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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【ログアウト】

ゲートをくぐって見えたのは変態紳士さんだった。


「あら?早かったのね♪数日はかかるかと思ってたのに。」


「りきさんのおかげですよ。」


「さっすが期待の新人!やるじゃない♪」と変態紳士さんは僕の肩をポンポン叩いた。


「いえ。僕は何も…ほんとに運が良かっただけで。」


「まだか。千翠。」


「…待ってください。もうすぐ…。」

千翠さんは何かを待っているようで、少しするとゲートが開いてシンさんが来た。


「わ。ほんとにダリアさん連れて帰ってる。」


「シン、すみませんが、りきさんをよろしくお願いします。」


パーティーが解散され、シンさんが僕にパーティー招待をくれて入ってみると、またシンさんとここにはいないshiftさんとでパーティーが組まれた。


「もういいな?」とダリアさんは戦いたくてうずうずしてるようだった。


「危ないから離れてようよ。」とシンさんに言われて練習場の端へ移動する。


「ちいろ、武器になって。」


「やだ。」


「………。」ダリアさんはスマホをポチポチしてお菓子を取り出してちいろさんに与えた。


「にゃっ!お菓子~!!しかも高いやつ!!」


「……戦ってくれたらご褒美にこれを渡す。」

と、ダリアさんが言うとちいろさんが赤く光って…真っ赤な血の滴る刀になった。


コツコツと…誰かの靴の音が聞こえて…青色の髪を七三分けにした いかにもエリートっぽい男性AIがダリアさんの方へ歩いていく。


「ダリアのAI、ミズホ。僕らと同じシリーズのAIの矛型だね。」


ミズホさんはダリアさんの近くまでいくと青い西洋剣の姿に変わった。


ダリアさんは二刀流らしい…。


「切れ味を試すだけですね?」


「あぁ。それは千翠にしか試せん。」


「でしょうね。」


千翠さんはいつもの回復扇しか装備せず、スマホを片手にもっている。


練習試合のカウントダウンがはじまり、0になった瞬間ダリアさんは千翠さんを凄いスピードで斬りつけにいった。


「1903ダメージ。ミズホ、本気をだしなさい。ちいろ5250ダメージ。上々。」と受けたダメージを回復しながら千翠さんが言う。


次にダリアさんは千翠さんの背後にまわって千翠さんを斬りつけた。


「ミズホ3600ダメージ。ちいろ5500ダメージ。」


「……ミズホとちいろに何の差がある。」とダリアさんに言われて、ミズホさんは武器化を解いた。


「何がいけない。」


「コホンッ。ミズホ、私への情を捨てなさい。長くい過ぎたようですね。」


「……千翠…様。」


「千翠、俺の武器に何してくれたんだ。」


「ダリアがいつまでたっても帰ってこないからミズホがこうなったんです。私のせいにするはおかしい。」


「ミズホ……いいか?俺以外はみんな敵だ。心に刻め。」


「ぷはっ(笑)ダリアさん相変わらず無茶苦茶すぎ。」とシンさんが笑う。


「…はい。」とミズホさんがまた武器化した。


ダリアさんはもう一度千翠さんを斬りつけた。


「ミズホ7000ダメージ!ちいろ5100ダメージ!」


「よしっ!!!ちいろ、もっとだ。もっと俺の為に力を出せ。」


「ミズホ6997!ちいろ5700!」


それから暫らくして……


「ミズホ8100。ちいろ8000!」


「よしっ……よしっ!!!俺が最強だ!!」とダリアさんが喜ぶ。


「最強…なんですか?」


「回復ポーション無しなら最強じゃない?ダリアさんはプレイヤースキル最強って言われてて…反射神経が凄いんだ。罰の付かないイベントでも1位とってたし。」


そんな凄い人が…。


「…そろそろ…晩餐ですね。シン、ルナの様子はどうですか?」


「え?あぁ…迎えいるんじゃない?」


「はぁ…(ため息)ダリア、ここまでで良いですか?」


「あぁ。十分だ。」


千翠さんとダリアさんは練習試合を閉じた。


すると目の前にホログラム画面が突然現れて…[不具合が検出された為、時間圧縮を停止します。]と書かれていて、アナウンスも流れた。


ちいろさんとミズホさんが元の姿に戻った。


「え…ダリア落ちちゃうの?」


「ん…23時には落ちないと、仕事が間に合わない。」


「ダリア様…せっかく戻ってこられたのに…。」


「ミズホ、ちいろを頼む。色々ここの事教えてやってくれ。」とダリアさんはお菓子をとりだしてちいろさんに与えた。


「お菓子~!!!」と ちいろさんはお菓子袋を抱きしめた。


「少し早いですが今回の晩餐は終業式になりますね。……りきさん、ログアウト後の事はわかってますね?」


「はい。」


それから千翠さんとシンさんと拗ねてるルナさんの部屋へ行った。


「ルナ、終業式の準備へいきますよ。」


「……なんで千翠がくるのよ。」


「ルナをこんなに泣かせた事、自分も怒ってます。」


「………あー…うるさい。いいからつべこべ言わず来なさい。」と千翠さんはルナさんを大広間までひっぱりだした。


「シンカ、終業式の用意を。」


「……ルナ、シンカに命令しなさい。」と千翠さんはルナさんの頬をつねる。


「いひゃい!!シ、シンカっ…やって!」


「ぐっ…千翠め…。」と言いながらシンカさんは大広間の小さいドアへ走っていく。


…席に着くころには22時30分。


大広間ではシンカさんの美しい料理が並ぶ。


「今期は1年と短い時間でしたが、みなさんお疲れ様でした。引き続きの方はよろしくお願いします。いつも通り幹部交代の時間ですので注意してください。」とルナさんの挨拶が終わった後、PM幹部達はログアウト時間と次の日のログイン時間を告げていく。


千翠さんとルナさんはログアウト無しらしい。


いつもの晩餐と違い…みんながAI達に予定を言ったり、いない間の事を話して落ちていった。


僕も落ちようとしたら、シンさんが近くに来た。


「いつもの終業式はもっと長いのに…。寂しくなるよ。」


「あ…そうですよね…。AIにとってはここから…。」


「うん、下手したら1年は会えない事になるし…時間の圧縮だけはどう動くか読めないからね。」


「そうですよね…僕らは一瞬みたいなもんなんですが…。色々教えてくれてありがとうございました。あ…そうだ。次は現実世界の写真、持ってきます。」


「楽しみにしてる。…携帯の電源、絶対切るように。」


「はい。」


こうして僕は【リアル】からログアウトした。


現実世界で意識が覚醒するとまず…深呼吸をした。


あの世界は…ずっと着ぐるみを着てるような不思議な感覚。


僕はすぐに携帯の電源を切った。


いつもは携帯で目覚ましをかけていたけど、今日は久しぶりに目覚まし時計をひっぱりだしてセットする。


…あれだけの事があったのに…たった3時間の出来事…。


…自室をでて、シャワーを浴びた。


………【リアル】の薔薇風呂…気持ちよかったな。


自然と右手をぎゅっと握りしめてしまった。


あ…そうか…タクトはないんだ……小人達に…挨拶するの忘れてた…ダメだな…僕。


シンさん…寂しそうな顔してた…。僕も明日からはAIを持つことになるけど…彼女を…咲をあの世界においたままなんて事できるかな…。

……無理だったら強くなってバトル王になって…施設に入ろうかな…。


お風呂から上がって、リビングへお水をとりにいくと…姉さんが丁度仕事から帰ってきていた。


「あれ?アンタがこんな時間にお風呂なんて珍しいわね。」


「姉さん。久しぶり…。」


「は?朝会ったばっかじゃん。頭大丈夫?」


……ヤバイ…時差が…。


「あー…うん。大丈夫だよ。」


「アンタもしかして…【リアル】はじめたの?」


「え・・・。」


「え、じゃないわよ。会社でも良く、さっき会ったばっかりなのに「久しぶり」って声かけられんのよ。」


「へぇー…。」


「やってるわね。その顔は。」


「うん。」


「ほどほどにしときなさいよ~。あの会社嫌いなのよ。」


「あの会社ってムーンバミューダ?」


「そう。うちの会社もあの会社のいいなりで、色々大変なのよねー。」


…僕と姉さんは10歳ほど歳が離れてて…父さんは時々帰ってくるけど…母さんは…2年前に仕事へ行ってから帰ってこない。

でも、月々の生活費が姉さんの銀行に入ってるらしくて…仕事をしてるのは間違いないらしい。

姉さんが基本的に僕の面倒と家事をしてくれている。僕ももちろん手伝ってるけど。

正直…母さんが消えてから2年間…色々大変で…やっと僕も家事に慣れてきたところだった。


冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して飲む。


「風邪引かないようにねー。」と姉さんは自分の部屋へ入って行った。


施設に入ろうとかさっき考えてたけど…僕が施設に入ったら…姉さんが一人になっちゃうし…無理…かな。

別の方法何か考えないと…。


髪の毛をドライヤーで乾かしてから部屋に戻って…ベッドにもぐりこむ。


………家の有難さがわかる…最後はベッドも良くしたけど…あの埃っぽい部屋での生活…ほんとにつらかった。


……呼吸は自然としてたはずなのに…呼吸をするのも新鮮で…


…いつの間にか眠りに落ちていた。


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