さくため息をついた。

 玄々が負けず嫌いなことは知っていたが、これほどまでとは思わなかった。

 どうやらゲームだと勝手というか感覚が違うらしく、思うように戦えないらしかった。

 気配が感じられないとか、初動が分かりづらいとか。このあたり紗月にはよくわからない。

 ゲーム始めの当初など「なぜ回避の選択肢がないんだっ!敵迫ってきてんなら逃げながら撃てよっ!」と叫んでいた。そこはゲームなのだからしかたない。守らなきゃゲームにならないし。

 反射神経まではさすがにずば抜けているので、慣れてきたのもあるのか最初より死ににくく、今ではどんどん敵を倒している。とはいえ、結局初見殺しとかに引っかかってやられているのだが。


「私、ちょっと店内見てくるからね」

「おう、私はしばらくここにいるぜ」


 まだまだクリアには時間かかりそうな玄々を置いて、店内の奥へと進む。先程から一緒に来ていたノウェムの姿が見当たらないのだ。

 どこにいったのだろうと、辺りをキョロキョロと見回しながら進むと、一角で人だかりが出来ていた。

 嫌な予感がする。

 違って欲しいと願いながら人だかりの間を抜け、その原因を見る。

 そして、人々の視線の先にあった長い綺麗な青髪の女性。服装は普段のメイドエプロンではなく白のタートルネックに黒スキニーを履いている。しかしヘッドホンのようなものと首に金属っぽいチョーカーつけた人物は紛れもなく知っている女性だった。紗月はそっと頭を抱える。


「ああ、土御門さん。こちらに来ていたのですね」

「な、何してるんですか……ノウェムさん」

「何って、ゲームですよ」


 見ればわかる。

 だがその言葉を出すことができなかった。主に脱力感で。

 ノウェムがやっているゲームは所謂(いわゆる)音ゲーと呼ばれるもので、流れてくる譜面を鍵盤(けんばん)を模した7つのボタンとその横についた円盤状のものを操作して曲を奏でるというものだった。

 しかし、流れてくる譜面はまるで雨のように流れており、紗月には今何をしているのかすらよくわからない。

 そのわからない状況を理解しているであろうノウェムの動きも理解できなかった。

 10本の指がとんでもない速度で動いている。まるで別物のようだった。さらによくみると、たぶん2人同時プレイ用のもう片側のボタン7つと円盤を同時に操作している。

 つまりは14個の鍵盤ボタンと2つの円盤を同時に操作しているのだ。ギャラリーが集まるのも納得である。

 画面を見ると、先ほどからコンボの文字と数字が途切れることなく常に表示されている。音ゲーの知識のない紗月にとってはよくわからないが、たぶんこれもすごいことなのだろう。

 そんなすごい状態を維持しつつ、ノウェムは紗月に会話までしてきたのだ。どーなってんのこのひと。


「楽しいですね。これ」

「あはは……。楽しんでいただけてなによりです」


 もう苦笑しか出なかった。


「そういえば白銀さんは?」

「向こうのシューティングゲームで遊んでます」

「そうですか。とりあえず、これが終わったら休憩としましょう」


 紗月とそんな会話をしつつも、ノウェムの手は的確に動いている。

 会話もほどほどに紗月はノウェムのそばをそっと離れ、ゲームが終了するのを待つことにした。

 暫くするとゲームをクリアできたらしく、ノウェムは筐体(きょうたい)から離れて紗月のもとへ歩いてくる。

 観客の拍手に迎えられて。

 なんかめっちゃスマホで撮影してる人さえいる。これ大丈夫なんだろうか?

 ちらりと画面を見るとランキング1位のとこが輝いている。これホントに大丈夫なんだろうか?

 あとで騒ぎとかになったりしないんだろうか。そんなことが頭をよぎる。

 熱狂冷めやまぬ人だかりから半ば逃げるように、紗月とノウェムは休憩所へと移動したのだった。



***



 その頃、玄々は


「そうだ!いい調子だぞ。ここをクリアしたらもう一度初見殺しがくる。君の瞬発力を活かせ!」

「いや、それはこのセクションをクリアしてからだ。ここは見つけづらいが回復アイテムが出る場所だ」

「初見にしてはいい腕だなぁ。よく反応できるな」

「ここのステージのボスはラスボス前だけど結構強い。ランダムで変わるウィークポイントを素早く探して撃ち込むんだぞ」

「なるほど。よくわかんねぇがわかったぜ!」


 なぜか意気投合したギャラリーたちと共に、未だシューティングゲームを攻略していた。


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