【ゴースト属性。】
いつ見ても不気味だ。
今、俺の前には幼稚園児くらいの身長で顔が黒くて、目だけが丸く光っている謎の人がいた。金色のもじゃもじゃの髪に黒いシルクハット、黒いマント、白い大き目の手袋・・・ホラー系のゆるキャラかな?
でもたまに晩餐で普通の人型でパンデミック卿と同じ仮面をつけてシルクハット被ってる姿も見たような…。会議の時も人型だし…。一貫して少しだけ空中浮遊している。
【気を付けろ。幻覚術士だ。】とアイツの声が脳内に響いた。
幻覚術士ってなんだ?
【幻覚術士というのは、幻覚作用のある魔法と数式を使う太極珠に似たような何かしらの武器を用いて、それを上手く組み合わせて戦闘するタイプの事だ。】
変わった方がいいか?
【いや、アレは確か千翠班だったな?関わると俺の身が危ない。アドバイスはしてやる。自力で頑張れ。】
そうか。わかった。
試合は始まっているのに何もしてこない。とても不気味だ。
とりあえずいつも通りハナビにマグマプールを詠唱させた。次にハクで斬りにかかってもらった。しかし、ハクの攻撃はスカってしまった。フェアリー属性か?と頭をよぎった。
【ゴースト属性だ。しかも恐らく…かなりレアなゴーストだ。】
ゴースト属性!?…俺、勝てるのか?
【ふむ…。参考になるかはわからんが、アロー・ラート・ルピネル・Shiftはコイツに勝ってるようだな。スノーとマーマパパはコイツに負けてるのか。Shiftの武器は・・・運ゲーでアロー・ラートは大天使シリーズか。ルピネルはなんだ?ダリアと同じ班の奴と言う事は物理か。なるほどな。ハクの武器には呪いがかかっている。だから弾かれたんだろう。つまり早い話、アイツは物理に弱い。】
え!?ゴーストだろ?普通逆じゃないか?
【だからレアだと言っているだろう。物理有効ゴーストなんてゴーストじゃないからな。ただ…気を付けろ。君の記憶を辿ると、2つの姿があっただろう。あれは恐らく、物理と魔法の無効を入れ替える事ができる可能性があると推測できる。】
・・・やっかいすぎる。ハナビは絶対に待機させておこう。殴る…しかないよな。
俺はウォールにシールドクラッシュを放ってもらうと普通に命中してMr.DADAさんは吹っ飛んでしまった。かなりの威力で驚いた。アローさんに打った時は空に打ってたから気づかなかった。
土煙と共に体力が半分になった人影が見えた。
普通の成人男性みたいな感じのサラッサラの黒髪で右目の下に小さなハートと星の刺青がある黒いスーツを来た人が現れた。体力が半分で名前はMr.DADA…でた…俺が良く知ってる方のMr.DADAさんだ。
でも仮面を外しているところ初めてみた。次の瞬間目の前から消えて驚いた。するといきなり首を絞められた。ジワジワと俺の体力が削れていく。
「あーあ。残念。」
「な・・・なにが…。」
「削り切れなかったでしょう。君も相当な化け物火力だけど…ラートさんやアローさんほどじゃない。」
【マグマプールを詠唱させろ!!】
「マ、グマ…プール!!!」と言えばハナビがマグマプールを詠唱してくれた。Mr.DADAさんはマグマプールに飲み込まれてしまうが体力がもう後300くらいしか残っていない、そんな状態でまた小さな姿に変化してマグマプールが当たらないくらいに浮遊するMr.DADAさん。俺も同じ位置に行くためにフゥに体を浮かしてもらった。
「さぁ。いけ。言霊たち。氷。」とMr.DADAさんが言えば無数の氷柱が俺に襲い掛かる。【避けるな。幻覚だ。】
氷柱を無視すれば氷柱は刺さらずに過ぎ去っていった。
こっちから行かないと終わらないと思って、ウォールの技を何発か打ち込んでみれば、風船が割れるような音が聞こえて攻撃が当たらなかった。
【術で物理無効結界で張ったのだろう。術を術解するのは・・・私は簡単だが、君はそうはいかないだろう。さて、どうしたものか…。】
俺はハクに普通のナイフを装備させた。もう方法はこれしかないと思った。
普通のナイフでMr.DADAさんの体力を削りにいってもらった。すぐに試合が終了した。マグマプールが消えて地面に着地する。俺はハクに再び刀を装備させた。
良かった…ナイフを装備させる事ができて。
【君にしては良くやったほうじゃないか?】
刀に固執する必要が無いって事に気付くまでだいぶとかかったけどな…。
「最後はどうやって削られたんだか。」とMr.DADAさんは成人男性モードで仮面を被って話しかけてきた。
「えっと、俺の攻撃は基本見えないんで…。そういう武器なんです。」
「そうか。」
「DADAさんはどういう仕組みだったんです?2つ姿があるみたいですが…。」
「ん?俺自身がゴースト属性だから全てをすり抜けてしまって不便でね。普段はこの仮面をつけてすり抜けを防止するか、着ぐるみを来て、触れるかの二択なんだ。でも着ぐるみ魔法無効で回復魔法をかけてもらっても回復できないから、この仮面が一番便利だね。これは人のカタチの薄い膜を張ることができるんだ。それだけでなく、人としての行動は全てとれるようになる。食事とかもとれるようになるよ。」
「え?仮面をつけたままじゃ厳しくないですか?」
「触ってみて。」と俺の手を掴んで仮面に押し当てると仮面は透けて肌の感触が伝わってきた。
「うわ…なるほど。仮面ってエフェクトみたいなものなんですね。」
「そうだね。君との試合楽しかったよ。」
「ありがとうございます。俺も…ゴーストの人は初めてで楽しかったです。」
「普通はさ。俺の術式の結界は千翠さんや、東屋君くらいしか打ち破れないはずだから負けるはずはなかったんだけど…どうやったのかな?」
「武器のステルス機能は術やバリアを突破できるんで、それのおかげとしかいえないですね。」
「なるほど?君に勝つのは難しそうだね。」と微笑むDADAさん。
次の試合はジョンナムさんとで、練習場8へ移動する。
しばらくベンチで休憩していると試合の時間になって、ジョンナムさんが現れた。
相変わらず、綺麗な人だ。赤い長い髪をなびかせて、白いフェイスマスクに白い盗賊衣装。この人が暗殺班のトップ・・・なんだよな。
【かわれ。次の試合の準備がしたい。】
次の試合は確か・・・そうか東屋さんだ。俺はアイツに体を委ねた。
試合が開始されてすぐに、黒煙をまいた。それからジョンナムさんとアイツの激しい斬りつけあいが始まった。
アイツのスピードに対応できるジョンナムさんは凄いし流石だなって思ったが、やっぱりアイツのほうが上手ですぐに決着がついてしまった。
ジョンナムさんは無言で会場を去って行った。
【このまま体を借りておく。術式を今から色々練る必要がある。】
わかった。まかせるよ。と言えばアイツは太極珠を装備して、ありとあらゆる術式を使って壁に打ち込んで何かを試していた。数字を見ているのか回路を見ているのか…何がなんだかさっぱりわからない事をしていた。でもアイツの考えが流れ込んでくるから、何がしたいかは理解できる。結界をカーテンをめくるかのような演出で取り去りたいらしい。アイツなりのこだわりなようだ。
【7試合目】
千翠vsスノー 勝者 千翠
スドーvs東屋 勝者 東屋
パンデミック卿vsリオ 勝者 リオ
ダリアvsエムルン 勝者 ダリア
レイニーvsユナ 勝者 ユナ
アローvsShift 勝者 アロー
Mr.DADAvsりき 勝者 りき
ジョンナムvsマーマパパ 勝者 ジョンナム
ラートvsルピネル 勝者 ラート
【8試合目】
千翠vsエムルン 勝者 千翠
スドーvsリオ 勝者 スドー
パンデミック卿vs東屋 勝者 東屋
ダリアvsマーマパパ 勝者 ダリア
レイニーvsアロー 勝者 アロー
Shiftvsルピネル 勝者 Shift
Mr.DADAvsユナ 勝者 ユナ
ジョンナムvsりき 勝者 りき
ラートvsスノー 勝者 ラート