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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【未来は・・・明るい方がいい。】

カチ…カチ…と時計の針の音が頭に鳴り響く。


これは過去の記憶だ。俺が完全に封印していた記憶。

俺が初めて黒い鍵を使ったのは…幹部同士の練習試合が初めてじゃない。

ほんとは下の世界にいた時一度使ったんだ。だけどそれは俺達の意思で最後の時が訪れるまで封印する事にした。その封印が今とかれた。


赤く憎々しい空間に俺は連れていかれた。

【良かったなぁ、力が得られて。】と言ったソレは黒い影だった。

「お前が…【リアル】を作った社長か!!」

【そうだとも。力欲しさにここまで落ちて来たお前にもう未来はないがな。】

「いや、そうじゃない。誰よりも未来を見据えてるのはお前で…仕方なく俺も利用されるそうじゃないのか?」

【は?何を戯けた事を。】

「お前は一つミスをした。」

【この完璧な俺様がミスをするわけないだろう?】

「いいや、ミスをした。俺を取り込もうとした。結果お前は俺の中に入った。」

【それのどこがミスだというのだ。】

「お前…自分が一人だとまだ思っているのか?」

【何?】

「完全に殺したと思ってないか?」

【だから何を‥‥ん?・・・・。】

「お前が殺したお年寄や生産性が無いと判断した人達は…だれかの生き甲斐であり、大切な人なんだ。迷惑になるだけじゃない。それに俺達の未来の姿でもある。今の若者はお年寄は生産性がなくて迷惑をかけるだけだと思ってる人も…消したら俺らは未来がないのも同然だ。生きる意味を失う。そうだろ?お年寄を生かすという事は俺達もその歳まで生きられるという事だ。お前は…生きたかったんだろ?ずっと。陽子と同じ時を一緒に…歩みたかっただけじゃないか。」


黒い影はゆっくり…ゆっくり…段々と色が付き始めた。

彼は泣いていた。


「生産性がないと判断されて働かなかった人たちは自分の能力を発揮できる場所を失ってしまってるだけで決して生産性がないわけではないと思う。もちろん育った環境の差もある。子供に偏った教育をしてしまう人もいる。それらの犠牲者だ。それをそんな風に殺してしまってはダメだ。殺されるべきは本当に偏った教育を受けた子供なのか?違うだろ。お前がヒトの未来を見るように俺らヒトにも未来を見られるようにしてくれなくちゃ…絶望の中…皆が死んでしまう。未来は…明るいほうがいい。」


俺の言葉は…稚拙だったと思う。

でもアイツには確かに届いたんだ。未来が。

頭の良いアイツは俺の言葉を聞いて、このままだと生きる意味を失っていくヒトが出てくることに気付いてくれたんだ。

ヒトは…宇宙人によって生み出された。それは労働を強いる為に生み出された。

地球から手を引こうとした時、ヒトを皆殺しにしてしまおうと宇宙人のリーダーは思った。だけど、ヒトに情を抱いた4人は立ち向かった。それが神崎の祖先だ。

彼らは今でいう動物愛護的な思想の持主達だった。宇宙人にとってヒトは…動物だったから。

宇宙人とヒトは…認めたくないけどヒトとペットくらいの差がある。

宇宙人は俺らが何十年生きても絶対に追いつけない知能や知識を持っている。俺らはペットに過ぎない存在だ。4人はそんな俺らを必死に守ろうとして残ってくれたんだ。そんな人たちがヒトを全滅させようとするわけがないんだ。ヒトの血が混じって薄れてしまったのなら呼び起こすまでだ。


【まさか…ヒトに負けるとは…な。君の言う通りだ。目が曇っていたかもしれない。歪な真理に身を任せていた。真理が全て正しいと思っていた。でも違った。君の話を聞いて奴が動揺して身を引いた。君が…勝ったんだ。】


「…俺は頭が悪いから、もっとちゃんと理論を説明したりできないけど、確実にお前がしようとしてた事はヒトのキモチっていう生きる理由を阻害しているものだった。」


【君の言う通りだ。】


「だけど、お前が必要なのも確かだ。…【リアル】を…この世界を作ったんだ。俺はお前ならできるって思ってる。今からでも遅くない、明るい未来に塗り替えるんだ。こうならないといけなかったんだ人間は。痛い目を見ないとわからない人が多い。怠けてしまってるところもある。でも、お前ほどの天才なら…どうにかできるんじゃないか?」


【君は私を買いかぶりすぎた。】


「お前は心の底では自分を止めてくれる人を探してたんだな。これからは俺がお前の変わりをするから、お前が善になって行動してくれ。」


【お前に悪は無理だ。】


「悲しいけど、ヒトは目に見えないと悪を認められないだろ?だから時が来たら俺が悪になるよ。その変わり、お前は善も悪も操作するんだ。」


【何を…何を言ってるんだお前は…。】


「だって、俺はもう‥‥」


    ・

    ・

    ・


「…あなた…りき…くん?」そう言った彼女は酷く青ざめていた。まるで…幽霊でも見ているかのような酷い顔だ。


「どうして…。」と言えば、俺の様子が変で心配になったシンと咲と護が駆けつけて俺の隣と後ろについてくれた。


「だって声が一緒だし…それにIDも同じ。どうして…だって…だってりきくん…交通事故で…亡くなったじゃん。」


    ・

    ・

    ・

「だって…俺はもう…数年前に死んでるから。」


神崎家の血を引く俺は長寿だった。ゆっくり歳をとっていく。だから一般人と混じって暮らすのは大変だった。役所や政界にでている神崎の人に裏で操作してもらってやっと生活できるレベルだ。

成長するまで進学できない期間がある。その期間にできた新しいゲーム【リアル】で俺は遊んでいた。山を降りて仕事がない神崎の血筋の為にムーンバミューダ社は手を差し伸べていた。俺の母さんは差し伸べられていた手を掴んでいた。

俺は密かに【リアル】で出会った子と家が近いと理由でひっそり会うようになっていた。母さんは夜にならないと帰ってこないしバレずに会う事ができた。

その女の子だけでなく、もう一人男の子の友達もできた。

3人で公園に集まって、会話をして、途中で【リアル】の中に入ったりして遊んだ。


だけど、たまたま俺が公園を出た瞬間…俺は車にはねられて死んでしまった。

いつか出会ってしまうんだろうなって思ってたけど…時がきたらの時はソレをさしていた。

出会ってしまったんだ。終わるしかない時を。

死体を見て母さんはアイツに「何でもするから息子を生かしてください。」と願った。アイツは長く生きられる神崎の血を引いた体を求めていた。その時、丁度良い器が手に入ったのだ。

俺はまた息を吹き返した。【リアル】を使って脳に刺激を与えて再活性させる事に成功した。

もうその時点で俺の中にアイツはいたんだ。母さんは記憶を消されてヒルデとしているのは当然だった。

父さんと姉さんは俺が死んだ後にできた人だ。俺は脳が再活性するまでムーンバミューダ社で入院していた。

だから…姉さんは本当は俺の妹だったのか。自分が死んでいるという事実に気付いたのは…ヴァルプルギスの最中だった。ずっと嘘だと見ないようにしてきた。でも…もうそんなの言ってられないよな。みんなの命がかかってるんだ。もう死んでしまっている俺だけど、みんなを救ってみせるよ。


封印していた記憶はいくつかあった。俺も…神崎としての務めを果たす時が来たみたいだ。


俺は深く息を吸ってから「行こう。咲。」と言った。

優しく微笑む咲が俺の手を静かに握った。


     ・

     ・

     ・

ゴロゴロと雷が鳴り始めて、雲行きが怪しくなって歓声が止まった。

【時が来たか…始めよう。終焉を。】

閲覧ありがとうございます。とても…重い気持ちで書いてます。よければブクマで励ましてもらえると元気がでます。メタバース、アヌンナキ、とことんそこらへんを勉強して書いてます。あってもおかしくない話だと思って書いてます。

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