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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【共有された黒い声】

「あ、起きましたか。」と優しい声で声をかけてくれる護。

「おはよう…川眺めてて…それからどうしたっけ?」

「突然倒れたんです。」と護。

「倒れた…?…そっか。ごめん。任務はどうなった?」

「りきを運んだ後に、やっておきました。アトランティス内の水が綺麗に浄化されて疫病が無くなりました。でも、アトランティスの外は…疫病で充満しています。大手ギルドは今薬を作る事に力を入れてる状況だそうです。最初に作る事が成功すれば大きな利益になりますから。」


【なるほどな…なら、今のうち外へ出て倒れているユーザーを片っ端から殺してしまえ。】


くそっ…また。


「りき?」と護は心配そうな顔で俺を覗き込む。

「あ、ごめん。ちょっとまだ…寝ぼけてて。」

「………嘘は大丈夫です。」

「え?」

「嘘は大丈夫ですよ。僕にも聞こえました。」と切なそうに笑いかける護。

「なんの事だ?」と俺はもう一度白を切る。

【馬鹿者、意識共有だ。】

「そうです。前から聞こえていました。でもそれは僕だけだと思ってたんです。まさか…りきが社長との会話相手だったなんて。」

「……そっか。ごめん。」

「いえ、でも社長は…。」

「あぁ、俺もこれが何なのかまだわかってないけど、コイツ実体は何もできない。俺に悪夢みせたり個人情報を渡してきたりするくらいだから今の所害はないんだ。」


【早く殺しにいけ。】


そんな事出来るわけがないだろう?


【優、説明してやれ。】


その声を聞いて護の顔見た。

「りき…正直、僕は…迷ってます。」と護は俯いた。

あぁ、そうだった。護は…早く、このゲームを終わりたいんだったな。

この選択がどうなるのか…全く想像つかない…。でも…これをやれば確実に終わりに近づくんだろう?


【もちろん。】


「護、話してくれないか?殺した方が良い訳を。」

「りきがこの先…どれだけ権力を持って指示されようとも、絶対に指示をしない人もいます。そういう人には力でねじ伏せるしか方法はないんです。話し合い…それができる相手なら、ミルフィオレの方針にみんなが従うはずです。命がかかってるんですから。ですが、残念ですが世の中には命よりも大切な事があると心から信じている人達もいるんです。そういう人には無理矢理ペナルティにして、最後はログアウトさせる必要があります。今1度殺しておけば手間が省けます。」

「なるほど、うん。わかった。外に殺しに行こう。」


バンッと大きな音を立てて扉が開いた。


【お前たち、私の存在を絶対に他人に言ってはならんぞ。】


頭が軽くなった気がした。アイツが…社長がまた引っ込んだんだ。

部屋に入ってきたのは返り血をたくさん浴びた咲だった。


「どうしたんだ?その返り血!」

「……護、りきに余計な事指示しないで。」

「え?」

「外の感染した瀕死の人たちは…全員私が殺してきた。」と咲。

「なっ…。」

「さすが先輩です…仕事が早い。」と護。

咲はツカツカ歩いて護の胸倉を掴んだ。

「良い?りきにそういう指示はしないで。まず、私に相談して。りきに…そういう事させないで。」と涙を浮かべながら本気で怒る咲。

「咲…。」と俺が止めに入ろうとすると護が手で俺のストップをかけた。

「すみません、先輩。先日の任務でりきが倒れてしまったので、それを挽回したいと言うのでプランを出してみただけなんです。今後は気を付けます。」とニコリと微笑む。

「次は殴るから。」と言うと胸倉を掴むのをやめて、お風呂場へと行った。

「りき、朝食はどうですか?」

「あ、うん。食べに行こうかな。」


俺と護は廊下に出て、しばらく無言で広間まで歩いた。

「……はぁぁぁぁ。」と護。

「………ふっ…ははっ。」と笑ってしまった。こんなに深いため息をつく護をはじめてみたからだ。

「…すみません、先輩と社長に挟まれて耐えきれず。」

「護のそういうところ中々ないから。ごめんごめん。庇ってくれたのにな。」

「いえ。ですが…先輩は恐いですね。」

「うん。恐かったな。でも、咲は俺の事色々考えてくれてるんだな。」

「惚気ですか?」

「ははっ…。」


大広間について護と朝食を食べていると前の席にシンカさんが座った。

「シンカさん、おはようございます。」

「おはようございます。体調の方はどうですか?」とシンカさん。

「今は大丈夫です。」

「また任務を依頼したいんですが良いですか?」とシンカさん。

「次はどんな任務ですか?」

「次は、この世界の端に行ってそこに石を置いて来て欲しいんです。」とシンカさん。

「…もしかして、下の世界の為にですか?」

「はい。下を知るものは極わずかで、その極わずかの人たちは今忙しいですし、疫病感染になったら面倒なので、りきさんが一番適任なんですよ。」とシンカさん。

「わかりました。」

「助かります。」と言ってシンカさんは玉を3つ俺に送ってきた。

「移動はどうしようかな。」

「あぁ、それなら。羽の生えた馬をプレゼントします。」とシンカさん。

「ん?待ってください。馬は乗馬スキルを振った人しか乗れないはずです。」

「それは普通の馬の場合です。羽の生えた馬は、バグで乗れてしまうんです。簡単だったんで、細工しました。」とシンカさん。

「細工…ですか。」

シンカさんから天馬の手綱と天馬が送られてきた。

「まぁ、スキルの有無にかかわらず、馬に乗るのは少し難しいと思うので、練習してから行ってくださいね。」とシンカさん。

「わかりました。」

「石は、置く場所が無いので、適当に三ヶ所感覚を良い感じにあけて水の中に浸けて置いてください。」

「わかりました。」


朝食を終えて早速、ギルドハウスの外へ出て天馬を出してみた。

すると、手綱に乗馬スキルが付与されていて、馬自体には細工もバグもなかった。バグと細工は手綱の方だった。

「これは…一本取られました。」と護。

「ははっ。まぁ。色々あった後だし仕方ない。」

馬はもちろんデカくて、上手く乗れるか不安だったけど鞍の鐙に足を乗せれば、いつの間にか乗れていた。

「凄い。こんなにあっさり乗れるなんて…。護はどうする?」

「僕は飛べるので問題ないですよ。」

手綱を引けば馬が翼をバサバサ動かして空を飛んだ。

「護、練習でアトランティスを一周してもいいか?」

「かまいませんよ。」

カーブする時の操作が凄く難しい。手綱を徐々に片方だけ引いたりしないといけなかった。

練習してから行けというのは本当だった。

慣れるまで少し時間がかかってしまったが、無事操作できるようになって出発した。


いつも貿易などで賑わっていた道。だけど今は人一人みえない。道には人がいないけど、空には人がいた。

恐らく聖属性持ちの人なんだろうと思った。大体の人に羽が生えている。

聖属性の装備に天使の羽なるものがあって、それは聖属性スキル上限突破以上のみが装備できる。

なんだか展開に足を踏み入れた気分だった。

「りき、少しいいですか?」

「あ、うん。どうした?」

「天馬の乗り方もわかったみたいですから、ゲートで最果てまで飛びませんか?」

「え…?飛べるのか?」

「ラストカントリーから下に行けば着きます。」

「あ、じゃあ、飛ぼう。俺てっきり天馬で移動するものだと思ってた。」

「恐らく天馬は…いえ、今は先に石を置きに行きましょう。」と護。

「わかった。」

一度天馬を地につけて収納した。


ゲートで一度ラストカントリーへ行き、天馬に乗って下へ降りていく。

それからちょっと進むと…ミキッコの夢に出てきた場所が視界に写って目を見開いた。

「ここ…だ。」

そこはキラキラとした何かが反射でピンク色に見える海だ。

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