【インセイン ザ サモンゲート】
サモンゲートのお試し日。
ルナさんから王宮の広間で試すようにと指示があったから俺と咲と護の三人で王宮の広間に来た。
「護が着いてくるなんて珍しいね。」
「流石に楽しそうだったんで。それにシンカさんから仕事を預かってますし。」
「仕事?」
「召喚された人のIDをメモる仕事ですよ。」
「あぁ。ありがとう。」
「僕の興味なんで。咲さん何か知ってるんじゃないですか?サモンゲートについて。」
「サモンゲートなんてものがあったなんて私も知らなかったし。これだけ人がいて全然情報ないし正直不安なくらい。」
「僕はてっきり咲さんがチート使ったんじゃないかなぁって思ってたんですけどね。」
「失礼な。そうホイホイと社長の目を盗んでチート使えないっての!」
また危ない話を…俺は少しため息をつく。
「じゃあ、はじめるから。」
護と咲は頷いた。
「サモンゲート!!!」
最初に現れたのは誰かのAIだった。ルナさんっぽい見た目だけど派手な服は着ていなかったからすぐにAIだと思った。
「あれ?こ~んに~ちわ~。」とめちゃくちゃアニメ声で言われて一瞬真顔になった。
「次!」と咲が手を叩いた。
「サモンゲート!!!」
数時間後…
「サモン…ゲート…。」
いったい何回サモンゲートと言ったんだろうか。流石に精神的にきつくなってきた。
ゲーム内なのに肺が苦しいし…どこまでリアルなんだ。それに…全然全員呼べてる気がしない。どうやら綺麗に発音しないと反応しなくて召喚されないようだ。
サモンゲートを唱える速度を上げないといけない。ついつい召喚された人を見てしまって口が止まったりしてるし、魔力は消費されてるけどハルが回復してくれるから無限に使えるし…早く終われと思いながら永遠とサモンゲートを唱える。
どれくらい時間が過ぎたんだろう…「がんばれ!」という声が聞こえてくる。
ていうか…いつの間にか本物のルナさんが近くの椅子に座っていた。
そしてついに全員召喚し終わったところで悪魔のようなホログラム画面が現れた。
[ゲートスキル上限突破報酬【インセイン ザ サモンゲート】を習得しました。]
「……インセ…あっ。」
そうだった…口に出すと酷い目に…。
「りき、お疲れ様です。全員召喚が終わりましたよ。」と護に言われた。
「ありがとう、護。お疲れ様。で…えっと…、あの!ルナさん!!」
「?」ルナさんは少し首を傾げた。
「新しいゲートのスキル…習得しました。」
「スキル内容は見れる?」
スマホを開いてスキル詳細を見ると「非戦闘の仲間を召喚します。」とあった。
「非戦闘の仲間を召喚しますって書いてます。」
「PTを召喚するって意味かしら…。一旦全員王宮の広間からでていって頂戴。」
ルナさんの一言で各班のリーダーが動き全員を王宮の広間から退出させ、俺と護と咲とルナさんだけになった。
「じゃあ、通常のサモンゲートみたいに設定を開いて指定できるようになってるかどうかを調べてみて。」
「あ、はい。」
スマホの設定を開いてゲートのところを見ると仲間という文字があってその下に[PT・隊・ギルド・フレンド・家名者]と書いてあった。
「ありました。…けど、家名者っ何ですか?」
「かめいしゃ?」
「はい…えっと…家に名前の名に人をさすほうの者。」
「家名………まって。」
ルナさんがスマホをいじって呼んだのはシンカさんと千翠さんとラートさんだった。
「どうした?」
「りきのスマホの設定に…家名って文字があったの。これって何か引っかからない?」
「家名…ですか。それはどこに?」
「あ、新しいゲートの設定にでてきたんです。仲間の指定に[PT・隊・ギルド・フレンド・家名者]って。」
「では家名者を選択して一度使ってみてください。それから考えましょう。」と千翠さんに言われて「はい」と返事して家名者を選択し「インセイン ザ サモンゲート!!」と唱えると、ホログラム画面がでてきて[現在実装されておりません。]と出てきた。
「現在実装されておりません。って出ました。」
「……という事は大型アップデートに含まれる 家 はハウジングではなく、家名で決定なようだな。」とラートさんが言う。
「凄いですね。大発見じゃないですかりきさん。」とシンカさんが小さな拍手をする。
「家名ですか…。大聖堂クエストとの関係性が少し気になりますが、家名はひとまずおいておきましょう。」
「そうだな。早く仲間をギルドに設定して新しいゲートを使ってみろ。」とラートさんが言った。
「あ、はい。」
「待ってください。念のため10mごとに離れましょう。りきから10m離れた地点にシンカ、シンカから10m離れた地点にラート、そして次にルナ。」
シンカさんとラートさんと千翠さんとルナさんは俺から距離をとった。
「OK」とシンカさんの声が聞こえた。ゲートの設定をギルドに変えてから「インセイン ザ サモンゲート」と言うとブワっと扉型の光の裂け目が何個もできて…それは恐らく…ギルド員の数だけある気がした。
数千という光…王宮の広間全てが光の裂け目で埋まるくらいだった。
そこで…強烈な眠気がきて眠ってしまった。
「ん……。」意識が戻って目を開いた。
「1時間丁度だな。」とラートさんの声が聞こえた。
「…えっと…何がですか?」と目を擦りながら起き上がると…王宮の広間は凄い人だった。
「お前が気絶していた時間だ。」
「え…あ…気絶。」
「それから30m以内にいる奴は召喚されない事がわかった。千翠は目の前に光の裂け目がでてきて潜らずに留まった。つまり、召喚されるかされないかを選択できる。」
「そうなんですね。えっと、サモンゲートは同じ空間内だと…召喚…され…」…あ。と思った頃には遅かった。
厨房で忙しくしていたであろうシンカさんが出てきてしまった。
「……言葉には気を付けろ。」とシンカさんに殺意をこめて言われてしまった。
「す、すみません。」
シンカさんはどす黒いオーラをだしながら厨房へ戻っていった。
「どんまい。…コホンッ。強制気絶状態の奴を運べるかどうかとか色々試させてもらったが、護に運んでもらうのが一番妥当だった。」
「え…でも護はまだ体が小さいですけど大丈夫ですかね?」
「わかってるな?ヴァルプルギスまでに二段階にしておけ。」
「え…あ…はい。」
丁度晩餐の時間になってみんなが席について、俺もシュガーさんの隣に座った。
サモンゲートの実験の結果報告や家名の話をしていた。
もし、家名というシステムが来た場合マーマーパパ班以外はすぐに試すのではなく、ギルド長の許可がおりてからという事だった。
「なんでマーマーパパ班だけなんですか?」
「あの班は自由をモチーフにしてるからな。基本的にトラブルが多い班だ。」
「え?トラブル多いんですか?」
「あぁ。それでもうちには大きな利益をもたらしてる班だからな。」
「へぇ…。」
オレオ君は隣で本を読みながらご飯を食べていた。
「こーら、食べる時は本読まないの。」と咲がオレオ君に注意した。
「えー…。」と渋々本をなおすオレオ君。
「母親かよ。」とサイファーさんが笑った。
「親子にしか見えねぇよなぁ。」とシュガーさんまで。
「ははっ。」と乾いた笑いがでた。
でも本当は…オレオ君と仲が良いのは護だった。
オレオ君に戦い方を教えたりとか色々してくれていた。
まぁ俺は…何もやる事が無い日、咲に高校の勉強を教えてもらっているから…。
おかげで成績落とさずに済んでいる。
次は護を成長させる事が目標か…護連れてダンジョンに籠るしかないのかな。




