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1940〜英空軍

作者: 栗林

*1940年*


「ドイツの爆撃機が向かっている、迎撃しろだとさ」

「しかも、109の護衛もいる」


「ちっ、めんどくさいな」


「まあ、お前はスピットファイアに乗れるだけマシだ、ハリケーンの俺はいつも苦労だ」


…1940年、この時ドイツはイギリスに侵攻する為

まず、制空権を確保しようとルフトバッフェが全力を挙げ

航空機による爆撃を繰り返した

ドイツ空軍は当時最も鍛えられた空軍であり数もイギリスを凌ぎ

対するイギリス空軍は数でもパイロットの練度でも劣っていた


しかし全力で国を死守すべく彼らはドイツ空軍と

戦い続けてきたのであった



スーパーマリン スピットファイア…

ドイツの109より僅かに優速で運動性能で勝る

ただし火力、防御力では109に劣る


しかし109と互角に戦える戦闘機で

両機は最後まで好敵手だった


イギリス軍はレーダーでドイツ機の居場所をつかみ

海上で撃墜されるドイツ機も少なくはなかった


「隊長、右前方2時の方向に敵爆撃機」

「さらに護衛戦闘機多数」


「よし、敵よりも高度をとり上から奇襲だ」


いわゆる一撃離脱である

当時は一般的な戦法となりつつあったこの戦法は

格闘戦と違い高度な技量を必要とせずまた効率もよい

この戦法は太平洋でも使われ格闘戦を得意とする零戦との戦闘にとても有効だった


「敵からすればここは太陽の光だ、よし、攻撃を始める」


太陽の光を利用し迎撃に上がったスピットファイア、ハリケーンの編隊は

ドイツ軍へと攻撃を仕掛ける、照準、タイミングがよいところで、機銃を発射

かなり堅く手ごわい109も流石にコクピットをやられれば無力である


隊長は早速戦闘機一機を撃墜したが機体の損傷と

いうよりもパイロットの死亡が決定的となった

他の機も戦闘機、爆撃機に奇襲をしかけ成功を収めるものもいれば

失敗するパイロットもいる、技量は人それぞれである


またイギリス空軍はとにかくパイロットを集めるべく

飛行時間が一ケタという新米パイロットまでもを送り出した

正気の沙汰とはいえないがドイツ軍へ対抗するには兵力が少なすぎた

当時の状況から判断すれば仕方ない事であるう





イギリス空軍にとって爆撃機は

亀程度にすぎなかった


しかし109は違った、運動性能はスピットファイアより僅かに劣るが

それも気になるほどではない…むしろ当時の戦闘機の中でははてしなく運動性能が

よい機体かつ火力、防御力は最高レベルと言えた

ドイツの技術レベルがいかに高いかよくわかる機体であった


機銃を撃っても180度に機体を傾け旋回する

しかも後ろからは一撃離脱をかけようと敵機が襲ってくる

ハインケル爆撃機よりも手ごわい相手であった


ダダダ…


後ろをとった隊長

機銃放つも木っ端を撒き散らす程度の破損しかしていなかった

(硬い野郎だ…)

思わずそう思うぐらいであった、しかしスピットファイアも

並の戦闘機ではなかった


思いどおりに動くその機敏さ、高速、109と比べると貧弱とはいえど

飛行機を落すには十分である武装、イギリスが世界に誇れる戦闘機だった

ドイツ機は振り切る事はできない、煙をふいて降下を始めたドイツ機だが

隊長は攻撃をやめた、うしろからも敵はいる上奴はもうだめだとははっきりわかる


トドメの一発を加えるために戦死するのはあまりにも情けない

これ以上の追撃は無意味かつ危険である


ヒュゥ…


ほら、光が見えた

敵は撃ってきた


殺すか、殺されるか、それは陸上でも海上でも、空でも一緒

戦争のルールである



ふと後方をみると、バラバラになったハリケーンやスピットファイアなどの

味方機が見えた

(やられたか…)


すでに旧式化していたハリケーンはとにかくスピットファイアも

無敵の戦闘機ではない、相手だって超一級の戦闘機を持っている

撃墜される可能性ははてしなく高い、向こうもではあるが


欧州の空中戦は激しい…


そのとき、目に一機のHe111爆撃機がはいった

丁度いい標的であった


すぐさま機体を旋回させ爆撃機のもとへむかった

ここまで急いだのにも理由はあった、そう、もう本土がすぐそこであった


損害を減らすべく一機でも多くの爆撃機を撃墜する必要がある

隊長は護衛戦闘機との戦闘に気をとられていた

(だが数はかくない…)

しかし味方の蓄闘により数は減っていた

さらにまだ多くの味方がいる

(いける…)

そう確信した


ダダダ…


(よし!)


エンジンに銃弾は命中した

そのせいか爆撃機はエンジンから火を噴いて

機体を傾かせながら降下していった


持ち直そうとしてももう無駄であった

だが…


「!!」

(まずい…うしろをとられた)

(…109三機…!!)



航空戦では、上手なパイロットは狙われる

隊長は飛行時間が2000時間近い大ベテランだった


必死に回避行動をとる

曳光弾の光はスピットファイア掠めていく

(しつこい奴らめ…!!)


そこで、危険を覚悟し宙返り、半分までいった所でくるっと機体を傾け

左に旋回、この時ドイツ機は二手にわかれていた

たまたまちょうどいい位置にいた一気に機銃を放った


ダダダ…


(撃墜…)


だが


ピュンピュン!!!


「!!」


スピットファイアは気がついたら

煙をあげていた、被弾した


翼やキャノピーには穴が、また隊長には見えないが

胴体にも穴があり尾翼は欠けていた


操縦が困難になった

(もうだめだ…)

自分の死を予想した

しかし敵は撃ってこない

(…)


外を見るとドイツのパイロットが

こちらを見ていた、そして、三機とも隊長機から離れた

(…)

やられた…完敗だ…

心の中にはそれしかなかった

しかし今は、どうするかを考える…いやもう考えはついていた


『脱出』あるのみ

再びこの大空で戦うべく…


悔やむが、彼は機体を捨てた

目には、涙が浮かんでいた


自分の愛機が無残にも落ちてゆく所を

見るパイロット、それはさぞ、苦痛であろう…







その後、時間が経過してから隊長はパイロットとして復帰する

結果的に、バトル・オブ・ブリテンは終了

激戦の末、イギリス空軍は勝利をつかんだ


これによりドイツのイギリス侵攻は中止した


第二次世界大戦を行きぬいた彼…

彼もまた…イギリスを守りぬいた英雄として…

戦後を生き、後世に伝えていったという…


小説の戦記もの(架空戦記含む)は主に

日本軍、しかも海軍ばっかりだったりします。

アメリカやイギリスは毎回敵だったりします。


そこであえて連合軍であるイギリス軍の戦いを描いてみました。


…なんていう私も実は一番好きなのは日本陸軍だったりします。

隊長に名前がないのは思いつかなかったからですが

隊長のような経験をされた元英空軍パイロット、いたかもしれませんね。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして、流水郎と申します。 英空軍の話は確かに少ないですよね。 俺もイタリア空軍とか中国軍とか、マイナーにもほどがあるだろお前!みたいな軍隊を書いています。 英空軍では、モスキートを主…
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