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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【焼けたエルフの森】

目が覚めると次の日の朝だった。

流石に寝すぎだろう…隣を見れば咲の姿はもうなかった。アイツもいつも通り作業をしているようだ。

俺は目を閉じてアイツに部屋に入った。


【どうした。】と問いながらもカタカタとキーボードを叩く手を止めないアイツ。

「神崎 朔子って人知ってるか?」

【…不信なデータがお前の中に入っていくのを見た。度々確認している。確証はないが陽子の仕業な可能性が高いな。で、神崎 朔子についてだが、陽子と月の母親だ。】

「え!?じゃあ…あのお腹の中にいたのは双子?…。」

【朔子さんの子供は4人だ。陽子と月子の前に1人。後に1人。……】

「ず、随分と子沢山だな。」

【朔子さんは…男子を産めと上からも、夫の良良(よしら)さんからも圧力をかけられていたらしい。】

「神の末裔は色々と大変そうだ。てことは…神崎桜さんって知ってるか?」

【………私の口からは…言いたくない…が。君は知ってしまうだろう。】と言ってアイツは俺に一通の手紙を寄こしてきた。

「…これは神崎桜さんに関する記憶?」

【そうだ。そろそろ知っておいても良いかもしれん。終わりの音が…近づいているからな。】

「そうだな。」

俺は手紙を開封した。この手紙は過去を見れる。アイツがわかりやすいようにまとめてくれた記憶だ。


記憶の世界は意外だった。てっきり神崎家の家が出てくると思ったけど、場面はどこかのオフィスの中だった。これは…ムーンバミューダ社だ。ルナさんが拘束されていた会社だ。

これは…アイツの記憶か。陽子がアイツの脳を持って逃げている…アイツは陽子が外に出たのを確認すると急いで別のロボットに移って、とある部屋に入った。そこにある配線だらけの黒い箱を器用に何か別の線と繋いで、持ち運べる状態にして、それを持って外へでる。

その社内の人間が誘導されているのと混じって自分も車がある方へ向かった。

1台の車の窓があいて、そこから陽子が顔を出した。

「それは何?」と聞くがその黒くて大きい箱を渡そうとする。陽子は一度車を降りてその箱を車に乗せた。そしてアイツは手を振った。


場面が変わった。


また同じ会社だけど、今度は過去のようだった。

「貴方は間違っています。地球はもう大丈夫なの。特別な結界が…破れぬ結界があるの。だからもうこんな馬鹿な開発はやめて!」と…女性の…とても聞き覚えのある声…これは陽子?いや、違う…これは…俺の中にいる咲の声に近い…のか?

「結界が破られないという確証がどこにある?地球は力をつけるべきだ。ただの人間のままではダメだ。ただの人間は我々の道具と成り下がるほか…人間が生きる価値はない。」

「それは貴方の中に真理しかいないからよ。」

「真理は私だ。私は私一人で十分だ。」

「いいえ、何のために我々がこうして生き残ってきたか…人間を守るために私達はいるのでしょう?神の時代、人間を便利な道具として生み出し、使い終わったから処分しようと仲間が言い出した時に止めたのは我々ではないですか。それを思い出せませんか。」

「ならば…先ずは貴様が道具となれ。」とアイツが女性の手を掴んでひっぱれば俺が何故かひっぱられて、ブワっと桜吹雪が顔にかかって頭の中で小さなパニックが起こった。


「大丈夫ですか?」

しっかり意識を取り戻すと目の前には前よりもお腹を大きくした朔子さんが立っていた。

「だい…じょうぶ…です。」

「お久しぶりですね。」と言われたが、さっきあったばかりだ。でも、朔子さんにとっては久しぶりなんだろう。

「桜の花びらを掴もうとしたら、貴方を掴んでしまいました。」と微笑む朔子さん。

そんな馬鹿な…と思いながら、朔子さんをみれば朔子さんの後ろに誰かがいる事に気が付いた。とても背の低い…でも面影がある。さっきアイツと言い合いをしていた女性…?頭がこんがらがる。過去だったり未来だったり。

「ほら、桜ご挨拶なさい。」と朔子さんが言えば後ろから薄い桃色の着物を着た、小さな女の子がひょっこと顔を出して「…こんいちあ。」と挨拶してくれた。

「こんにちは。桜ちゃん。」

「りき…しゃん。なかないえ。」

「ん?…」


「泣かないで。」と今度ははっきり大人の咲の声が聞こえた。

その瞬間また気が遠くなって、気づけば心の中にいた。

「あ…咲は…桜さんなのか?」

「いいえ。私は咲です。桜はもうこの世にはいません。」

「そう…なのか。」

「あの手紙は私が預かりました。時が来たら…続きをお見せします。」

「咲は…俺の中の妄想じゃないみたいだね。それと陽子でもない。」

「ですが、私はりきさんの永遠でずっと側にいると約束します。だから今は…目の前のやる事に集中してください。」

「わかった。」


知ってしまうと…俺が立ち止まってしまうかもしれない事を危惧して…止めてくれたのか。

朔子さんも咲も…。みんな未来を見てるんだな。それがどれだけ残酷な結末だとしても、その先の未来を見て…。

俺もきっと…神崎の血が入ってる以上…しっかり努めないといけない…のか。


【もういいのか?】

あぁ、十分だ。次に行こう。


俺は次の任務を確認した。次の国は…そんな…あそこは特別ギルドとか関わってないはずだ。

【エルフの森】依頼者:ギルド【エルフ協会】マスター アルフ


あの景色が失われるなんて…そんなのダメだ。急ごうと思い寝室からでると咲がいた。

「りき、次の任務にいくの?」

「うん。」

「これからは私も手伝う。」

「わかった。って護は?」

「護は子供達のところ。」

「わかった。【エルフの森】が大変みたいなんだ。急ごう。」

「うん。」


ゲートを開いて【エルフの森】入り口へ行くと、全ての木が墨になっていた。

「そんな!?いったい何が…。」

「りき!あそこ!」と咲が指さした方を見れば火を吹く大きなドラゴンが上空を舞っていた。

「うそ…だろ。」

「でも原因はアイツだけじゃないかもしれない。」と咲。

【あれは火を吹いて飛び回っているだけだ。火を吹いた原因は他にいるだろうな。サラマンダーあたりか。】

・・・いつも通り表に出て解決しないのか?

【・・・・。】

昨日は出てただろ?

【私は弱っていた。】

ツンデレ…?

「とにかく中に入って調査してみよう。」と提案すれば咲もコクリと頷いて【エルフの森】の中に入る。しばらく真っすぐあるいてみるけど、どこも薄い煙があがっていて、完全に燃え切った跡だった。

「あんなに綺麗だった森が…こんな。そういえばサラマンダーかもって。」

「サラマンダー?火の精霊かぁ。なら相当小さいからよく探さないとみつからないかも。」

「そんなになのか?」

「でも大丈夫。本来は相当みつけにくいけど、本当にサラマンダーならすぐに探せるはず。」と言って咲は目を瞑って深く呼吸をする。

「見つけた。ここから結構距離あるかも。走るから、りきは天馬に乗ってついてきて!」

「あ、うん。分かった。」

俺は天馬を取り出して乗った。それを確認した咲はステッキを解放してとんでもないスピートで走り出す。

「えっ!?ちょっ!!」

俺も急いで咲のスピードに合わせて天馬を走らせた。


左右どこを見ても焼けていて、ほとんどが墨だ。かなり心が痛くなってくる。

「見つけた。」と咲が呟けば、次の瞬間持っていたステッキで地面を突き刺した。

「やったか?」

「ううん。ちょっと時間がいるかも。りきは飛んでる火龍(かりゅう)をどうにかしてきて!」

「わかった。」と返事をして天馬で上空を目指す。

するとアイツと体が入れ替わった。

【片付けてやろう。】

・・・…咲と離れた瞬間コレだ。

ブクマが増えてやる気が満ち溢れてきたので追加かきました。ありがとうございます!!

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