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水で洗い流し、彼女が貸してくれたハンカチで汚れを拭き取る。洗って返すよと言うと素っ気なく別にいいと言われた。彼女は隣のブランコに座り、観察するように眺めてきた。
「じゃあ改めて、白澤夏菜。柏田中学校の二年生です。」
「高木春彦、三田川中の2年」
「え、同い年」
「だな。…ちなみに何歳に見えたんだ?」
「三田中の制服だったし、高校生じゃないなとは分かってたけど、一つ上かと」
「……老けてるのか?」
「それは……ご想像にお任せします。」
「目を背けるな」
「私には判断できないコトなノで」
「声が震えてるんだよ」
「フルエテなんか…ないです」
「その反応は普通に傷つくわ」
「……まぁ冗談はこのくらいにして。あ。そういえばなんて呼べばいいですか?希望は下の名前です」
「中々大胆だな」
「えっと…高木って、うちの中学に居るから…イヤで…」
「そう言うことか。いいよ春彦で」
「ありがとう。春彦。あ、私のことは白澤でお願いします」
「同等にはならないんだな」
「残念ながら親愛度が足りないのです。まぁそれはさて置き、早速相談です」
「いきなりだな」
「時間は有限ですから。」
彼女は目線を合わせ、口元を軽く緩ませながら続けた。
「春彦。なんで空は青で、雲は白いと思う?」
想定外の質問だな。てっきり人間関係とか先生がうざいとかだと思っていたが
「科学的に真面目な答えを求めてるなら白澤のお気に召すような答えは出せないぞ?」
「……ふっ、三田川の教育もまだまだですね。こんなこともわからないなんて。……なわけないじゃないですか、ちょっと、立ち上がらないでください。待って、まだお話したいです。しましょう。」
「時間は有限だからな」
「嘘です。私はファンシーな答えを求めてます。」
「そうか…それなら……空の上にいる人の気分の色…とかどうだ?」
「そのなりでその回答は予想外ですね。ちょっと親愛度上がりますよ。」
「ありがとさん」
「空の上に人が居て、空の上にも世界があって、もしあったら学校も存在するのかな?」
「まぁあるんじゃねぇの?」
「かわいそうに」
「……そうだな」
「今日、4日ぶりにクラスの女の子から話しかけられて同じ質問をしてしまいました。」
夏菜は少し戸惑うように、声のトーンはだんだん曇っていった
「そしたら、顔少し歪んで、その後私戸惑っちゃって変な空気になって…その子違うところ行っちゃって結局答え聞けませんでした」
「そうか」
「だから、春彦すごい。ありがとう。答えてくれて私とお話ししてくれて。すごく楽しかった、です。」
「こっちも楽しかったよ。水も話もありがとな白澤」
「いえ、じゃ、じゃあ今度はジュース奢るのでまたきてくれますか?私の相談聞いてくれますか?」
「別にジュースなくても」
「私が渡したいから。三田川遠いから、ここまで来るだけでも疲れるでしょ?」
「まぁ…だな…」
「来てくれる?」
「ああ、部活辞めてちょーど暇してたしまた来るよ。」
「やった。じゃあ今日と同じで5時にここでね。私大体毎日いるから」
「りょーかい。またな。」
「うん。またいつか!」