表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RealSocialGame  作者: 無月公主
139/164

【神聖帝国】

ゲートを潜ればそこはボロボロの廃墟で砂吹雪が酷かった。


【中央に塔があるな。恐らくギルドハウスだろう。】

どれだけ目を凝らしても塔は見えない。その後すぐアイツがMAPを見ている事に気付いた。

【視覚が使い物にならないからな。そういう時はMAPだ。】

勉強になるな・・・って言っても、もう俺の頭脳と変わりないけどさ。


アイツと体を交代すると、アイツは前が見えないのに凄い速さで走り出す。

数時間走りつづけて急に停止した。

【電池切れだ。】と言ってインベントリから、前にシンカさんから貰った回復薬を取り出して飲む。

10秒後に全てのデバフが解除された。その瞬間再び走り出して、朝には目的地に辿り着いていた。

どうしてわざわざ走ったんだろう?と思えば、答えは頭に浮かんでいた。筋力強化の為だ。

ギルド:シュトラウスのギルドハウスの前でベルを鳴らせば、いかにも王様ですと言わんばかりの仰々しい姿の歳をとった人が出てきた。名前を確認してみるとヨハンだった。この人がギルド長か。

「ミルフィオレの方ですか?」と聞かれた瞬間体が元に戻った。

「え、あ…えっと。はい。ミルフィオレのりきです。」と言えば少し目を見開くヨハンさん。

「りき・・・さんとは確か、優秀なAIをお持ちのあの…?」と言われた。意外だった。まさかそっち方面で有名になっていたとは思いもしなかった。

「えっと、はい。そうですね。AI教育には力を入れてます。」と謎の発言をしてしまった。

「一度拝見したかったんですよ。今どちらに?」

「あー今日は連れてきてません。俺が倒しますから。」

「え?あれを?御冗談を。」と苦笑交じりに言うヨハンさん。その瞬間体がアイツに変わった。

「倒しますよ。塔の上へ登ってもかまいませんか?できれば一緒に。」

「はぁ・・・。」と仰々しい姿とは裏腹にきょとんとした顔をするヨハンさん。


ギルドハウスの頂上から神聖帝国を見下ろした。

砂龍はグルグルと国の外側の方を低空飛行して回っていた。

「では行ってきます。」

「えぇ!?本当に行っちゃうんですか!?」と慌てるヨハンさん。

「えぇ。すぐ解決しますよ。」と言って塔から飛び降りたと思えば天馬を呼んで、それに飛び乗って砂龍に近寄った。


【これは骨が折れるな。】

「えぇ!?簡単じゃないのか?」

【龍の中では2番目にやっかいだ。】

「2番!?」

アイツは太極珠を装備して陣や元素の配合等もろもろを考えていた。しばらくして小さな光る陣を作り出して、その陣の隙間にマントラや記号を埋め込んでいく。

【非常に難解で時間がかかった。】

確かにアイツにしては時間がかかっていた。小さな陣を沢山だして砂龍と同じくらいの大きさの水の龍を作り出した。水の龍は砂龍に巻き付いた。

砂龍は動きを止めて下に落ちた。しかし、その砂龍をほっておいて、水龍と共に国の外側を回って、段々と中心部へ周回しながら向かう。水龍の移動した後は地面が濡れていた。

ギルドハウスの近くまで来ると水龍をパッと消し去った。そしていつもの妖刀を取り出して装備し、塔に戻ってきた。

「やったんですか!?」とヨハンさんが訊ねるが、アイツは「しっ」と言って辺りを見渡した。

微かな鈴のような音が聞こえて、そこ目掛けて塔から降りて刀を地面に突き刺した。そうすると、呪いの炎が塔をぐるっと囲う。濡れていない地面の部分だけが燃え上がる。

しばらくすると地面の砂が消えて、砂吹雪も治まった。残ったのはボロボロの廃墟。塔の上に戻れば遠くまで見渡せるほど澄んでいた。

「終わりました。」とオドオドしているヨハンさんに

「やったんですね!?…おお・・・砂が消えた・・・。」と驚くヨハンさん。

「はい。武器破壊には骨が折れました。耐久値を減らすのはとても面倒でしてね。どうしますか?再発を防ぎますか?」

「再発?また現れるという事ですか?」

「えぇ。貴方が修理してしまえばずっと現れるでしょう。」

「いつから気づいていたのだね。」と低い声で唸るかのように言葉を発したヨハンさん。

「バトル王ともあろう、お方が簡単に姿をよそのギルドに見せ、一番強くてはならない存在がそんな落ち着きのない人なはずがないでしょう?」と苦笑しつつ話した。

「はっはっはっはっ。良い商売だと思ったのですがね。」と高笑いした後に真顔に戻るヨハンさん。

「ヴァルプルギス後のシステムを利用した稼ぎですね。それでどうされますか?俺なら貴方を数十秒で倒し切れますけど。」

「あぁ。そのようだな。負けたよ。何が望みだ?金か?」と観念したよと言わんばかりに両手をあげた。

「砂龍を頂きたい。もう必要がないでしょう?」と大きくでた俺。

「はっはっはっ。確かにな。君にバレてしまった以上もう使えまい。だが小僧、お前がここで生き残れればの話だがな。」と言って回りを1人乗り用の龍にのった人達に囲まれてしまう。

アイツは何事もなかったかのように数秒でそれらを倒してヨハンさんの前に戻ってきた。

「なっ!?」と流石に驚くヨハンさん。

「さぁ、渡して頂けませんか。」と顔は笑っているが目が笑わない俺。渡さなければ殺すぞと言わんばかりの殺気を放っている。

ヨハンさんは慌てて俺に砂龍を渡してくれた。砂龍の正体は下着だった。そしてそれは砂を自在に操れるチート武器だった。

【これは私の部下がつけていたものだな。名を[砂の化身]】と言って懐かしむアイツ。

ヨハンさんは逃げようとしていた。それを容赦なく切りつける。

「何故・・・っ!!」と言って呪いの炎に燃やされつくす。キラキラした粒子のようなものが見えて消える。

その瞬間俺は素早くスマホを操作してゲートを出して潜った。そこは初心者村で、透明マントを被って聖堂と呼ばれる建物の中に入った。

次々と人が聖堂の中に現れて、走って聖堂を出て行く。俺の目は先程とは全く容姿が異なる人間型の男性をとらえていた。名前はヨハンだった。その男は慌てて聖堂から出てゲートを出した。俺はヨハンさんと一緒にゲートに入った。ゲートの先は砂吹雪が収まった神聖帝国だった。そこで俺は再び背後からヨハンさんを斬った。今度はすーーーっと姿が消えてしまった。

【ペナルティに入ったようだな。】

キラキラした粒子が発生して消えた場合は初心者村の聖堂で復活、今のようにすーっと消えていくのはペナルティ逝きというわけだ。

「バトル王を倒してしまって大丈夫か?」

【問題無い。アレはバトル王ではないからな。本物に会いにいくぞ。】

「え!?本物がいるのか?」

【あぁ、恐らく・・・魅惑にかかっている可能性が高い。】


ギルドハウスのベルを鳴らせば、ギルド員らしき人が出てきた。

「何用で?」

「ヨハンさんに会いに来ました。」

「はい?先程出て行かれましたが。」と答えるギルド員。

「いえ、それが城の中でゆっくり話をしようと、ゲートに入っていかれてしまって…。俺はここのギル員ではなかったので弾かれてしまったんです。」

「そうだったのですか。わかりました。どうぞお入りください。」と簡単に招き入れてくれた。

【砂吹雪が止んでいる事にふれもしないあたり、外の状況を何もしらないのだろうな。この者は。】

なるほど…。そうか、そうだよな。

中の人は皆、避難しているといった感じではなかった。だが、ギルドの火力上位であろう人の姿は一人も見当たらなかった。

人の目を盗んで透明マントを被って、王がいるであろう部屋に侵入しようとすればバチっと弾かれてしまった。

部屋の前で太極珠を使って大きな爆発音を出せば、中から人が出てきた。それを利用してさっと中に入り込んだ。

玉座には本物のヨハンさんがいて、その隣には香を持った男性が立っていた。

【やはり魅惑にかかっていたか。】

俺は音を立てずに近づいて斬ると同時に男の口を塞いだ。

男は燃えてキラキラした粒子がでてきて消えた。透明マントを脱いで収納し、インベントリからシンカさん特性の丸薬を取り出して、だらんとなっている王の口に放り込んだ。

10秒後王室のドアが開いて、わらわらと此方を睨みながら人が入ってきた。

「貴様!!どうやって入った!!」と入ってきた人の中でも強そうな見た目をした人が叫んだ。

その瞬間、本物のヨハンさんが素早く立ち上がって太い杖を取り出して一度高く持ち、勢いよく地面に杖をついた。腹の底にくるような「ゴォン」という低い音が響き渡って入ってきた人達を吹き飛ばした。

そして素早くホログラム画面をだして、素早く操作し、神聖帝国は平和地帯となった。力なく膝をつく人たちが見えた。

「よくも・・・よくも騙してくれたな。」と怒りと共に凄い重圧を放つ本物のヨハンさん。

もう一度ダンっと杖をつけば、周囲にゲートが開いて次々と騎士のような人たちが現れた。

「正気を取り戻されましたか…ヨハン様。」と騎士の一人が口を開く。

「城内から賊を排除せよ。私の隣にいる者は客人だ。」と言えば騎士たちは駆け足で王室から出て行った。

「さて、国を再生させよう。」と言ってホログラム画面を出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ