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RealSocialGame  作者: 無月公主
142/164

【シーレナ国と白鯨のモカ】

美しい海の底にシャボン玉のような膜に覆われる大きな国。

所々にサンゴのような色とりどりの発光するオブジェクトが配置されてあって、そこからシャボン玉のようなものが排出されていて、それが国全体を美しく魅せている気がする。

膜は簡単にすり抜けられて中は酸素が満たされているようだった。つまり人魚の呼吸を使わなくても息ができるということだ。

デュークさんは真っすぐ国の中央にある貝殻で造られたかのような城に向かって進む。

城の最上階らしきところのバルコニーにデュークさんは俺達を降ろした。デュークさんが人の姿に戻るとカツカツと足音が聞こえて、バルコニーの扉が開かれた。真っ白い長い髪、宝石のような青い瞳、どことなく美しすぎて発光している…ん?発光している?

「クックックッ…おいおいモカの事見すぎだろ!光ってるのが気になるのか?」とデュークさん。

この人がモカさん!?男性…だよな?骨格がしっかりしてるから男性なんだろうけど。

「やっぱり光ってるんですか?」

「デューク、この方はどちら様だ。」と溜息をつくモカさん。

「ん?あぁ、わりぃわりぃ。こいつぁミルフィオレのりき。お前が人を生贄にして救援を送り続けた成果だ。」と途中まで笑顔だったのに急に真顔になるデュークさん。

「あれしか方法がなかった。仕方がないだろう。現に空が晴れている。外での災害はおさまったのだろう?」とモカさん。

「あぁ。りきが全部解決してくれたぜ?さすがヴァルプルギスで優勝した最強のギルドだ。りき、こいつがもう一匹のクジラ、白鯨のモカだ。」とデュークさん。

「救援痛み入ります。私はギルド【シースルー】の副マス モカ と申します。報酬の方はたっぷりと…。」とモカさんが報酬の話をしている途中でドカドカと歩いてくる女性が現れた。ピンクのメッシュが入った青よりの水色の長い髪にキラキラ光る真珠や貝殻をつけた女性。身長は160㎝くらいだろうか?ヒレ耳がついてるから魚人族だ。

歩いてきた女性は勢いよく右手を振りあげてからスパンと俺の頬をビンタした。

一瞬何が起きたかわからなくて呆然とした。それからジワジワと痛みが走って思わず「いっ?!!!」と大声をだしてしまった。

女性は俺を涙目で恨めしそうに睨む。俺がいったい何をしたっていうんだ。

「よくも…よくも私を焼き魚にしてくれたわね!!!」と女性は怒鳴る。

焼き魚…焼き魚…焼き……あぁ!!!さっきの!!イザナミの!?

「てことは…貴方がマリーナさん!?」

「そうよ!!助けるふりをして私を焼き殺すなんて…どういう神経してるのよ!!」とマリーナさん。

「え、でも、あのままだとイザナミの黄泉の瘴気で海は汚染されたままで、元の体にも戻れませんでしたよ?」

「うえっええええん!!モカぁぁ!!デュークぅぅぅ!!」と叫びながら泣き崩れるマリーナさん。

モカさんとデュークさんは顔を見合せる。そして素早く正座して俺に土下座をする。

「うちの姫がご迷惑おかけしました。どうかこの通りです。お気を悪くしないでください。」と二人綺麗に声を揃えて謝罪する。

「えぇ!?そんな!!困りますっ!確かに俺は騙すような真似してマリーナさんを焼きましたし…正確にはイザナミを倒しただけですけど。」

「うちの愚姫はお気になさらず。余程痛かったのでしょう。」とモカさん。

「痛かったわよ!!」とマリーナさんは泣きながら訴える。

「どうしちまったんだよ姫さん。チビ姫降臨してんぞー。」とデュークさんは手の甲でコツンとマリーナさんの頭を小突く。

「はっ!!わ、私ったら…みっともない事を…。お恥ずかしい。」とマリーナさんは頬を赤く染める。

「えぇ…;」と俺はドン引く。

「コホンッ。やっと正気に戻りましたか。久しぶりにお目覚めになられたというのに…。」とモカさん。

「え?久しぶりって…あっ!!体が…元に戻ってる!!」とマリーナさん。

「あの時は騙すような真似をしてすみませんでした。ですが、あれしかマリーナさんの魂を元に戻す方法がなかったもので…。」

「いえ、私の方こそ…助けて頂いたというのに、お見苦しい姿を見せてしまいました。」とマリーナさんは立ち上がって、深く頭を下げた。

こんなに人って変わるものなのだろうか?と不思議に思った。その反応に気付いたモカさんは少し咳ばらいをしてから「姫は武器と意識が繋がっていて、感情が高ぶったり強い痛みを感じると、武器の意識とマリーナが交代してしまうようなのです。」と丁寧に説明してくれた。

【ん?りき、武器を見せてもらえ。】

「すみません、差し支えなければ武器を見せて頂けますか?」

「どうぞ。」と頭に刺さっていた鹿の角のような赤い髪飾りを取り外して見せてくれた。

【なるほど、変われ。】とアイツが言えば俺とアイツの意識が交代した。

「良かったら、この武器、自分が少し改良しても構いませんか?」

「それは流石に…この武器が無ければ私は国を守る事ができません。」とマリーナさん。

チラリとモカさんを見た。するとモカさんは大きく目を見開いた。

「姫…この方に武器を改良してもらいましょう。」とモカさん。

「何を言っているの?」と困惑するマリーナさん。

「私の神眼で少し先の予知を2つ見ました。1つは一向に武器を渡さずダラダラ交渉されている様子、二つ目は、ほんの数秒で武器が改良されて喜ぶマリーナです。」とモカさん。

「…わかりました。うちのモカの神眼は本物です。貴方を信じます。」と言ってマリーナさんは俺に武器を渡してくれた。目を瞑って、いつもの社長室に戻って、もともと作ってあったデータをその武器に移して、さらに新しい何かを生み出すような作業をしていた。

目を開けて、武器をマリーナさんに返した。マリーナさんは武器を装着した。

「あ……意識が…あの子との意思疎通がとれない…。」とマリーナさんは酷く驚く。

「はい。能力だけ自分の意志で使えるようにしておきました。それから…後日、改良させてくれたお礼を送ります。」

「え?お礼だなんて…此方がお礼しなければいけないのに…。」とマリーナさんは申し訳なさそうな顔をする。

そんな中、モカさんは顎を持ち此方を見て首を傾げていた。

「モカさん。貴方の答えは後日、その贈り物と共に。」と俺が言えばモカさんはフッと笑って「承知致しました。」と言ってくれた。

「しっかし、何から何まで世話になっちまったなぁ。報酬はどうすんだ?」とデュークさん。

「報酬はいりません。ただ一つだけお願いがあります。」

「お願い…ですか?」とマリーナさん。

「はい、俺が今って言ったタイミングでログアウトをギルドの全員に強制してほしいんです。無理なタイミングでは言いません。確実な安全が確保されている時にです。」

「しかし、今はソレをしたくてもできない状況です。」とモカさん。

「今はまだログアウトはできません。でも、必ずできる時が訪れます。それを俺が合図します。ですからその時はギルドの方々にも呼び掛けて強制してほしいんです。」

「なるほどなぁ!俺はその願い聞くぜ。」とデュークさん。

「ですね。この人からは神の加護を感じます。」とモカさん。

「…二人がそういうなら私も その願い約束します。その時が来たなら必ず全員ログアウトさせ…ま…す。」とマリーナさんは口を抑えた。

「ん?ログアウトという言葉が口にできるようになっていますね?」とモカさん。

「はい、結構前からですよ。特にバトル王は王になった瞬間から、その言葉が口にでないようになっていたらしいですね。今はもう…そういう次元ではないので…外が。」

「やはり…そうですか。」とモカさん。

「あ…そういえばお二人に聞きたい事があります。」

「なんだ?」とデュークさん。「なんでしょう?」とモカさん。

「お二人はクジラの神の能力を持ってますが神の母って…誰ですか?この世界の神や母は全てゲームマスターになると思うのですが。」

「もちろん、ソルだ!」とデュークさん。「もちろん、ソル様です。」とモカさん。

「そうですか。ありがとうございます。では俺はそろそろ次の任務がありますし報告書も提出しないといけないのでギルドに帰ります。」

「なんだ!せっかく仲良くなったってのにもう帰るのか?」とデュークさん。

「近いうちにまた来ます。贈り物を届けに。」

「贈り物って自分で持ってくるのかよ!いいぜ!フレンド登録しよう。来るときは俺がぜってー迎えにいくからな!連絡くれよ!」

「わかりました。」とアイツが初めて自然に笑った。

俺とデュークさんはフレンド登録をした。それから俺は一度自分のギルドへと戻った。

141話でシーレナ国なのにシーナ国を書いてしまっていたのでシーレナ国に直しました!!

いつもぎりぎりですみません。日曜日中に絶対1話書き上げますのでよろしくお願いします。

定期更新毎週日曜日です。Twitterにてお知らせもします。が、配信通知もあるのでフォローだけしてミュートを推奨します。 Twitter @XXMUTUKIXX  閲覧ありがとうございます。

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