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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【ツガイ】

頭の中がゴチャゴチャで記憶の時系列もバラバラで今の俺はとてつもなく不安定だ。

でも今は…全て後でいいや。

俺が俺の体から引きはがされて俺と瓜二つの黒い俺の中に…僕は入った。

もう頑張らなくて良いやるべき事は全て終わったから…。


人間はさ…目に見える悪としか戦えない。だから僕は…みんなにとっての目に見える悪になる。

『私はムーンバミューダ社…社長です。我が社が開発した【リアル】をお楽しみ下さり誠にありがとうございます。皆さん…いかがお過ごしかな?』

歓声の次に聞こえてきたのは沢山の罵声だった。中には絶叫する人もいた。

みんな…もう少しだから…待ってて。もう悪はいないんだ。後は…今の現状に気付いていない人をどうにかするだけだから。

僕は空に浮かんだ。それから重力を全員にかけて跪かせた。

さりげなく、元の体のIDを新しい物に…もともとアイツが用意していたIDに書き換えて、咲を宙に浮かせた。

「な、なにを!!」

『ご苦労だった。小さな…勇者さん。』と言って、AIの契約切りをしてから、中の陽子を弾いて…元の体、ソルのIDを解禁してその中に陽子を戻した。

自然と本物の咲は俺の後ろについた。

「いったい何が?」と困惑するシンカさん。シンカさんの隣にいたシンが重力に逆らって俺の元へやってきた。

『どうして…。』

「僕にはわかるよ。僕も連れてってよ。ルナには…シンカがいるからさ。」

『いい…のか?』

「寂しいでしょ?」

シンの契約を切った。「うっ」と呻くシン。だけど、記憶障害が起こる設定は削除しているから特に問題はないはず。

僕とシンと咲は空へと登っていく演出をした。

『その身が朽ちるまで、【リアル】をご堪能下さい。ハハハハハハハ…。』


ワープした先には少年が立っていた。その少年は真理を完全にコピーしたAIだ。今はとても従順な真理。

「お待ちしておりました。りきさん。」

『うん。案内してくれ。』

シンも咲も何も言わずに、聞かずに僕の後ろをついてきてくれた。

内臓のような気持ち悪い壁の通路を通った先に赤い部屋があって、部屋の中には赤い玉座と味のある机があった。

「こちらに座れば、全てを視る事ができます。」

『ありがとう。』

僕はドサッと椅子に座った。


『シン、ほんとに良かったのか?』

「ルナが泣いてる?」

『うん』

「いいんだ。もう。りきの方が泣いてるから。」とシンが優しく僕の肩に手をのせた。

咲がハンカチを差し出してくれた。そこでやっと自分が泣いている事に気付いた。

僕泣いてたんだ。椅子に座った瞬間、自分の本当の出生がわかった。

僕は……最初母さんに愛されてなかった。神崎家の決められた相手と結婚し、身籠った母さん。

でも…父さんはとても良い人とはいえなかった。真理に犯された反東宮派の人間だった。

母さんは最初僕を置いて…下山した。暫くして僕は神崎朔子さんのところへ預けられる事になった。そこで…咲の本当の中の人、朔良(さくら)と出会った。

これが…僕と咲の本当の始まりだったんだ。


まだ、ほんの赤子だった僕に朔良はお構いなく話しかけてくる。

「はじめまして。りきさん。」

朔良の声は陽子と良く似ているけれど落ち着きのある優しい声だ。陽子はどちらかと言えば凛としていて張りのある声。同じ声でも出し方によって全然違うんだなぁ。

「りきさん、ツガイって知っていますか?」

ツガイ?

「神崎家の純粋な血統を持ってる人には、手に触れると運命の相手が分かってしまうそうなんです。」

それ…赤ちゃんに言っても絶対わからないよ…。朔良は僕の手に触れた。

「最初に聞かされた時、へぇ~…くらいにしか思ってなかったんです。でも、りきさんに会えてようやく分かりました。貴方が…私のツガイ…なんですね。」

僕にも…わかってしまった。正確にはこの時よりも未来の自分にもだけど。凄いな…一瞬で心が満たされて愛しいと思ってしまうなんて…。いったいどういう仕組みなんだろうか。

「不思議ですよね。運命ってだいたい決まっているそうなんです。運命を変えられる人は、ほんの一握り。未来を見通す力があっても口外すれば未来が変わってしまって、そこから変える事も軌道修正する事も…一人では難しいのです。いくら未来がわかっても…何の力にも…なれないのです。りきさん…貴方は近いうちに死んでしまうのですね。せっかく出会えたツガイなのに…。」

泣かないでほしい…どうにかして…君の涙を止めたい。泣かないで…。手を伸ばすと見ている視界がぐにゃりと歪んで暗転して、次は自分の体がそこそこ成長している事に気付いた。10歳くらいだろうか…。その間の記憶もスゥーッと入ってきた。僕は…できる限り朔良と幸せな時を過ごしていた。今日まで…。

僕を置いて下山して母さんは、とある警察官の人と、その弟さんと三人で一緒に幸せに暮らしていた。弟さんは歳が離れていて、まるで自分の子供のように育てていたらしい。だけれど…その警察官の人が僕を息子として迎えたいと言ったらしい。僕は朔子さんに手を繋がれて下山していた。

下山途中で朔子さんはおかしな事を聞いてくる。

「本当にいいの?」

「…?」

「このまま降りてしまって…いいの?」

「降りない事もできるんですか?」と過去の自分の口を動かせる事に気付いて驚いた。思わず自分の口を触った。体も自由に動く。

「貴方が望むなら…未来は今ここで少しだけ変えられる。」と言いながらも下山する足を止めず、まるで口と体は別々かのような行動だ。

もしかすると【リアル】自体を無くしてしまう事もできるかもしれない。…だけど、だけど…【リアル】で失った人々は確かに戻ってくるかもしれない。だけど…このまま発展を続けて地球は無事なのか?資源を使い続け…水も無駄に使い続け…ゴミを増やし続けて…本当にいいのか?

一瞬…頭の中に荒れ狂う灼熱の大地の姿が見えた。ダメだ…。もう後戻りはできないけど…せめて…。

「……ひとつだけ…お願いを聞いてもらっていいですか?」

「なぁに?」

「朔良に、自分の体を大事にしろと伝えて下さい。僕は確かに一度死にます。でも生き返ります。その時の為に絶対に自分の体を犠牲にするなと…言い聞かせておいてください。」

「…わかったわ。………ありがとう…朔良を守ってくれて…。」と朔子さんの目からポロポロと涙がでていた。


その後は下山しきって…中学を卒業した頃に僕は死んでしまうんだ。


意識が一度、赤い部屋に戻ってきた。

「りき…さん。お迎えが…きました。」と咲が言葉を詰まらせながら僕を呼んだ。

『戻っておいで、朔良。それから、またここに来て。』

「はいっ…はいっ!必ず。」と涙を流しながら嬉しそうに返事をしたと思えば体がバタリと床に倒れた。

ダリアさんが天竺さん奪還に成功したんだ。そりゃそうだ。邪魔は全て排除してあるんだから。


「りき、何があったの?」

『神崎家の一部は未来視ができるんだ。僕を見てる人に咲の現状を伝えただけだよ。』

「え?じゃあ…今が書き換わるって事?」

『書き換わったみたい。』

「そんな…ゲームじゃあるまいし…。」

『そうだシン…。シンにも…悲しい現実を見せてもいい?』

「僕の現実の記憶を戻すつもりでしょ?」

『どうして…。』

「何年友達やってると思ってるのさ。」

『ははは。もうすぐこのゲームも終わっちゃうから、その前に全てを知っておいたほうがいい。無事に日本へくる為にも。』

「うん。お願い。」

僕はシンの記憶の回路を開通させた。シンは目を閉じて、とても辛そうな顔をして…最後には涙を流した。

流行り病にかかってしまったらしく、投稿が遅れました。すみません!!なんとか…書き上げる事ができました。今回は未来視できる奴に世界崩壊の未来みせとけば、なんとかしようと動くよねっていう話です。例えば【このまま電化製品を使い続けて温暖化で地球が崩壊する】というのを予言者達に見せれば信じて動く人と信じないで使い続ける人がでてきます。ノストラダムスの大予言は多くの人が信じ、その日を待ちました。何もなかったけど。

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