表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RealSocialGame  作者: 無月公主
129/164

【音の無い戦い】

試合開始前、ダリアさんはベンチに座っていた。俺はダリアさんの隣に座る。

「ダリアさん。」

「なんだ?」

「最近新技で、タクトに宿る小人達を俺の体に憑依させて戦闘してもらう事ができるようになったんですよ。」

「…え?」

「戦ってみたくないですか?運営側に近しい小人達と…。」

しばらく沈黙が流れた。そして、ダリアさんは立ち上がった。

「…やるか。変われ。」とダリアさん。

「わかりました。」


試合の時間になって 俺は煙幕を炊いてからアイツと変わった。


先ずは首をグリリと回してコリをほぐす。それからエイボンの太極珠を装備して、速攻でダリアさんの血色とミズホを封印しにかかる、その速さは普通だ。普通にサッと剣に触れて封印した。封印した事によって、特殊能力が封じられる。


ダリアさんは一瞬でそれに気づいて、アキさんを剣にした真っ黒の剣を取り出した。音で全てを避けてきたダリアさんなのに全くアイツの行動を避けられない。ダリアさんは冷や汗をながして呼吸を整える。煙幕のせいで視界は最悪だ。その中でアイツは音を消して行動していた。俺では到底真似できない神業だ。

再び近づいてアキの剣に触れて封印した。次に太極珠を一旦外して、すぐにハクの装備していた刀を持って背後からダリアさんに斬りかかるが、ダリアさんが素早くふり返って剣で刀を受け止めた。

ダリアさんは笑っていた。狂気的な笑みを浮かべていた。強い相手に出会って楽しい時にする笑みだ。

アイツは少しだけ動揺して一旦距離をとった。それが俺的には面白い。

それからダリアさんも完全に気配を消して、音を消して動き始めた。ダリアさんの攻撃をアイツは勘だけで刀を振って受け止めた。

距離をとって煙に紛れて、アイツはまだ振っていないポイントを筋力と素早さにふりはじめた。


【全く…どうして、こんなにもポイントを余らしているんだ。】とアイツの心の声が聞こえた。


俺自身が普段動くわけでもないから、必要な時に必要そうな分だけ振ろうと溜めていた。

今っ!という危機感を感じて、刀を上に向ければ、ダリアさんの剣がキンッとぶつかった。


どうするんだ?勝てるのか?無理なら負けても良いぞ?

【見せてやろう。本物を。】と目をぎらつかせてアイツは笑う。


両者笑みを浮かべながら戦っていた。


アイツが攻撃を仕掛ければ、アキさんの封印が溶けていて、黒い壁に塞がれてしまった。

アキさんは変幻自在の黒い液体のような感じだ。封印の制限時間は30秒。戦闘中の30秒は相当長い。スキルを振ってる間に余裕で時間が過ぎてしまったんだろう。


少し、呼吸を整えてからダリアさんに向かって斬りつけようとする、ダリアさんは反応できておらず、アキの能力がダリアさんを守った。

ダリアさんは大きく目を見開いた。その後も何度も斬りつけるが全てアキが反応して防いでいた。

でもアイツはアキに一度背後を守らせてから正面からダリアさんを斬りつけた。

瞬間傷口からダリアさんは燃える。剣のアキがダリアさんを包んで火を消した。だいぶと体力が削れた。ダリアさんは酷くショックを受けていた。レベル違い…ケタ違いの技術を魅せられて…だ。

とても静かな戦いだ。煙しか感じられない無音の世界。それから、時間もそんなに立っていない。

アキさんは炎を消してまた剣のカタチに戻る。ダリアさんは汗をかいていた。俺は全くかいていない。

次の攻撃で決めてしまおうと斬りつけるがダリアさんはアキの剣で受け止めた。

アイツは【ほう、やるな。】と思った。一度距離をとって、また呼吸を整えて素早く何度も斬りつける。ダリアさんはそれをギリギリで全て受け止めた。

【まだやれるか。】と心の声が頭に流れる。アイツの中でダリアさんをとても面白い奴と捉えられていた。

アイツもアイツで楽しんでいた。【ならこれはどうかな?】と遊ぶように素早くスマートな音のない攻撃を繰り出す。

ダリアさんが段々と攻撃に慣れて、アイツと近しい動きをするようになってきた。動く前に絶対に呼吸を整えて、無音攻撃を心がけていた。歩くとき地面の芝生が揺れぬように、空気が震えぬように、殺気を隠して斬りかかかる。暫らく斬りあいが続いた。


ダリアさんがとうとうアイツの正面から凄い速さで顔面目掛けて突くように斬りかかってきて、アイツはフと笑った。

【ここが闘技場なら、私は負けていたな。】と声が入ってきた。

ギリギリのところで太極珠の結界のようなものが剣を止めていた。それからマントラや円形の魔法陣のようなものがダリアさんに巻き付いて、ダリアさんの動きが止まって、アイツは素早く数発打撃を与えて体力を削り切って試合を終わらせた。

丁度煙が消えて俺に体が戻ってきた。ダリアさんは四つん這いになって動かなかった。

【アレは試合という事を忘れていた。アレ自身の戦闘スタイルを忘れて、完全に剣のみに集中していた。】

なるほど…つまり…アイツは最後はダリアさんの戦闘スタイルになって倒したって感じか。

闘技場を錯覚させるような攻撃を繰り返し、それに集中させたところで魔法攻撃で動きを封印して打撃で仕留めたんだ。


ダリアさんはショックを受けているようだった自身の戦闘スタイルを忘れて戦っていた事に。

俺は気まずくて次の試合相手のレイニーさんが試合する会場に移動した。移動したらレイニーさんはエムルンさんに勝っていた。全身に弓矢を受けたエムルンさんだが、試合が終わるとスッと何事もなかったかのように全て消え去った。

ベンチに座って、全ての試合が終わるのを待った。試合が終われば勝敗結果がホロ画面で通知がくる。

俺の隣に試合終わりのレイニーさんと思われる人が座った。レイニーさんはサラッサラの金髪で長さは腰くらいまであった。そして耳が長い…となるとエルフかな?ラート班にいそうな風貌だけど、ジョンナムさんと同じ暗殺系盗賊系の班だ。でも…雰囲気が全然ソレとあわない。

「……次の…対戦相手だな…。」と声をかけられた。

「あ、はい。何気にこうして会話するのは初めて…ですよね。りきです。よろしくお願いします。」

「レイニーだ。よろしく。……ちなみに神崎系統だ。」

「神崎系統…あぁ。なるほど。千翠さん並みにやっかいな相手ですね。」

「残念だが、私は完璧ではない。だが…弓の技術は誰よりも負けない。千翠様にもな。」

なるほど、弓に自信があるからそれっぽくエルフにしたのか。


ピコンっと音と共に通知が届いた。


4試合目


千翠vsマーマパパ      勝者 千翠


スドーvsラート       勝者 ラート


パンデミック卿vsスノー   勝者 パンデミック卿


ダリアvsりき        勝者 りき


レイニーvsエムルン     勝者 レイニー


アローvs東屋        勝者 東屋


Mr.DADAvsShift       勝者 Shift


ジョンナムvsルピネル    勝者 ルピネル


リオvsユナ         勝者 ユナ 



「では、よろしく頼むよ。」と言われてレイニーさんとの試合が開始された。

レイニーさんの弓は放ってから急にUターンして俺目掛けてくる。この人…弓が得意だって言って…追尾型の弓じゃん…。

クッとウォールが顔を歪めたので「どうした?」と聞いてみれば、目には見えない無数の針が飛んできていると教えてくれた。

暗殺班なだけあるよ…見た目すらも弓専門と思わせるフェイクだったんだ。

フゥで竜巻を起こして、針や弓が入ってこないようにした。複数竜巻を作って、正確な位置がバレないようにして時間を稼いでから、ハナビのマグマプールで倒した。

いつもの戦いスタイルで5試合目が終わった。終わった後レイニーさんは笑いながら「すまない、すまない。」と言っていた。


5試合目


千翠vsルピネル       勝者 千翠


スドーvsShift        勝者 Shift


パンデミック卿vsエムルン  勝者 パンデミック卿


ダリアvsスノー       勝者 ダリア


レイニーvsりき       勝者 りき


アローvsマーマパパ     勝者 アロー


Mr.DADAvsラート       勝者 ラート


ジョンナムvsユナ      勝者 ユナ


リオvs東屋         勝者 東屋


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ