【芸術は爆発するものだ。】
練習場2で俺はげんなりしていた。嫌すぎてどよ~んって感じのオーラエフェクトがでてしまうくらいにだ。
「君、喧嘩うってる?」と怒りマークのエフェクトを出して怒っているShiftさん。あのエフェクトは怒っている時かイライラしている時に自動ででてしまう。
「そ、そんな。喧嘩なんて売ってません。」
「じゃ、なんだ?そのふざけたエフェクトは!!」
「違うんです。違うんです。」と言い訳をしようとしていると、何やら試合進行する係の人達がざわざわしだして、そっちに目がいった。
「俺と話してる時によそ見とは良い度胸してるねぇ。」とShiftさんはボキボキ指を鳴らす。
「違うんですって!なんか係員がざわざわしてるから何かあったのかって。」
「ふんっ。どーせ。適当に対戦させて対戦相手にズレが出て困ってるんだろ。」
「どういう事ですか?」
「はぁ…そんな事も気づけねぇーの?今までの試合は明らかに順番がバッラバラで、このままいけば確実に対戦相手が被るね。」
「え?本当ですか?」
【被るだろうな。】
「大丈夫かな?」
「無問題。さぁ、はじめようじゃないか。チート試合を。」
Shiftさんとの試合が開始された。
開幕からShiftさんはトランプで大きなシールドを張っているようだった。透明で淵だけ薄く淡いピンク色に光っているカードがドーム状にびっしり並んでいる。
ドームの中はカードが飛び交っていて中に入ったとしても絶対に傷を負いそうな感じがした。
【ほう、面白い。禁忌合成とやらで作られた武器か。武器に意識があるな。】
ドームの中からトランプが俺目掛けて出てくるが、ウォールがそれを阻止する。
【気を付けろ。どれか1枚はウォールがはじけ飛ぶくらいの威力がある爆弾カードが混ざっている。】
そういう事か。運任せなのか。で、あのシールドには入る事ができない・・・だから勝ったり負けたりが激しいのか。
「この時を待っていた。君ごときが俺に勝てるわけがないって、ずっと思って研究を重ねてきた。」とshiftさんが叫ぶ。
「なにを言って・・・。」
【くる。爆弾カードだ。】と注意をもらった時にはもう吹き飛んでいて、ウォールが吹っ飛んで倒れてしまった。俺は急いでスゥをだして回復してもらった。それと同時にフゥに体を浮かせてもらった。
どんな威力してるんだ…ウォールを貫通して俺の体力がさらに半分は削れた。
驚く間もなくアイツが出てきて、煙幕をまいた。それは英断だった。
俺が驚いていたら・・・この攻撃・・・首元まできていた鎌を防げなかっただろう。
「チッ!!どんな体してるんですかねー?」と言って距離をとるShiftさん。
「爆発・・・当たらなくて残念でしたね。もう少しで初負けでした。」と言う俺・・・いやいや、俺はそんな挑発的な事をShiftさんに言ったりしない・・・。後が怖いんだけど…。
ハクから刀をはがしてそれを装備して、Shiftさんに斬りかかった。
「…誰ですかねー?」とShiftさんが問う。アイツの視線はShiftさんの左目をとらえていた。何やら瞳が円形にギザギザがついたような模様名が光って浮き出ている。
「…・・・それは、そのコンタクトの効果ですか?」
「もちろん。鑑定眼を合成改良した唯一無二の鑑定眼!」と自慢げにいうShiftさん。
「俺が別人に見えるのは、俺の体をアシストしてくれている春風のタクトの中の小人ですよ。アシストがつくとつい、調子に乗っちゃうんですよね。ほら、車の運転をするとき人が変わるっていうじゃないですか。あんなふうに。」
「完全な別人ではない・・・か。なるほど?」
【あまり調子にのってしまうと、バレかねないな。】
完全に俺が普段言わない事いってますよ。あの目がなくてもバレそうだけど。
【しかし、かなりやっかいな目を持っいるな。全てを数値かして見極めている。仕方がない。】
刀をしまって、太極珠を装備した。Shiftさんの攻撃を全てかわしながら、魔法陣を錬成して、色々と水の小さな球体やら火の小さな球体を手のひらから作り出して、それを魔法陣にはめ込むように埋め込んで、魔法陣は複雑な模様をもつ。
最後に魔法陣から手のひらサイズの黒い球体がでてきて、それをたくさん手のひらから生み出して浮遊させる。
「ん?なんだ?これは・・・。」とShiftさんが鎌でその球体に触れれば大きな爆発をして鎌が破壊されてしまった。Shiftさんの体力がちょっと削れて、自己ヒールで満タンにした。
そうしてる間にも黒い手のひらサイズの球体は増えていく。
「これに触れなければ問題はない。・・・のか?」と独り呟くShiftさん。
パチンと指を鳴らす音がすれば球体は不気味に小刻みに震えだした。
「ん?なんだ?」と言って動きを止めて、トランプのバリアを張ろうとするが、Shiftさんの体は床へ床へと押し付けられるようにグググとゆっくり膝をついて、手をついて・・・。そして這いつくばる。
「重力・・・だと?」
首から上の感覚が戻ってきた。アイツが俺に喋れって言っている。
「こんな事もできるんですね。・・・えっと‥‥これで終わりです。」と言えばアイツは黒い球体をshiftさんの上に集めて爆発させて試合が終わった。試合が終わると煙幕も消えて視界がクリアになって、体の感覚が全て戻ってきた。
「すんごい衝撃だったぞ。無痛持ちじゃなかったら精神に何かしらの異常が出るレベル。精神きたしたらどうしてくれるんだ?」と言いながら胸倉を掴まれた。
「いや、えっと・・・その・・・。すみません…どれくらいの威力か自分でも分からなくって…小人のAI達が考案してくれる事を素直にのってしまったんです。」
「使っていた武器は太極珠だったな。」
「は、はい。」
「合成してより良い武器を作って・・・次こそお前に勝つからな!!!」と言って掴んでいた手を離して去って行った。
【どうやら、研究意欲が沸いたようだな。何より。】
無痛持ちじゃないと精神に影響がでるって本当か?
【あぁ、出るだろうな。私もそこはしっかりわきまえて無通だと理解して使った大技だからな。】
俺は今の今までShiftさんが無通持ちだって事を忘れてたよ。
【あの千翠ですら、ここまでの技はできないだろうな。】
じゃあ・・・陽子さんは?
【・・・・・・あの子はデキが良い。私が負けても不思議ではない。】
そんなに天才なのか。
しばらくして、試合結果の通知がきた。
【10試合目】
千翠vsアロー 勝者 千翠
りきvsShift 勝者 りき
スドーvsMr.DADA 勝者 Mr.DADA
ユナvsマーマパパ 勝者 ユナ
パンデミック卿vsレイニー 勝者 パンデミック卿
ルピネルvsエムルン 勝者 ルピネル
ダリアvsジョンナム 勝者 ダリア
ラートvsリオ 勝者 ラート
東屋vsスノー 勝者 東屋
ダリアさん千翠さんはほぼ全勝する勢いだ。まぁ…俺は確実に全勝しちゃいそうだけど。
確かなんだっけ・・・これの最後はルナさんと戦うんだっけ。
11試合目はエムルンさんとで、エムルンさん男性で、聖属性の聖なる弓を使って攻撃するタイプで、いつものマグマプールであっさりと倒せてしまった。得意な事は美味しい野菜を育てる事だそうだ。
【11試合目】
千翠vsジョンナム 勝者 千翠
りきvsエムルン 勝者 りき
スドーvsアロー 勝者 アロー
ユナvs東屋 勝者 ユナ
パンデミック卿vsダリア 勝者 ダリア
ルピネルvsスノー 勝者 スノー
ラートvsマーマパパ 勝者 ラート
レイニーvsMr.DADA 勝者 Mr.DADA
Shiftvsリオ 勝者 Shift
次の試合、12試合目はユナさんとだ。下の世界であんな凄いもの見させられたせいか・・・何故か少し緊張してしまう。
この133話を書くのに、何故か12時間はかかりました。
Shiftさんが物語で言っていたように、対戦表を最初に作っとかなかったせいで、順番がバラバラになって最後に試合になってくると、対戦相手が何故かだぶってしまい、どうする事もできなくなって、悩んで悩んで・・・それはもう凄い時間悩みました。申し訳ないです。後悔しかない。132話で、対戦相手が被っていたので、それは訂正しました。ながながとすみません。閲覧ありがとうございます。