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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【救済】

村の中に入ってみると白い服を着た人達がちらほらいた。

「ん?よその村から来たのかい?」と白い服を着た男性に声をかけられた。

「はい。まぁ、そんなところです。」

「だよなぁ。服を着てるもんな。」

「えっと、ここは村ですよね?」

「村…か。ここは死者の集いさ。」と白い男性は切ない笑みを浮かべた。

「死者の集い?詳しく伺っても良いですか?」と護。

「あっちに座ろうか。」と男性は横向きに転がっている大きい丸太を指さした。

「はい。」と俺達は丸太に座った。

男性は一瞬ホログラム操作画面を開く動作をするが、すぐに手で額を抱えて首を少しふる。

「旅の人、薪と火はお持ちかな?」と言われて、「焚火ですか?」と聞くと「あぁ。」と返事が返ってきた。俺はホログラム操作画面を出して焚火をだして目の前に置いた。

すると男性は大きく目を見開いてピクリを体を動かした。

「そんな…まさか…でも…。」と男性はブツブツ呟きはじめた。

「どうしました?」

「君は…今も【リアル】のユーザーなのか?」と男性は俺の肩を掴んで聞いてきた。

「え、あ。はい。ここはそもそも【リアル】の中…ですよ。」

「あぁ。そうだ。そうに違いない。……君、死んだわけじゃないんだね?」

「え?死んでないです。あっ…でも。ここは通常の【リアル】の世界じゃなくて下の世界なんです。ここの上が【リアル】の通常世界です。違いはー…色々あるみたいですね。」

「そうか…そうか。」と男性はまた手で額を抱えて首をふる。


【そいつの体は既にない。護、君ならわかるな?】


「え?」と俺は護と顔を見合わせた。

護は目を閉じた。恐らく探りを入れに入ったんだろう。

「どうかしたのか?」と男性は不思議そうな顔をする。

そこで不思議と護の言ってた ゆらぎ を思い出した。呼吸を少し整えて…。

「いえ、なんでもありません。それより…焚火の音、良いですね。癒されませんか?」

「……癒し?いや、俺は特に何も感じないな。」と男性は焚火を見つめる。

「そうですか…。」

「パチパチとした音が…非常に心地よくて落ち着きます。」と護が俺に微笑みかけた。

これが体がある人とない人の違いだろうと推測した。

「あの、ここの人達はみんな白い服を着ていますがどうしてですか?」

「どうしてって…これ以外の利点がないからだ。それより、俺も上に連れて帰ってくれないか?ご主人様が待ってるんだ…。」と男性。

この人は【リアル】ではAI側の人だったんだろうな。

「いえ、実は俺らも迷いこんでしまったんです。出口を探してきますから、見つけたらここにきます。」

「そうか、なら待ってるさ。」

「はい。貴方の為にも早く出口を見つけてきます。」

「頼むよ。」


俺と護はとりあえず、村から離れた。消えない焚火をそこに残して。


村にでた瞬間俺は天馬を出して空に移動した、護もついてきてくれた。

「はぁぁぁ~~~~。」と大きなため息をついた。

「どうしました?」と護。

「いや、だって恐いと思って。体が無い人だらけだったんじゃないか?」

「そう…ですね。そういう事になりますね。」

「幽霊みたいな感じだ。恐すぎる。なんか新しい恐怖感だ。」

「なるほど。確かに。」


【確かに、恐怖だったな。これは面白い。】


「全然面白くない…。」

「そうですね。気味が悪いといえば良いのでしょうか。」


【提案がある。この星に生体反応がいくつかある。全て上に連れて行こう。】


「「は?」」と、俺と護は同時に声がでた。


「待ってください、一体どうやって…。」と護。


【新しいスキルをやろう。】


俺の視界に小さなホログラム画面がでてきて、ゲートスキル【あの世とこの世】を習得しました。と表示された。

「ネーミングセンス…。」


【君の為に分かりやすい名前にしてやったのだ。感謝してほしいくらいだ。このスキルは、下の世界で開けば上へ、上の世界へ開けば下へ開ける仕組みだ。但し、上といっても突き落とされた滝の頂上だ。今帰ろうとしても水無月が待ち構えているだろうな。】


「帰ろうとは思わない、お前が言った通り、生きてる人は上に連れていく。でないと…どうせ…今いる上の世界の人だけをログアウトさせても意味がないんだろう?目覚めない人もでてくる。」


【そういう事だ。】


「長い旅になりそうですね。」と護。

「あぁ。やるしかない。幸い【リアル】ユーザーはここにはいないから戦闘で死ぬ事はないと思う。」

「そうですね。」


俺と護は低空飛行をして、別の町へ移動した。別の町へは護が導いてくれた。

ついた町はボロボロだ。まるで…誰かの記憶で見た貧民街のようだ。


「どうしよっか…。これ。」

「今の生活から救済します、だとか言うしかないかと…。」

「えぇ…まじか。」と俺は困った顔をしてしまう。


【待て、優がやれ。りき、君は隠れてゲートだけ出すんだ。そうしないといけない理由は……後ほどわかる。】


俺と護は顔を見合せて頷いた。


護は天使のパジャマに着替えて、いかにも天使っぽく着飾って、羽をバサッとだして「天使の救済です。ここにいる皆さんを今の生活から救済しにきました。中央に集まってください。」と声が大きくなるメガホンを持って声をかける。空中浮遊モーションで飛んでいるように見えるが、実際は走っている。

俺は自分の中で封印していた透明マントを取り出して、それを被って後を追う。護は時々目を閉じて町の生存反応を調べているようだ。


しばらく中央で待っていると、段々人が集まってきて凄い人数になった。ミルフィオレ全員くらいの人数がいそうだった。奥のほうまでびっしりと人だらけだ。

みんなボロボロで汚れているけれど、現実世界のように体自体までボロボロではなかった。

「みなさん。今から救済の地へのゲートを出します。」と護が言って、俺が【あの世とこの世】ゲートを開いた。

護は聖属性スキル【温かい光】を使っていた。主に寒さを凌ぐ時に使ったり、暗闇を照らす時に使うスキルだ。ちなみに体力が1ずつ回復していく効果もある。

それを使う事によってみんなが謎の温かに包まれて信用しきっているように見えた。

ゲートへ一人ずつ入っていく。


夜中になってやっと全員がゲートに入り切ったようだった。

護は目を閉じて生存反応を調べる。

「一人・・・逃してしまったような気がします。」と護。

「え?どこに行ったんだ?」

「わかりません、遠すぎて感知が難しいですね。」

「そうか。わかった。でも、ありがとう。」

「いえ。僕も嫌だとか言ってる場合じゃないので。」

「よし、じゃあ次の村に進もう。」

「いえ、その前に休息をとりましょう。夜中ですから。」

「そうだな、とりあえずテントをはるか。」


テントをはって、一度眠る事にした。


すると夢を見た。

どうせまたアイツが見せてる夢だろう。

俺達が今いる村だ。そこに幼い少女がいた。少女はゲートを潜っていく町の人を見ていた。恐かった。それがとても恐いものに見えていた。恐くて少女は走りだした。

走って、走って、走って、森の中の奥にある小屋まで走った。

扉をあけると優しい顔をした女性が座っていた。

「おねーちゃん!!」と息を切らしながら声を出した。

「どうしたの?」

「村に天使様がきて…みんなを連れ去っちゃったの!!!黒い穴にみんな入っていっちゃって!!」

「夢でもみたの?」と女性は少女の頭を撫でる。

「ほんとなの!!ねぇ、おねーちゃん!逃げよう?ここにいちゃ危ないよ!」

「村に行ってみないと…。」

「おねーちゃん!」と必死に訴える少女。

「……わかったわ。逃げましょう。」と少女の必死さに負ける女性。

軽く荷物をまとめて森を出て少女と手を繋いでどこかへ歩いて行ってしまった。


更新遅れてすみません、色々予定が忙しく、度々遅れてしまうかもしれません。

ブクマありがとうございます。励みになります。閲覧感謝致します。

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