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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【アトランティスの末裔】

俺はリーグルさんといつもの約束、時が来たらログアウトを呼び掛けてもらう約束を取り付けてアトランティスへ帰還した。

その日の夜の晩餐ではギルド【ヘイムダル】がミスティック連合に加入したという連絡があった。


ギルドハウスへ帰るや否やアイツは眠った。そう遠くない先に向けての準備で沢山頭を使っていて大変みたいだ。

俺は晩餐後すぐに自室へ戻ってベッドの中に潜り込んだ。それから隣で眠る咲を見つめる…クワッと咲の目が開いて驚いた。「うわぁっ!!」と思わず大きな声が出てしまった。

そしてむくっと起き上がる咲。

「え?え?終わった?」

「りき…いや、ごめんなさい。こっちはやっと屋敷についたの。シンカが色々と管理者アカウントを盗んだり改ざんしてくれたりしたおかげで、こっち側はだいぶと動きやすくなったの。月子の方も私が車の中で頑張って改良したアカウントで今まで通りのルナでログインできるはず。それで…ね。」

「うん?」

「私にも意識共有してほしいの。」

「………それは…ごめん。それは多分できない。」

「どうして…。」

「咲…いや、陽子さん。大事な話をしよう。いつかしないといけないって思ってたんだ。俺はね、咲が好きなんだ。AI咲が好きなんだ。陽子さんを好きなのは俺の中の…もう一人の俺で、それはこの【リアル】ソーシャルゲームを開発した社長だ。どういうわけか現実世界でもアイツは俺と意識が共有されている。俺は…いや、陽子さんにいっぱい言えない話があって、それは俺ともう一人の俺との秘密なんだ。だから安易に意識を共有してその秘密を知られるわけにはいかない。特に好きな女の子にはね。」

「陽子って…呼んで。今まで通り陽子って…距離をおこうとしないで…。」と陽子は泣きだしてしまった。

そこで寝ていたアイツが無意識に起きて体が入れ替わった。

「陽子。君らしくない。随分と弱いっているな…君も…私も。」と言えば陽子は俺に抱き着いて泣きじゃくる。まるで子供のように。それをアイツは優しく抱きしめて頭を撫でる。

そして心の奥底で、【どうか…今私に時間をくれないだろうか】という声が響く。その声は我慢をしているけれども漏れてしまったかのような祈るような声だった。

俺は自分の心の世界に籠った。今…この夜だけはアイツに譲ろうと思った。

今までアイツは陽子と別れの挨拶もできないまま真理に体を乗っ取られて良いように操られて、ムーンバミューダ社の社長になった。これが久しぶりの再会だ。湧き水が染み出るかのようにアイツの心が潤っていくのを感じた。陽子もアイツも心が弱っていたみたいだ。


「りきさん…」と声が聞こえて俺の肩に手を置く咲。

「咲は俺の幻覚?。」と問えば咲は微笑んだ。

「君は誰?」

「私は…貴方の永遠です。」


俺の心の中の世界が暗闇に変わった。そして別の世界が映しだされた。大雨が降っていて雷がゴロゴロとなる夜の山道。

「いたぞ!!!」と白い袴を着ている男性が数人、女性を追いかけていた。俺はこの女性を知っていた…恐らく間違えない。母さんだ。とても若い頃の母さん。

「こっち。」と母さんの手を引くのは今より更に幼い陽子だ。白くて薄い着物を着ていた。「離して!」ともがく母さん。

「逃げたいなら来て。」と冷静な陽子。母さんは黙って陽子についていく。

下山した先で陽子は立ち止まった。「あそこを真っすぐいけば交番がある。そこにいけば全て上手くいく。」と言って母さんの手を離す。

母さんは走って、その交番に辿り着いた。そこの交番にいたお巡りさんは若い頃の父さんだった。


俺の中にも神崎家の血が流れているって事か。もしかすると…真理のように何かの神が俺の中に混ざっていて、それが具現化したものなのかもしれない。


再び世界が俺の空間に戻った。

そして俺は相変わらず咲に膝枕をしてもらっていた。

「じゃあ俺は、安心して咲を頼って良いのかな。」

「ずっと一緒です。…いつまでも。」と言って咲は俺の頭を優しく撫でてくれた。


何かの夢を見ていた。とても衝撃が強い夢だ。車…友達が3人。

次は何を暗示した夢だ?


目が覚めると俺に睡眠不足のバフがついていた。それにアイツも眠っているようだし…。

寝たのにもう一度寝ないと次の任務にいけない。俺は渋々もうひと眠りする事にした。


また夢だ。また神崎家の夢だ。大きな敷地。中心部にある大きな桜の木。絶対に神崎家の夢だ。

たまにはゆっくり夢を見ずに眠りたい。

自由が利く体…誰かの記憶の夢では無さそうだ。桜が満開だから現実を見ている感じもしない。

空が晴れ渡っていて、その桜の木の下に着物を着た女性が立っていた。俺に背を向けていて、桜の木を見上げているようだ。ふと、女性は此方を向く。お腹が大きくなっている。妊娠しているようだった。

「ふふふ…おかしな服を着ていますね。」と俺を見て言う。俺が見えているのか?俺は俯いて自分の服装を確認した。確かに着物を着ているわけではないから、ここの人からすればおかしな服になるのだろうか。

「もしかして、俺が見えてますか?」

「えぇ。この子をお腹に宿してから不思議とおかしなものが見えるようになったみたい。」

「はぁ…えっと、貴女は神崎の人…ですよね?」

「えぇ。私は神崎(かんざき) 朔子(さくこ)。」

「俺は吉田 力です。」

「そう、あなたが…。ほら見て?立派な桜の木でしょう?」

「はい。大きすぎて驚きました。こんなに大きな桜、生まれてはじめて見ました。」

「ふふふ。さっき、ようやくこの子の名前が決まったところなの。私の名前の(さく)と旦那様の名前の()をとってサクラ…漢字は桜の木の桜にしようと思って…この木を見ていたの。」

「とても良いと思います。」

「さて、じゃあ。前に来た人に、貴方に昔話を聞かせるように言われたの。聞いてくれるかしら?」

「はい。是非。」

いったいどこの誰が俺宛てに?

「神崎家は人間を作り出した神の末裔だけでなく、今は亡きアトランティスという国の末裔でもあるの。」

「え!?アトランティスって都市伝説というか…海底に沈んでるかもしれないって有名な、昔あったかもしれない国ですよね?」

「えぇ。アトランティスの時代、我々の祖先は宇宙侵略、宇宙戦争をしようとしていたらしいの。それを阻止しようと動いたのが今ここに住んでる神崎家の先祖ね。戦争をしようとしてた人達は…海の底よ。日が昇るか登らないかの時刻に…天変地異をおこして国ごと海に沈めたの。決してバレぬように…愛する家族たちも一緒に沈めたそうよ。」

「そんな事が…。じゃあ一部はここに逃れてきたんですね。」

「えぇ。我々には人間達を正しい方向へ導くという大切な使命があったから…なんとしても生き残る必要があった。人間を作った神々の子孫は人間そのものを正しい道へ誘導する為、アトランティス事件が起こる前に既に各国の地へ散らばっているの。ただ、今ここの神崎家はアトランティスの末裔が多いという事。私達は移民だけれど、神の血を受け継ぐ家は神崎家だけでないわ。血を残そうとする…特に男系の血を残そうとする家系は神の血を受け継ぐ家である可能性が高いわ。」

「なんとなく…言いたい事がわかってきました。各国代々の王家は神の末裔だって言いたいんですね?」

「えぇ。人間を導くはずが…欲を出してしまうのが真理なの。真理は欲をださなければならない真理があるみたいね。でもそれは…もっと前の祖先が手を打ってあるから、欲を出してまで心配する事はないのよ。だけど、血は受け継いでも記憶までは受け継げない。暴走した真理を止める手段は破れぬ結界が、この星にはあるという事を教えるか…又は殺してしまうしか方法がないわ。貴方は暴走した真理を止めにいくのでしょう?」

「…その通りです。」

「上手く説明できたかどうか不安だけど、貴方ならきっと大丈夫。このお腹の中にいる子がきっと貴方を助けてくれる。この子はとても賢い子なの…。それに貴方も…。」

そこで尋常じゃないほどの桜吹雪が俺を襲った。

「うわっ!!なんだこれ!!」

お待たせしました。ちょっとわかりにくいかもしれません。相当なオカルト好きでないとパッとは入ってこないでしょう。読んでくれてありがとうございます。

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