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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【見え隠れする最後の時】

天馬で大きな滝を登って、上の世界に戻ってきた。


体が凄く軽くなった。滝の上には誰もいなくて、聖属性の光が宿った玉がキラキラと輝いていた。

そして直ぐにホログラム画面が【【疫病】イベント報酬がプレゼントされました。】と出てきた。

「疫病ってイベントだったのか。」

「ふふんっ♪情報によると、シンカ様が上手く新薬を作って解決したみたいですわね。でも一番頑張ったのは…東屋様でしょうね。」と声だけが聞こえてきた。

「そうですね。ずっと疫病状態で酷使されてたんでしょうね。」

「ふふんっ♪思ってたより酷い顔はしてないようですわね。」

「ユナさんのおかげです。」

「ふふんっ♪装備も耐性もない人間相手なら…余裕すぎますわぁぁ!!!」と心底楽しそうな声をあげるユナさん。

「普段は上手く刺さらないみたいですね。」と護。

「ふふんっ♪」とユナさんが姿を現して指を奇妙に動かすと護が「うっ!」と珍しく声をあげる。

「どうした?護。」と護の方を見れば、とてつもない変顔をしていて、思わず吹き出して笑ってしまった。


それからすぐにギルドハウスへ戻った。大広間ゲートを潜って目の前に立っていたのは水無月さんだった。

そこでアイツの猛烈な怒りが俺の中に流れこんできて驚いた。その瞬間俺に怒りがうつって水無月さんの胸倉を掴んでしまった。

「………どうされました?」と笑みを浮かべる水無月さん。

黒い俺の感情が前にでてくる。体がいう事をきかない。

「勝手な事をするなよ?」と呟いていた。

護が俺に癒しの光を送ってくれて気持ちが落ち着いて、水無月さんの胸倉を掴んでいた手を離す。

「すみません…色々…あったもので。」と俺は謝る。

アイツの感情が流れ込んで体のいう事がきかなくなるなんて始めての事で自分でもかなり驚いてしまった。

「よく、やってきてくれました。さぁ。お体をお癒し下さいませ。」と静かに微笑む水無月さん。


一度自室に戻った。

お風呂に入ってからパジャマに着替えてベッドに入った。

今日の晩餐はサボリだ、それよりも安心して眠りたかった。そういえば…咲の事も心配だ。元気に…してるかな…。


あぁ、また夢が始まった。でも今回はドロドロしたような感じがしない。とても爽やかな感じがする。

目をあけると青空が広がっていて、俺は咲に膝枕されていた。

「…咲?」

「はい…。」と咲は少し険しいような悲しそうな顔をしていた。

「何かあったのか?」と俺は右手をあげて、咲の頬を撫でるように優しく触る。

「辛い時…貴方が辛い時に側にいてあげられませんでした…。」と涙を流す。

俺の顔にポツポツと咲の涙が落ちた。

「……泣かないで。」と慰めるけど、俺も自然と涙が溢れた。

「りき…さん。」

「本当は…辛かったんだ。色んな人達を騙して、恐怖させて…本当に善人がやるような行為じゃなかったんだ…。世界の魔王を見るような目で…俺に憎悪した目を向けてくる人が何人もいた。誤解を生んだままこの上の世界に転生して…絶対に後からそれが俺を苦しめる事になるって…それもわかって…わかって…たけど…、俺はどうしてもやるしかなかったんだ…。俺は…俺は…僕は…悪い奴だ…。」と泣きじゃくってしまう。

「りきさん…私と逃げませんか?もう良いです。ここで戦っても逃げても…貴方の未来は変わりません。だから…もう私と逃げませんか?」と咲は涙を流しながら俺に提案してくる。

「何度も…何度も逃げようって考えてきた。でもさ…俺、皆が好きで…学校にいた人達も、ここのみんなも…母さんも姉さんもみんなが大好きなんだ。俺が今頑張ろうが俺が逃げようと、俺自身の結果は変わらないかもしれない。でもさ…みんなの結果は俺の頑張りで変わるから…。全部終わったら…一緒に暮らそう。」と咲の頬を撫でていると咲が俺の手を掴んで自分の頬に俺の手を押しあてる。

俺の意識がアイツと共有されるようになって、俺がこの先どうなるかだとかそういうのがもう見えてしまったんだ。


俺は…【リアル】が終わる時、高確率で命を落としてしまう。


終わる時、死なないといけないんだ。そんな未来が何となく見えた。

咲はより一層涙を流していた。この咲はやっぱり俺の妄想が生み出した咲なんだろうか?俺の事を全て理解してくれている。


神様…っているのかな。誰かが俺の未来を変えてくれるんだろうか?


「りきさん!!!」と咲が声をあげると俺は黒い何かに飲み込まれて、下へ下へと落ちていった。


目を開けると、いつもの社長室でアイツがいた。

「君が死ぬ必要等、どこにもない。」とアイツが言った。

「どうしたんだ?最初に会った時は俺を殺す気でいたじゃないか。」

「気が…変わった。私は君を通して色んなモノを見て来た。そして学んだのだよ。君が命を落とす必要はない。犠牲は私だけで十分だ。」

「どうして…どうしてだよ…!!お前は俺の絶対悪でいてくれ…俺の望みはそれだけだ。俺に覚悟はできてるんだ。」

「……君は未来を変えてくれる何かを望んでいたな…私が絶対に君の未来を変えよう。」

「急になんだ?そう言って早々に俺を殺す気か?」

「さぁな。わからないのか?」



俺は目を覚ました。

自分の意志でアイツとの関係を遮断するかのように目を覚ました。

もう聞きたくない。アイツの言葉なんて聞きたくない。

何も聞きたくない…。


寝室の扉が開いて、血だらけの咲が入ってきた。

「咲!?」

「り…き・・・。」と咲はベッドに倒れ込んだ。よく見ると疲労バフに睡眠不足バフに空腹バフが溜まっていた。

「咲!?」と声をかけても咲は眠ってしまっていた。

俺は部屋を出て隣の部屋をノックした。

「護、護。」と声をかければ護はすぐに出てきてくれた。

「どうかしましたか?」

「ごめん、咲が空腹なのと、体の汚れを落としてあげたいんだ。手伝ってくれないか?」

「わかりました。」

護は俺の補助ができるように、だいたいのスキルを満遍なく振ってくれていて、かなりの万能型になっていて、すぐに魔法で咲の体を綺麗にしてくれたから、俺がパジャマに着替えさせて、その後咲に点滴を打ってくれた。


「ありがとう。色々と。」

「りき、辛いのなら、僕の言った事なんて…無視しちゃえば良いんですよ。」

「え?」

そうか…護は…俺の意識を共有して…。

「ううん。大丈夫。俺はやれるだけの事をやる。それだけだ。これは俺の意志で、誰の命令でもない。俺がやりたい事なんだ。だから今まで通りでいいんだ。」

「…わかりました。僕はりきに従います。どこまでも…例えこの身が尽きようとも。」

「勝たないと…どれだけ悪い事をしても勝たないと今までの悪い事が善にひっくり返らないから。」

「りき…。」

「大丈夫。最後は絶対にハッピーエンドで終わろう。俺の目的はそれだけだよ。」

咲が魘されはじめて、俺は頭を撫でた。すると咲は落ち着いて眠りはじめる。

「僕は一度子供達の見回りをしてきます。何かあればゲートで呼んでください。」

「わかった。ありがとう。」


護が部屋を出た後、俺は寝ている咲にそっと…ゆっくり口付けをした。

ポタっと咲の頬に雫が落ちた。いつの間にか涙がでていた。

すると咲が俺の頬を触って「泣かないで…。」と切なそうな顔して見ていた。

「ごめん、起こした。」

「ううん…でも…もう少し…寝るね…。」

「うん、俺も寝るよ…。」

俺は咲に布団をかけて、俺も布団を被って、手を繋いで眠った。



多忙の週は更新日が日曜日だけになります。水曜日すっ飛ばして申し訳ないです。

ストック0の状態なのでご了承ください。できればTwitterフォロー @XXMUTUKIXX よろしくお願いします。なるべく週1で出せるように努力します。ゲーム配信等もやっております。ゲームをしないと、アイデアが…。まじですみません。ブクマ等本当に励みになってます。最後までちゃんと完結させたいと思っているのでお付き合いくれると嬉しいです。閲覧ありがとうです!

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