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RealSocialGame  作者: 無月公主
155/164

【ソロモンの宴の塔】

突然警報が鳴り響いた。

「なんだ?」

「不味いっ!僕戻るから!!」と言ってシンがすぐにゲートを出してどこかへ行ってしまった。

ゴゴゴゴと地鳴りと共に大きな地震が来た。

「何!?」と咲。

「いけない…子供達が!」と護。

「護は子供の達を見てくれ。俺と咲はなんとかなる。」

「わかりました。」と護はグラグラ揺れる中ゲートを出して子供達のところへ移動した。

【ミルフィオレのマスターが ルナ に移譲されました。】

【アトランティスバトル王が ルナ に移譲されました。】

とんでもない表記が目の前に現れた。そして揺れが収まった。

「なん…だ?バトル王移譲って?」

「バトル王は一応移譲できるの。全員が全員施設にいくわけにはいかないから。でも、基本は自分と同等くらいで信頼のある人にしか移譲なんてできない。ルナが一時的に回線切れするのを見越して千翠に移譲してあったの。

「なるほど。今の地震は?」

「これは…千翠が襲撃されたんだと思う。何かしらがあって最終手段として移譲したはず…。」と咲は深刻な顔をしていた。

「わかった。とりあえず、千翠さんを探そう。」

【千翠は最上階にいる。】

「千翠さんは最上階にいるっぽい。行こう。」

「わかった。」


俺と咲はとりあえず部屋を出た。

「なんだこれは!?」

「全く視界が見えない!」

視界が茶色く濁っていて、先に進むどころじゃなかった。

【チェンジだ。】とため息交じりな声が聞こえて、体の主導権がアイツに変わった。


アイツは咲の手首を掴んで走り出した。

「えっ…。」と戸惑いながらも少し嬉しそうにする咲。

完全に地図に頼って勘で走っていると、誰かにぶつかってしまう。視界が悪くて、その誰かすら見えない状況だ。

「はぁ。仕方がない。ゆっくり進もう。」

「うん。」


しばらくしてやっと屋上へと繋がる扉の前に着いた。そもそもアトランティスはクリスタルのような氷に覆われた城だったから屋上というものが存在しなかった。

千翠さんが全ての氷を溶かした事によって水没してしまったアトランティス。それから城内を練り歩いた事なんてない。アイツがいてくれて良かった。

屋上の扉を開けると、視界がクリアになり、数十人と人がいて魔法陣の上に千翠さんが浮かんでいて気絶していた。

千翠さんが気絶って…考えられない状況だ。

「どういう事!?千翠が負けるなんて…。」と咲。

アイツが千翠さんの回りにいる奴らを敵とみなし攻撃しようとすればいとも簡単に腕を掴まれて止められてしまった。

「…やはりか。なんとなくは理解していた。どこかにはコレがくるだろうなと…。」とアイツが呟く。そして一旦腕を掴んできたやつの腹を蹴って振りほどき後ろへ下がる。素早く太極数珠を装備した。

「この集団…ユーザーじゃない。…まさかっ。そんな…。」と咲が唖然とする。

俺もかなり驚いた。そもそもこのイベントは各ダンジョンのBOSSが各国で悪さをするというものだ。

そして俺の目の前にいる集団、それは…俺が護を迎えた時に出会ったBOSS達。

初心者村に配置されているダンジョン【ソロモンの宴の塔】の各階に配置されているBOSSモンスター達だ。

「お前たちの狙いはなんだ?」と特殊な魔法陣を練りながら相手側の企みを探る。

すると大きな大蛇が下をチロチロさせて「我々の願いは…ソロモン王の奪還…それのみだ。」と言った。

「待て、ソロモンがこの国に?」と眉をひそめる。

「そうだ。コイツが…奪った!!」とネコ、王冠を被った人間、カエルの頭をもった蜘蛛の胴体を持つ悪魔が千翠さんを指した。

「で、千翠に何をした?」

「ふはははは。何をしても口を割らないのでな。アンドロマリウスの力で探っているところだ。」と蜘蛛の胴体を持つ悪魔。

「なるほど。アンドロマリウスの効果が発動しているとなると…どうやら本当に千翠はソロモンを隠したか。あの汚れた水はフォカロルとウェパルにやらされているようだな。」

「お主…詳しいな。」と悪魔。

「今ので時間は稼げた。大封印!!!」と技名を叫べばビリビリと雷を纏った薄い膜が屋上を包んだ。

「これは!?」と咲。

「太極珠で特殊な結界をはった。まともに動けはしないだろう。フォカロルとウェパルを探す。あいつらを倒すのが優先だ。」

「わかった。」

一旦屋上を離れて濁った泥水の中をなるべく早く進んでフォカロルという悪魔のところへ急いだ。


フォカロルがいたのは王宮の広間だった。

「これはこれは…。とても素敵な空間ですね。」と呟く、どこか獣っぽさがある茶色の羽をばさばさと生やしたフォカロル。

咲が容赦なくフォカロルの顔面を殴って、即座にステッキで胸を一突きする。そこで咲は一旦下がって今度は俺が思いっきり顔面を踏みつけた。メキッと何かが割れたような感覚がある。

「ソ…ロ………」とかすれた声がした後、フォカロルの体消えた。

「成仏したようだな。」

王宮の広間を出て見れば茶色く濁っていた水が段々ゆっくりと無くなって視界がクリアになった。

「良かった…。視界が開けた。でも…何人か戦闘中みたい。」と咲はタクトを握りしめて行った。

咲はフォカロルを倒し終わった後、ステッキをなおして素早くタクトに持ちかえてエイボンの目を借りて周囲の状況をみてきたようだ。アイツも頭の中の地図で誰と誰が一緒にいるかを見ていた。

「ふむ。ウェパルは此方側なようだな。何人かの悪魔は交戦中か。」

悪魔ウェパルが此方側というのはルナさんの部屋にウェパルが存在していたからだ。交戦中なら地図上に浮かぶ名前が赤色になるようだ。それがないという事はウェパルは此方側という事だ。

アイツが地図で調べているのはソロモン王の事なようだ。人数が多すぎて見るのも一苦労だった。

「ふむ。一度地下へいく。すまないが君は他の人の支援にいってやってくれ。今ギル員がペナルティを食らってしまうのは不味い。」

「わかった。」と言って咲は素早く部屋を出て戦闘中の誰かの元へと走り去っていった。


ゲートを開いて東屋さんがいる地下へと向かった。

「そろそろ来る頃だと思ってましたよ。えぇ。」と東屋さん。その隣には悪魔フォラスがいた。しかし和菓子を食べていた。そして和菓子を口に含んだ後、湯気のたつお茶をズズズと音を鳴らしながら飲んでいた。

「随分とフォラスと仲良さそうですね。」とアイツは俺を真似て喋る。

「ふぉっふぉっふぉっ。」と愉快そうに笑うフォラス。

「この人お知り合いですか?突然部屋にくるなり俺の作った武器やなんやを見て、腹が減ったといって今この有様ですよ。えぇ。」と東屋さん。

【もともと、ここが水に覆われた瞬間から襲撃があったと考え良いだろう。しかしそれを千翠はウェパル、それにソロモンを取り込んで抑えた。だが、何ものかによってそれが今破られた。そう考えて良いだろうな。】

全く気付かなかった。そんな事が…千翠さんの意図も何もかも俺には分からない。

【恐らく…ルナの帰還に全てをかけている。】

「東屋さん。ソロモンさんを探したいのですが…。」

「ソロモンさん?」

「はい。千翠さんが極秘に使っている部屋だとか空間とかご存知ないですか?」

「ふぉっふぉっふぉっ。無駄じゃよ。王は自らの意思と力で地下に籠っとるんじゃからのぅ。」

「籠って…?…そうか。そういう事か。」

ソロモン王は何でも願いを叶える権限を持っている特殊なNPCだ。それが悪に染まればゲーム自体が終わってしまう可能性がある。それを恐れた王は姿を隠したのか、更にそれをウェパルの力で水という壁で見えなくして悪魔たちの時間を止めたんだ。

しかし恐らく、ウェパルの身に何かが起こってしまった…。一瞬の隙に暴走している悪魔が大暴れし収集がつかない状況になってしまったようだ。


遅くなりました!!とうとうアトランティスへの襲撃が始まってしまいました。

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