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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【唯一の友。】

俺と護は千翠さんの部屋の前にいて、一度顔を見合せて、双方コクリと頷けばコンコンとドアをノックする。

「ハーイ!」と言って出てきたのは澪さんだったが、一瞬ルナさんかと思ってドキリとした。

「あ、えっと・・・どうも…。千翠さんはいますか?」

「りきさん!!お久しぶりです!良かった・・・意識が戻ったのですね!?」と澪さんは俺の手を握る。

するとコツコツと足音がして澪さんの後ろから千翠さんの顔がみえた。少し目が腫れているように見えた。泣きモーションの後数分は目が腫れるというから恐らく先程まで泣いていたようだ。

「あー…えー・・・っと。すみません、長い間眠ってしまっていて。」と俺は千翠さんを見て謝った。

「中へ。」と一言呟けば背を向けて歩いていった。澪さんが手を離して、部屋の中へ招いてくれた。

部屋の右にある扉に入って行けばそこはふかふかそうなソファーとローテーブルがおかれていて、いかにも応接室といったような内装をしていて、千翠さんはソファーに座っていて、千翠さんが「どうぞ。」といって手のひらを上に向けて差し出されたので、千翠さんの向かい側に俺達は座った。

「ルナを、いや・・・私の生きる理由を救ってくれて・・・ありがとう。りきが眠っていて起きないときいて、精神体だけ現実世界にいるのだろうと悟ったよ。実際に報告がきていた。」と言いながら千翠さんは左手で目を覆う。そしてその隙間から涙が出ていた。

「大丈夫ですか?」

「すみません、少し・・・昔話をしてもよろしいですか?」

「はい。」


「私は神崎家の特別な純男系として生まれました。生まれた時から既に、ずっと誰かの声が耳の後ろ・・・間近で聞こえていて、その声は私が言葉を理解するようになってから私の精神を徐々におかしくしていった。私の中の4人はいつも私に指示ばかりしてきます。無視すれば叱られて、ルナと出会う前の私はその声をシャットダウンする術を持ち合わせていませんでした。叱られるのが恐いといった感情から始まり、癖で何でもいう事を聞いてしまっていたんです。そうしてるうちに寝ている間でも体が勝手に動くようになっていました。息をするかのように命令を聞くことが当たり前になってしまったていたんです。稀に起きれば返り血を浴びてる時もありました。動物で実験をしていたんです。それは・・・まるで夢を見ていたかのように起こっていたいました。そんな時、双子の女の子が神崎家に誕生して、双子のうちの一人、陽子(ようこ)は生まれながら優秀だったので、しばらくはジャンが面倒を見ていました。もう一人・・・月子(つきこ)は私の母が見ていました。」

「ん?待ってください。産んだ親が面倒を見るものじゃないんですか?」

「いえ、神崎は特殊なんです。産みの母親が面倒を見てしまうと、そのまま神崎家から子を連れて脱走してしまうそうなので、産まれたらすぐに別の者が面倒を見る風習になっています。授乳の時のみ、再会する事ができます。・・・ただ・・・私の母、神崎(かんざき)千歳(ちとせ)は月子を連れて脱走しようとしてしまったので、私が処分指示を出してしまいました。」

「処分って…もしかして殺したって事ですか?」

「そうです。それも私にとって夢を見ているような感覚でした。・・・事はそれで済まされないですね。すみません。」

「続けて下さい。」

「その後、別の者に月子の面倒はみさせていました。あれが・・・ここの社長が陽子の家庭教師になると同時に私も家庭教師になりました。陽子の中に始祖が4人いました、しかし月子の中には・・・一人しかいませんでした。正確には2人いるようでしたが、回路が繋がっていなかったのです。そこに私は少しの興味を持ちました。気まぐれで月子の家庭教師になり、回路・・・いや、シナプスと言ったほうがわかりやすいでしょうか。シナプスを広げてみようという思い、それは始祖からの命令でした。月子の側にいると・・・自分というものが嫌というほど表にでてきました。彼女と接していくうちに自分を取り戻す事ができたんです。月子は自分で声を封印していたんです。聞こえないように・・・それでも慈愛の始祖だけは残していたようですが。困った時に真理の言葉を聞きたい時だけ聞く。と言った事をしていました。自分より下の者ができて自分にできないという事に腹がたってしまって、自分も始祖封じを練習してみた事が自分を取り戻すきっかけでした。成功して、やっぱり自分が上だと認識して…それから、声が何もない世界に気が付いて涙がでました。月子には始祖の声を聞いてる人そうでない人の認識ができるようでした。すぐに私の異変に気が付いて、私を抱きしめて「始めまして。」と挨拶をしてくれたんです。ですが…表に出てこれない事に危機を感じた私の中の始祖達は…自分達を移動させようと、私が寝ている間に私の体を動かして血を抜き始めました。それに気が付いたのは貧血を起こして月子の前で倒れてしまった時です。月子の前では何故か始祖らは表に出てこないので、月子と共に寝るようになりました。ですがとある夜、月子がお手洗いに私の側を離れた隙に事件は起こりました。私は部屋を抜け出して、彼を・・・当時陽子の家庭教師をしていた彼を呼び出して血をいれた。全ては・・・私の意識の外で起こっていました。私は私の意志で月子の家庭教師になったのだと思っていました。陽子の家庭教師は適当に選んだと思っていました。全て真理の始祖が私に命令していたものでした。彼と私の血液が同じ型だったんです。月子の能力に薄々気づいていた真理の始祖が遅かれ早かれ封印されるのであれば・・・と仕組んだ事でした。しかし彼の中には始祖は移っていなかった。そう・・・思わされていました。まさか私の中の真理が分裂して彼の中に宿ってしまっていたとは・・・思いませんでした。何度も何度も・・・月子に懺悔していました。陽子を連れ去ってムーンバミューダを創設した彼は、宇宙の力を手に入れ、もう手の届かないところへ行ってしまいました。私は彼の尻尾をつかもうと、ゲームに入りました。月子も同時期に【リアル】に入っていましたが、完全に別行動をとっていました。後に月子が陽子と交換でムーンバミューダへ入って、再度私は後悔し、過去の自分を何度も責めて、時には自傷行為に及んでいました。愛する月子を失った喪失感も相まって、【リアル】の世界で無痛持ちを手に入れました。・・・しばらくして【リアル】の中でバトル王になったルナと出会いました。例えゲームの中でもルナと一緒にいると心が安らいだ。仕草や声で月子だとわかって、計画的にタクミをペナルティに追い込み、月子から離れた時を狙って私が月子の隣に立つようになりました。計画は成功しました。けれどもギルドの規律を保つ為、大手にギルドにしたいがために厳しい事を言い続けていたら、フラれてしまいました。けれども、今、私は月子が幸せならそれで良いと思っています。私にとって始祖を封じてくれた彼女は神に近い存在です。生きる全てなんです。それをりきは救ってくださいました。ありがとうございます。」

涙を流しながら微笑む千翠さんの顔はとても優しい顔をしていた。

「安心しろ。真理の始祖に抗えただけでも罪は薄れる。」と俺の口からでた言葉だけど、アイツが喋っていた。口だけでなく、体がアイツに支配された。足を組みだす俺。

「…りき?」と微笑みが消えて驚いた顔になる千翠さん。

「久しいな千翠。私がここの創設者だ…といえば理解できるだろうか?」と少しほくそ笑む俺。

「そ・・・んな。真理・・・ですか?」と聞く千翠さん。

「いや、私は私だ。真理はここの社長としてAIに入っている。つまり今奴はここ【リアル】のラスボスというわけだ。私はもう死んでいる、脳だけの存在だ。それは陽子から聞いていないか?」

「まさか…本当にそんな事が?」と顔が少し青ざめる千翠さん。

「最後までお前に顔を見せるつもりはなかった。今の話を聞いて気が変わってな。私の中にも、同じ真理がいて、私は最後まで抗えなかった。結果今多くの人が私のせいで死んでいる。今の私にお前を責める事ができない。昔、お前と生徒自慢をして朝まで語った事を覚えているか?」

「えぇもちろん、あの一瞬だけは・・・本当に友ができたような幸福感を得ましたから。」

「私も同じだ。なぁ、我々の生徒は優秀じゃないか?哀れな私たちを今も・・・救おうとしている。」と俺の目から涙が溢れた。

「…全く、その通りですね。」と千翠さんも涙を流した。

さて、後半に入ってまいりました。いつも閲覧ありがとうございます。Twitterフォロー待ってます!私のツイートが邪魔という方はフォローをするだけしてミュートという機能がございますのでミュートして頂けると邪魔せず、私の力になります。もしお手すきの際にはよろしくお願いします。

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