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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【全ての終わり。】

ソルの体を得た陽子は誰よりも美しくカッコよかった。

体を得たアイツは誰よりもスマートでカッコよかった。

僕はそんな二人をいつまでも見続けていきたいと思った。ソルは細いレイピアのような片手剣を使っていて、やっぱりソルには剣が似合うと納得していた。

アイツは黒い刀を使っていた。それもまた似合っていた。

僕は特等席でホログラム画面を出して、ソレをずっと見ていた。赤い部屋にフカフカの玉座が3つ。意識の無い咲と僕とシンが仲良く座っていた。

「二人は…僕なんかより数十倍も主人公してて…カッコイイ。やっぱり僕は主人公にはなれなかったな。」

「そんな事ない。りきは十分主人公だった。それは今も変わらない。必ずしも主人公がああでないといけないルールなんてないんだ。君は間違えなく、主人公だった。」

「シンは…凄いね。」

「まさか、このゲームが終わった後の事を考えると不安でいっぱいだよ。どうやって日本にいけばいいか検討がついてないからね。」

「なら、迎えにいくから基地で待ってて。必ず神崎の人に迎えにいってもらうから。」

「良かった。正直、僕一人ほっぽり出されても日本へ渡れるか不安しかないよ。」

「ハハ。もうすぐ、この世界が終わるね。」

「そうだね。見てる感じ、物凄いスピードで制圧してるもんね。」

「うん、シン。僕の分も世界を楽しんでくれ。」

「言われなくても、そのつもりだよ。」とシンは今にも泣きだしそうな目で、少しだけ声を震わせていた。

「ありがとう。最後を僕と一緒にいてくれて…ありがとう。」

「友達じゃん。当たり前。」と言いながらもこらえていた涙を流すシン。

二人でずっと【リアル】を覗いて過ごした。


本当の終焉の時が来ていた。

地球上の建物を壊し、さら地にした。このゲームが終わった後は、今皆が収容されている白い建物でしばらくは暮らす事になるだろう。壊したのは建物だけでなく、車や乗り物系を全て壊した。但し、電車は残した。とても殺風景で星がとても綺麗に見える世界だ。僕はトンボの目から時々変わりゆく現実世界を眺めていた。ほぼ虚ろな状態で終わりを見ていた気がする。

今になって、どうして僕が死ななくちゃいけなかったんだろう?だとか…死んでしまってるんだから今をありがたいと思うべきだとか…沢山の言葉が浮かんできた。


見事に全制覇を果たした僕の器。皆が僕を指示していた。本当に主人公みたいだ。現実世界の準備が整うのと合わせた全制覇だ。これから人々はかなりの苦労を強いられる事だろう。でもそれは今まで楽をしてき過ぎたツケともいえるだろう。楽な方へ楽な方へと生きて、いったい何を得られるんだろうか。まぁ…これからの世界も僕はここから見守り続ける事になる。

終わるんだ、僕は…これからも一人だ。ずっと、ずっと、ここで…。

「りきさん。」と咲の声が聞こえた。

「咲?…いや、朔良?もう大丈夫なのか?」

「はい。ダリアさんが全て上手くやってくれましたよ。全員救出されました。一部残る人もいるそうです。天竺様も無事です。…それから私の体も無事でした。」

「良かった…本当に良かった…。」と僕は心の底から安堵した。

「間に合ったみたいですね。」と言って【リアル】が映し出されたホログラム画面を覗く朔良。

「シン、時間だ。今まで本当にありがとう。」と言って僕はシンの手を握った。

「…僕、楽しむよ。いっぱいいっぱい…楽しむから。頑張って生きるから…。りき、僕を見てて。」と泣きじゃくるシン。

「うん。見てるよ。ずっと。」と僕の目からも涙がポロポロ溢れてきた。

色々あったなぁ…。


アイツが全員にログアウトの指示を出した。それと同時に【リアル】に接続されている全てのユーザーのログアウトを解放して現実世界で目覚めさせた。AIもNPCもダンジョンのBOSS達も全て解放した。

終わった…。終わったんだ全て。 ふと、ギュッと手を握られてドキッとして隣を見れば朔良が残っていた。

「どうして…。」

「私は残れるように組み替えてもらっています。りきさんが一人にならないように、神崎家からの配慮です。」

「そっか…そっか。」と再び涙が出た。シンは力なく微笑んで椅子にもたれて倒れていた。

「朔良、少し歩こうか。」

「はい。」


僕と朔良は誰もいない【リアル】の初心者村にワープした。

いつでも賑わっていて活気溢れる最初の町。人が沢山倒れていた。人だけでない鳥や犬や猫も…全ての生き物が倒れていた。

それを僕は魔法を使うかのように複数の体を浮かせて、壁をすり抜けさせて、全員を空いてるベッドへ運んだ。そうコマンド操作しただけだ。

しばらくは暇だから、全ての国をこうして回ってもいいかもしれない。

シンを見守りつつ。


シンは基地で待っていた。何日も何日も僕を信じて待ってくれた。

シンを迎えに来たのは意外な事に僕だった。正確には僕の体を乗っ取ってるアイツだった。

「シン、迎えに来た。」と言ってシンに手を差し伸べる僕。

「りき…じゃないよね。でも体はりきなんだね。」

「すまない。まだ…私はこの体でやらねばならない事が残ってる。」

「そうですよね。僕にできる事があれば協力しますよ。英雄、りき。」と言ってシンは僕の手をとった。


専用ヘリからの眺めは凄かった。どこもかしこも白い建物しかない。

僕のトンボはシンの肩にとまっていた。

「りき、見てる?海だ。水がこんなにも沢山あるなんて…。感動だよ。でも【リアル】では嫌ってほど見てきたから、ちょっと薄いかも。」と呟く。

聞こえてる。聞こえてるよシン。ガリガリにやせ細って自分で上手く体を動かす事ができないシンは、ただぼーっと窓を眺めていた。


英雄りき。現実世界ではそう呼ばれていた。領土だとかそういうのは全て無くなって、ほとんどの土地が畑になった。植林も沢山されて、まるで縄文時代や弥生時代のような風景だ。服も制服のように皆が同じものを着ているせいかもしれない。

誰もが暇なく農業や畜産、漁業をしていた。もう過ちは繰り返してはいけないという事で新しい発明はできない事になっている。

この状態が何年続くかなんてわからない。【リアル】の痛みを知らない世代はきっとこの先また発展して【リアル】を生み出してしまうんだろうと思う。

歴史は…繰り返される…何度も何度も…不変なんて続かない。

ヒトがヒトというものをしっかり学んで正しい道に進まないと…また【リアル】ができてしまう。

僕という犠牲は…いや、生産性が無いと判断されて処分されてしまった人々の犠牲をいつまでも覚えていてほしい。こんな事許されないはずだ。


「りきさん。また難しい顔をして…。」

「ごめん。亡くなってしまった人達の事を…少し考えてた。」

「いつか、現実世界に戻ったら…子供を作って仲良く暮らしたいですね。」

「そんな時ってくるのかな。」

「来ますよ。絶対に。だから私は…貴方のツガイなのですから。」


そういう未来が…いつか来たなら僕は本当に…君と一緒に…。


一応の本編完結です。次回はその後を少し描きます!!そこを完結とするか今を完結とするかは読者の皆さんにお任せします。 初回投稿日 2019年 11月04日 から 2022年 7月24日まで本当にありがとうございます。沢山誤字脱字を出してきて、沢山つじつまがあわないヶ所があったかと思いますが、ゆっくり訂正していきたいと思います。今まで主人公りきを応援して下さって本当にありがとうございました。メタバースほっておくとこうなっても仕方ない気もする。だけど一部の国はそうならないように抑えこんでるらしいです。例えば、アナタが世界の覇権をとって人間が増えすぎたと感じた時、どこの層から減らしますか?70歳を過ぎた年配者から減らした場合、自分も70歳になったらそうなると覚悟しなければなりません。等々、気付いてもらえれば幸いです。未来は明るい方が良いのです。私はこの物語に人生で学んだ全てを詰め込みました。何よりも愛を優先しがちな作者です。愛はとても素敵で素晴らしい薬だと思っています。主人公りきの完結はどこにあるのか。次週、日曜日またお会いしましょう。ここで完結とする人の為に、今までありがとうございました。

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