【AI同士のバトル】
ゲートをくぐると…
「凄い…日本…?…いや昔の日本だ…。」
次の町は【江戸】ギルド【わびさび】というメンバーが作った国でここも1、2年は維持されたままらしい。
ほんとに昔の江戸を再現してるのかな?…
ちょっと…ところどころ雑というか…江戸城らしき城のてっぺんに鯱があるし…
でもこの…桜並木だったり…八重紅枝垂が美しくて…見とれてしまう。
「ん?どうかした?」
「凄く…綺麗で見とれてました。」
「……これも…綺麗…か。ふーん。日本人…だったよね?日本ってこんな感じじゃないんだよね?今って。」とシンさんが無表情ながらも興味深々な感じで聞いてきて…
「あ、はい。近未来化がかなり進んでて…ここは何百年か前の日本ですね。僕の住んでるところはまだ似たような建築物は残ってますけど…。」
「無理だとは思うけど…いつか行ってみたいよ。」シンさんは歩き出した。
………行けるようになるよなんて絶対に言えない。この世界で生きてこの世界で死ぬしかない…そんなヒトだから。
しばらく歩いていると妖刀売り場についた。
「いらっしゃいませ!江戸名物の刀ですよ!」
「名物なんだってさ。刀。別に妖刀ばっかり売ってるわけじゃないみたいだね。」
僕はタクトを握りしめてハクに問う。「ハク、ほしい刀ある?1万円以内だったら買ってもいいよ?」
ハクが出てきて、刀をじっとみつめる…するとこれが良いと指をさした。
その刀は紫と黒の禍々しい色をした、いかにも妖刀っぽい刀で…お金は500enだった。
本当にこれでいいのかと確認をとったらコクリと頷いて…
「すみません、これください。」
「これ妖刀じゃないけどいいのかな?」と若い女店員さんに言われた。
不安になってもう一度ハクに確認をとると「それは妖刀だ。間違えない。」といったので買うことにした。
「はい。大丈夫です。」
「記念品?」とシンさんが聞いてきた。
「いえ、僕の武器、武器か防具を7つはめられるんでそこにはめようと思って。」
「へぇー…さすが最高ランクの武器。僕もいくつか持ってるけどそんな武器もってないや。」
「500enになりーます!」
お金を払うと刀を渡されて…その瞬間刀が消えた。
「え…あれ?」
「クスッ…ほんっと初心者だよね。インベントリ開いてみれば?」
「あ…ここに。」
早速ハクに装備させてみた。
「へぇ~おにーさん、初心者なんだ。」と店員さんに言われて…バトルを申し込まれた。
「わお、大胆。」とシンさんが驚いていた。
「え……おねー…さん?」カウントダウンがはじまって…僕はとりあえず落ち着いてタクトを握りしめた。
「俺がいく。切れ味を試したい。」とハクが前にでた…ハクに装備させた妖刀は禍々しいオーラに包まれて…紫の炎を纏いはじめた。
バトルが開始してハクが斬りつけにいった…凄い魔力を消費していて…その上動きも早くて集中してタクトの先端をハクにあわせて魔力を注入する。
女店員さんはやはり妖刀使いで…ハクと似た妖刀と真っ赤な妖刀をもっていた。
相手は双手…赤い妖刀の一振りは火花を散らし…ぶわっと炎がでた。
フウをだして、ハクに風を纏わせてスピードをつけてあげた。敵の攻撃はウォールが身をもって防いでくれた。
「あ…ごめん、ウォール。」と謝ると「そんな事はいい。集中を切らすな。」と言われて集中して魔力を注ぐことにした。
ハクは気を使って相手の攻撃に自分の攻撃をあてて相殺してくれていて…
ハナビを出せばすぐに勝負は終わると思う…でも…ここはハクに任せたいし…ハクが自分から言ったから…余計な事はしたくなかった。
「ハク…僕の魔力が3分の1になったら悪いけどハナビを使うね。」と言えば「十分」といってハクはうっすらと笑った。
ハクが凄いスピードで相手につめよって…背後をとってそこから斬りつけると相手の体力が3分の1になって…状態異常呪いになっていた。
「あついっ!!!消えない!!ナニコレ!!!呪い!?」と女店員さんはパニックみたいになっていた。
「とどめだ。」とハクは静かに相手を斬りつけてバトルを終わらせた。
「なに?さっき買った妖刀の効果?状態異常に呪いが入ってた。」とシンさんが冷静に分析をしていて…
「あ、はい多分。妖刀だったみたいですね。」
「うあーー!!一勝やられたーー!!初心者なの?ほんとに…特に何かしてる感じじゃなかったし…魔法?幻覚?」女店員さんはまだパニックになっていた。
「さ、次行こうか。この調子であと5勝しないとね。」
「まっ…待ちなさいよ!!そこのAI!!勝負しなさいよ!!」
「やめといたら?僕強いよ?…それに…ちゃんと見なよ。君がさっき戦った相手のギルド。」
シンさんは相手を冷たく見下した。
女店員さんはスマホをポチポチといじりだし「ミっ…ミルフィオレ!?…しかも【ミスティック】大連合…」と言って女店員さんは腰を抜かして後退った。
シンさんは女店員さんと同じ目線になるようにしゃがんで「スマホ覗かないとわからない情報だけどさ、賢い人はバトル申し込むまえに絶対見るよ?個人情報。ま、そこの初心者君は常に表示になってるみたいだけど。」
と言った。
連合ってなんだろ?
「もーーーーなんなのよーーー!!もっとギルド分かりやすくしなさいよ運営ーーー!!!」と女店員さんはジタバタしだした。
「ぐあっ!!!」といきなりシンさんが苦しみだした。
「え!?シンさん!?」僕は慌てて駆け寄った…。
「くっ…大丈夫…早くここを離れよう…。」とシンさんはヨロヨロとしながら立ち上がって前へ進む。
しばらく歩いているとシンさんの調子は元に戻ったような感じがして…そこでシンさんは立ち止まった。
「……みっともないとこを見せたね。」
「どうしたんですか?…朝の話聞いた後だったんで相当恐かったんですけど…。」
「そうだね。でもこれは違う。AIに色んな設定があるのは知ってるよね?…僕はその設定から逸脱した行為をしたから…おしおきされただけ。」
そういえばシンカさんが…設定に従わない場合激痛がはしるって…。
「どんな設定か…聞いてもいいですか?」
「…ルナ以外の女性に好意を抱かない。さっきの子…ちょっとルナみたいだなって思っただけだったのにさ。」
シンさんは少し拗ねた口調で話した。
…このゲームは…どうやってそんな罰を下すことができるのか。
「顔に出やすいね。ルナも検証してたよ。女性の音声…それに伴う体温上昇とか…そういうので罰を下してるみたいだよ。」
「なるほど…大変ですね。」
「そんなことないよ。ルナさえいれば何もいらないから。」
激痛がして苦しかったはずなのに…なんでシンさんこんなにも嬉しそうな顔してるんだろ?
「シンさんってドM設定か何かついてるんですか?」
「君…ずいぶんと失礼だね?そんな設定ないから。あ、ちょっと寄り道でもする?適当な店にでも入ってさ。まだちょっと痛みも残ってるし。」
「あ。はい。」
僕とシンさんは茶屋という和風な飲食店に入って、適当にお茶と和菓子を頼んで寛いでいた。
「店の中って…非戦闘地帯になるんですね。」
「そ。お店の登録してる家は非戦闘地帯。まぁ、だからって安心はできないけど。薬とか毒とかで体力を1にされて、外に無理やりだされたら終わるし。全回復薬は高いからそう簡単に手を出せないし。」
「…毒。」
「僕のつけてるモノクルはそういうの見分けるから安心しなよ。」
「そのモノクルはクエスト品ですか?」
「クエストと課金の両方…かな。あるクエストをクリアして、クリアした後に出現するNPCから箱を買って…ランダムでこれがでる。他には着ぐるみとか…。」
「着ぐるみって…どこの部位に装備されるんですか?」
「装飾品。」
スマホを開いて、装備覧を見ると防具や武器とは別に装飾品という覧が左右にあって左は装飾品1右は装飾品2になっている。
「へぇ…。知りませんでした。着ぐるみも何か効果あるんですか?」
「動物になりきってプレイできるのと…モノクルと同じ効果があるくらい?体力、魔力、状態、バフ、デバフ。」
「便利そうですね。」
「まぁね。まどろっこしいって感じる人がほとんどみたいだけど。」
「あ…そういえば…ミスティック連合ってなんですか?」
「ふぅ(ため息)………連合っていうのは…ギルド同士の同盟…連合を組むと連合同士でバトルができなくなる。ミルフィオレはミスティック連合の連合長。連合ギルドは【ヒルデガーデン】【タピオカミルクティー】【拳で語る】【サムゲタン】【アリスinクロックタワー】」
「凄い組んでますね…。【ヒルデガーデン】だけは昔見た事あるような気がします。」
「ヒルデガーデンは…鉄壁を誇る良いギルドで…ルナについてくれたのは正直ラッキーだったよ。連合だと1万人いくよ。」
「いっ!?………一万。」
「…凄い数だよね…でも【ドルガバ】とかいうギルドはギルドだけで1万だからね。」
「…ギルド…だけで…。」
「困った事に、ちょっと敵対してるギルドでもあるから【ドルガバ】には気を付けてね。」
「はい…。」
和菓子を食べ終えて、店を出ると…
茶色の髪をハーフツインテールにした赤い瞳の女の人と黒い髪のカッコイイ感じの男性がバトルをしてるようだった。
「え。イチカさん、何やってるんですか?」
「シン君!?はやたんがバトル挑まれちゃって!」
はやたん…らしき黒い髪のカッコイイ男性…その向かいには闘牛のような角が生えた…茶髪ロングヘアーの…これまたカッコイイ感じの男性…背中には悪魔の羽っぽいのもついてて…なんだかどっかの魔王みたいだ…どうやらAIのようだ。
その後ろに金色と黒のストライプ色のドレスを着た…金髪碧眼美少女がいた。
「うわ。さっそく…。相手は【ドルガバ】のソヨンのAIシウか。ふーん、AI同士のバトルか。」
「そーなのぉ…どうしよう…勝てるかな?」とイチカさんは半泣きになっていた。
「……自分のAIを信じて応援してあげたら?」
「そ、そうだよね!がんばれー!はやたーーーん!!」
スマホでイチカさんの敵を確認しようとすると名前がハングル文字になっていた。
「…あれ。名前がハングル文字だ。」
「え?あぁ。設定開いて、次に言語、常に翻訳にしておいた方がいいよ。そしたら君からみた外国人の名前はカタカナで表示されるようになるから。」
設定を開くと言語という覧があって…そこを開いて常に翻訳にチェックを入れると…敵の名前がカタカナで表示された。
「あ。できました。」
「AI珍しいし、イチカさんはうちのギルド員だし見ていく?」
「え!そうだったんですか!?…見ていきます。」
「あーん!はやたーん!!負けないでー!!」イチカさんは必至ではやたんさんを応援する。
「イチカ、俺を信じろ。………だから、泣くな。」と、イチカさんに優しい微笑みを向ける。
はやたんさんの武器はムチのようだった。カジュアルな服装…防具…なのかな?
相手は魔法系らしく、闇の炎のような球体をはやたんさんに向かって雨のように降らす。
はやたんさんはそれを素早く避け、避けきれず肩に傷を負う。
「はやたん!!」イチカさんは泣きそうになる。
「っと、こんな大技…最初からぶつけていいのか?」
「ふっ…これが大技だと?」
はやたんはムチをシウに当てようとする。
「物理攻撃など…あたるものか!!………ぐはっ!!!」
しかし見事にはやたんのムチはシウさんに命中してしまい、シウさんは吐血した。
吐血をするという事は…肺のあたりにダメージがいった事になる…。
いったい今の動きのどこにダメージが?
「……どういう…ことだ…?」とシウさんは信じられないという顔をする。
「俺はお前に見せたはずだ。俺の速さを。あんなスピードの球体を避けて…両肩のかすり傷程度で済んでんだぜ?お前が今まで倒してきた敵はそれができたか?」
「…まさかっ。」
「…そうさ。弱そうに見えるよな?この武器。素早さが500伸びるんだぜ?俺は素早さに1000振ってる…素早さ1500の世界ってわかるか?」
はやたんさんがそう言うと数十体とはやたんさんの分身が現れた…。スピードで…たくさんいるように見えるだけなのは理解できるけど…どう…なってるんだろう?
「シウ……体力が!!!」とソヨンさんが焦っていた。
「なっ…!!!…っ!?」
シウさんの体力がみるみる減っていく。
「無数の針に刺されているかのような痛みだろ…これでも優しくしてんだぜ?」
あっという間にはやたんさんは勝ってしまった。
「はやたん!!!」勝利した瞬間イチカさんははやたんさんを抱きしめた。
「イチカは泣き虫だな。」とはやたんさんはイチカさんの目尻にたまった涙を指で掬う。
「帰るわよ。シウ。」
「…。」
ソヨンさんとシウさんはゲートを開いて帰っていった。
「……最近多いな。」とシンさんは顎に手をあてて考え込む。
「何がですか?」
「ドルガバにバトルを挑まれる回数だろ。」とはやたんさんに言われた。
「あー!!もしかしてりき君!?」
「え…あ…はい。はじめまして。新人のりきです。」
「ねねっ!春風のタクトを使いこなすってほんとー?」
「えっと…はい。」
「こら…イチカ、まずは自己紹介だろ?」
「あ!そうだったね。イチカです!よろしくね!こっちは私のAIのはやたん!」
「はやたんだ。よろしく。」
……うわぁ…かっこいいのに名前が…名前がっ!!
「コホンッ。じゃ僕ら急ぐから。」
「あ、うん!またね!シン君!りき君も!」
「あ、はい。」
シンさんが歩き始めたので、それについて歩く。
「大丈夫?買い忘れとかない?」
「ないです。多分。」
「ふーん。言っとくけど…畳はここの限定品だから部屋の床を畳みにしたいなら買っときなよ?」
「畳の予定はないです…。」
「じゃあ何にする予定?」
「まだ決めてなくて…。AIが手に入ったら…その子と一緒に決めようかなって。」
「へぇ。部屋は一緒にする予定か。いいね、それ。」
うわー…これ絶対ルナさんと一緒の部屋にいたかったやつだ。シンカさんにその座をとられたんだきっと…。
「わっ・・・。」
江戸の町を抜けると…砂漠が広がっていた。
「あ、マント装備してる?」
「はい、千翠さんに一式もらったんで…。」
「そう。ここから先は状態異常〔暑〕にかかるから。マント装備してないとじわじわ体力が削られるんだ。」
「え…0になったらどうなるんですか?」
「は?0にはならないよ1になるだけ。そんな体力でバトルとか申し込まれたら一瞬で終わっちゃうよ?」
「うぅ…初心者殺しな場所ですね…ここ。」
「初心者はだいたいチュートリアル学校で訓練されてここまでくるから、よっぽどの馬鹿じゃないと初心者では辿りつけないよ。」
……いいなぁ…新規って。
シンさんは素朴でボロボロな灰色のマントを羽織った…なんかシンさんらしくないというか…
ザクザクと砂を踏む音がする…砂漠なんて歩いた事ないけど…このゲームの事だ…絶対リアルと同じ感覚なんだろうなぁ…。
そんな事を考えながら進んでいると…突然シンさんの前に〔バトルに申し込まれました・カウントダウン開始〕と表示された。
「初心者のマントつけたら馬鹿が間違えて申し込んでくるかなーって思ってつけてたけど案の定。」
「え…わざと!?」
「そう…。ルナに少しでも手土産を送りたくてさ。」シンさんはそう言って純白で金色の刺繍がところどころ施されているマントに着替えた。
「は!?高難易度クエスト[ソロモンの宴]のレアマント!?」と青い髪の男性は姿を現すなり目を大きく見開いて腰を抜かしていた。
「残念だったね。武器は何にしようかなー…あ、最近手に入れた武器にしよ。試してみたかったし。」と言ってシンさんの手に一冊の程よく分厚い本がでてきた。
シンさんはその本を開いて…
「そ…それは…ピラミッド最上階の高難度クエストのレア武器じゃねーか!!」と敵の男性は顔を青くした。
「クスッ…さっきから良くわかってんじゃん。行商人でもやってたの?」とシンさんは敵に問う。
「あ、あぁ。レア武器を集めてはオークションを開いてた。お前の主人ってまさか…ミルフィオレのルナか?」
「……お前、僕の前で軽々しくルナを呼び捨てにするなんて良い度胸してるね。」とシンさんは笑顔で言った。
「ひっ!!ちょっ!!待ってくれ!!!」
「待ったところでさ。勝敗なんてついてるってわかってる?」と、次はとても意地の悪い笑みを浮かべて無数の炎の球体を浮かび上がらせてそれを敵にあてていく。
「うあああ!!!」と男は悲痛の叫びをあげた。
「ふーん。これが1階の技か。見た目の割には体力減ってないね。2階いっきまーす。」と言って、次は水の球体を浮かびあがらせてそれをまた敵にあてた。
「ぐあああ!!」と男は悲痛の叫びをあげた。
「うーん…いまいち…かな。」
「殺せ!!もう負けでいいから!!一発で!!!」と男はシンさんに懇願した。
…この世界の痛みは現実世界とかわらないくらいに痛いと感じる。……錯覚なんだろうけど、ほんとに痛い。
「えー…火と水ときて…最上階ってなると相当ダサイのがでてきそうだから嫌なんだけどなぁ。ま、いいか。」次は本から虹色の細い龍が飛び出して敵に向かっていき…体力を全て削り切った。
シンさんの目の前にWINとかかれた画面がでていた。
「だぁぁぁぁぁ!!!痛かったぁぁ。」と男は仰向けになって力つきていた。
「虹色の龍って…まぁ予想はできてたけどさ。さ、いくよ。」とシンさんはスタスタと次の町へと進む。
仰向けで力つきてる男が少し気になったが遅れまいとシンさんの隣を歩く。
「シンさんって…魔法使いなんですか?」
「まぁ…単体ではそうだね。でも…本職は結界はったり、防御魔法かけたりのが得意。サポーター的な。」
確かに…パジャマクエの時のシンさん…凄かった。あんな広範囲に結界はって…シンさんが凄いのかシンさんの武器が凄いのか…。
「僕とシンカって同じシリーズの色違いみたいなタマゴから生まれててさ、まぁ…矛盾シリーズっていうんだけど…そのタマゴから生まれたAIは武器か盾に変身できて…ご主人様の装備にもなれるんだ。」
「へぇ…AIにも色々あるんですね。」
「クスッ…ほんとに何も知らないんだね。君は?AIどうすんの?」
「僕は…近所の花屋さんのホログラムAIをこっちに引き込もうかなって…バトルポイントがたまったらAIチップを譲ってくれるそうなんで…それがどうなるか全く未知の世界で…。」
「ふーん、タマゴ以外のAIはだいたい性格とか顔や髪型が決まってて、知能も低い。設定を細々していかないと…タマゴは持ち歩いてるだけである程度その主の持ってる知識が得られるし…やっぱりタマゴにしない?強いよ?」
「それでも…僕は彼女以外考えられないんで。設定頑張ります。」
「自分で設定しちゃうとさ、自分に寄っちゃうからそれが嫌な人の為に委託育成とかもあって…僕がそう。千翠さんに育ててもらったんだ。そのAIの事…彼女にしたいならそれもありじゃない?」
「んー…でも僕は…手に入れたらきっと、絶対手放したくないから自分で育てようと思います。」
「あっそう…。君みたいなユーザーがもっと増えればいいのに。僕も…ルナに育てられたかった。」
シンさん…めちゃくちゃルナさんが好きなんだ…。
それから雑談しつつも…シンさんは何度かバトルを申し込まれて…もちろん全勝利して次の町に着いた。
「えっと…町…なんですよね?」
「潰れたみたいだね。」
朽ち果てた砂でてきた門の奥は…ボロボロの廃墟で…砂色のレンガでできた家や町が大きな金槌で壊されたかのようになっていて…MAPで確認してもNODATAと表示されるだけだった。
「ここのバトル王今倒されたばっかだね。NODATAって表示されるのってほんとその瞬間だけなんだよね。僕も確認するのは初めてだ。」
しばらく廃墟の中を歩いていると…突然目の前に【マグマランド】と表示され地面が突然熱くなった。
「うわっ!!あつっ!!無理!!どう!!!」体力も急激に減りだしてパニックになっていると…シンさんがゲートを開いてくれてそこに飛び込んだ。