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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【神崎天竺】

また誰かの体に憑依したカタチで過去を見ているようだ。真紅の美しい生地で作られた王子様のような服…茶色い皮のズボン…膝あたりまである黒いブーツ…

そして…血がしたたる刀。この衣装には見覚えたがある。ダリアさんだ。幹部クラスのほとんどは国外にいると思ってたのに残ってたのか。アイツと良い勝負しそうなくらい綺麗で美しい動きな気がする。

アイツはいつも芯を動かさず手だけを素早く動かして戦うのに対してダリアさんは全身を使って動きが多いようにも思えるがそれが最小だ。これが剣術の違いってやつか。

秒で悪魔を倒していく。

「ダリアさん!」と戦闘中のギル員がダリアさんを見て嬉しそうな声を上げる。

「俺の城で騒ぐな…。」と呟き、悪魔を倒して前へ進む。ダリアさんはコツコツと足音をならせて視界に入った悪魔を次々と消し去っていく。もうどっちが悪魔かわからない。

ニヤリと口角が上がった感覚がする。目の前には人型の綺麗な容姿をした男性の悪魔が立っていた。

ダリアさんは剣をもう一本装備して双剣状態で敵を斬る。

しかし、敵はそれを軽やかに交わした。

「待て、私は味方だ。名はヴァッサゴ。そなたに予見を与えにきた。」と悪魔ヴァッサゴ。

「悪魔は皆味方だと言うだろうな。」とダリアさんは次の一撃を繰り出す。しかしヴァッサゴは華麗によける。

「…うむ。確かにそうだな。そなた、計算は得意か?」

「は?」

「計算は得意かと聞いておる。」

「…まぁ、人並みには。」と少し口を尖らせて答える。

「………はははっ。悪い。仕草が全然変わっていないな。牡丹(ぼたん)。」

とヴァッサゴはとても優しい顔でダリアさんを見る。

「……ん?……親父か?」

「そうだよ。牡丹(ぼたん)。」

「捕まってた…のか。良く俺だってわかったな。」

「そうだね。名前と仕草で直ぐに牡丹だってわかったよ。後、声とね。ダリアの日本語名は天竺牡丹(てんじくぼたん)。私の名前の天竺(てんじく)と自分の牡丹(ぼたん)を掛け合わせたんだろう?」

「…っ///」ダリアさんの顔面がカァァっと熱くなった。恥ずかしいような照れているような感情を感じた。

「牡丹もすぐに私だとわかってくれて嬉しいよ。」

「俺も声と喋り方で親父ってわかった。そうか、親父は捕まってたのか。てっきり東宮派の奴らに殺されたかと思ってた。」

「東宮派は温厚さ。殺しはしない。敵は千翠君の中にいた真理だ。」

「親父の最後の手紙通り……千翠の中にいた真理は俺の血で薄めた。それと月子への強い思いでどうにかマシにはなった…のか?DNAに刻まれていても記憶の更新ができたのは確かだ。もう昔の千翠じゃない。」

「そうか。私の理論は成功したか。残念な事にもう数年はこのゲームの実験に使われている身だ。きっと体の筋肉は衰えて上手く動けないだろうね。脱出の目途が立たない。そのまま死んだと思っていてくれ。母さんは元気か?」

「元気だよ。だから帰ってこれるように努力だけはしろよ。俺も頑張るからさ。」

「そうか。そうだね。あぁ、そうだった。予見を与えにきたよ。近いうちに魔王が君臨する。それと同時に小さな勇者が現れて…皆を救ってくれるだろう。」

「…それは今必要な予見か?」

「だから牡丹。母さんにもうじき帰ると伝えてくれないか。」

「わかった。」

「ならもう逝くよ。斬ってもらえるかな。」

「……それはできない。」

「斬るんだ。時間がない。皆が傷ついているよ。」

「皆は…放置してもペナルティになるだけだ。大丈夫。」

ダリアさん!?

「牡丹!?」

「・・・・。」

「わかった。じゃあ一緒に行こう。それで斬れる人に斬ってもらうよ。」

「斬らせない。」

「うー…ん。」と困った顔をする悪魔ヴァッサゴ役の天竺さん。


その後、また違う体に入って戦いをみていた。ダリアさんが止まった事によって、ずっとギリギリの戦いをしていた。でもペナルティぎりぎりのところでルナ班の人達や副官クラスの人達が助けに入ってなんとかなっているようだった。


次の体には見覚えがある。これはShiftさんだ。うわ…俺Shiftさんの体に…。

Shiftさんは今騒動に気付いたようだった。だいぶと皆が傷ついて、もうペナルティ一歩手前といったところだ。

「なんだこれ。」と呟き、城の惨状に唖然とする。トランプを取り出して、ジョーカーを一枚引いて額に当てて「お願いします。助けてください。お願いします。」と念じればトランプが散らばっていっていく。「ヒール!!」と叫べばグっとShiftさんのMPが減り始めた。Shiftさんは急ぎ魔力ポイント回復の課金薬を取り出して飲みまくった。

Shiftさんに憑依した今だからわかってしまう。とんでもない疲労感を。いつもなんでもなさそうな偉そうな感じなのに、実際はとても疲れていた。根底にあるのはルナさんを思う気持ちだけだった。

なんて…深い愛なんだ。

Shiftさんのさっきのヒールはいったいどこに…。

薬を飲みながらよろよろと移動するShiftさん。減り続ける魔力ポイント。

暫らく歩いていると背中にペタリとカードを貼り付けたギル員が戦闘していた。相手から攻撃されても体力が減っていなかった。

これはShiftさんの力…なのかな?だとしたらかなりのぶっ壊れ武器だ。だけど痛みを受けているようにも見えた。Shiftさんは無痛持ちだから、痛くはない…と思ってたけど一気に痛みを受けるとなると話は別なのかもしれない。こんな大技を隠しもっていたのか…。

皆がこんなにも頑張ってるのに…俺は力尽きてしまった。

Shiftさんが苦しみに耐えながら向かった先はルナさんの部屋だった。不思議な事に…俺が入って行った。そうか…これは過去だ。同時間…俺は戦って…その後ルナさんの部屋に…。

とてつもない嫉妬心を感じた。ほんとにshiftさんは俺に嫉妬してたんだ。

しばらくShiftさんはルナさんの部屋の前に立っていた。

それからコンコンとノックすれば勝手にガチャッと音がして扉があいた。

「…ルナ?」と呟くShiftさん。

すると目の前には俺が横たわっていてシンに精神ヒールをかけてもらっていた。

ルナさんが起き上がっていて、此方…つまりShiftさんの目を見てシッと唇に人差し指を当てていた。

…ルナさんは俺の手を握った。

「ルナ?」と今にも泣きだしそうな顔をしたシンが驚いた顔をしてルナさんを見た。

「よく…頑張ってくれたわ。」

「ルナ…っ!りきがっ!」とシン。

「タクミ、りきのメンタル治療をお願い。」

「……わかった。」

さっそくShiftさんは俺に一枚のトランプを貼り付けた。

「俺の治療は…高くつくぞ。…いくらとればいいだろうなぁ。…ヒール!」と言えばShiftさんは鼻や口、耳からも血がでていた。

「タクミさん!!」とシンが驚く。

「ははっ。お前はそれくらい苦しんどけ。」

「横からヒール!」とシンカさんが起き上がってShiftさんに薬が入った瓶を投げた。瓶はShiftさんに当たるとそのまま割れて中の液体がビチョッっとShiftさんに降りかかる。たちまちShiftさんの外傷が消えた。

「シンカ!」と嬉しそうに声をあげるシン。

「さてと…シンカ、手伝って。城を…国を再生させるわ!」とルナさん。

「了解しました。さ、シン。行きますよ。」

「行くってどこに?」

「りきさんに頼まれてたじゃないですか。薬を諸悪の根源に届けにいくって。」

「う、うん。」

「良い感じのタイミングでルナが解除してくれるんで。行きましょう。」

「わかった。」と言ってシンは俺をベッドに寝かせてくれた。

その後、シンカさんがゲートを出して一緒にどこかへ行ってしまった。恐らくソロモン王の所だろう。

いつもありがとうございます!ヘトヘトです。でも頑張ります。

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