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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【世界樹クエスト】

支度を終えた俺と咲と護は大広間でリリアさんとギルデバルドさんを待っていた。

「あ、丁度良いところに。」とシンカさん。

「おはようございます。どうしました?」

「まだ出発まで30分程あるんで、すみませんが東屋さんに食事を届けてきてもらっても良いですか?」

「わかった。」とシンカさんからご飯と称された飴玉と湿布を受け取って、3人で例の部屋へ向かった。

配線だらけの東屋さんの皮膚に湿布をはって、飴玉を口に放り込もうとすれば…「りき…ですかい?」と弱弱しい声が聞こえた。

「あ、はい。そうです。」

「そこに咲…神崎陽子さんはいますか?」

「いるけど…。」

「なら…これを。陽子さん…アナタに。」と何処からか目の前に巻物が現れて、それを咲が手にとって開いて見てみる。

「これは…結界の術式。」

「アナタなら…これを超える術式で更なる強い結界を作れることでしょうよ…えぇ…。」

「…ありがとう。やってみるね。」


大広間に戻るとギィィっと扉がを開く音が聞こえて、青よりの水色っぽいロングの髪の毛をした女の子と一目でラート班だとわかるプラチナメイルに赤と金の刺繍が入ったマントを纏った、サラサラとした金髪ショートの男性が入ってきた。男性は金色に光りそうで光らない鳥と黒い光を放つ不気味な蝶と女性天使を連れていた。恐らくAIであろう。

女の子の方は大き目のリュックを背負っていて男性の方は手ぶらだった。

「どうもです!こんにちは!スノー班所属リリアです!」と女の子はペコリと挨拶をした。

「リリアちゃん、言い忘れてたけど、それごとインベントリに入れておけば身軽で動きやすいよ?」と男性。

「えぇ!?Σそれを早く言うのです!」

「はははっ、いやぁ、面白いなぁって思って。あ、これはこれは失礼、ラート班所属ギルデバルドです。気軽にギルでいいよ。」と礼儀正しく深々と頭を下げる男性。

「此方こそ、りきです。よろしくお願いします。」と手をだせば、リリアさんが握手してくれて、その後ギルさんが握手をしてくれた。

「後ろの二人はAIですか?」とリリアさんが首をかしげる。

「AIの咲。よろしく。」「AIの護です。よろしくお願いします。」と挨拶をする二人。

「リリアのAIはこの子です!言葉は喋れませんが頭に直接語りかけてきます!」とモフモフした狐を抱っこするリリアさん。【ミーティスです。よろしくお願いします。】と頭に響く。頭というより…耳元で囁かれるような感じだ。

「俺のAIはフェニックスのアルトと蝶化身の五十鈴(いすず)と…天使シリーズに新しく追加されたサンダルフォンのルイ。」とギルさんが紹介するとそれぞれ会釈する。

「それぞれ、平和のブローチをつけて。りき、パーティ申請をだして。」と咲。

AIも含めて全員が平和のブローチをつけて、パーティを組んだ。

「ゲートは俺が出すよ。」とギルさんがゲートを出してくれた。そこにみんな入って行く。


ゲートの先は世界樹と呼ばれる木の下。

木自体には登ってゆくところがないし、巨大な緑色の蔓が三つ編みにされたような木だ。

葉っぱはチラリと落ちるが床に着く前に消えてしまう。木漏れ日がキラキラとしていて幻想的ではある。

その木の前に高さ2メートルはありそうな縦長に丸い異次元と繋がってそうなゲートがあった。

「さぁ。入って。」とギルさん。

指示通りに入ると大きな木の根元に出た。

先ほどみた世界樹の木を何倍にもした大きさだ。蔓がねじれていて、そこを歩いて登っていくようだった。

「オカシイな。いつもならここは人が賑わっているはずなのに…。」とギルさん。

「そうなのですか?ってうわぁ!!さっそく魔物なのです!!」とリリアさん。

目の前には大きなスライムにいくつも目がついた奇妙な魔物がのそのそと此方に向かってくる。

「いけっ!リリアちゃん!肩慣らしに獄炎の書の最終章をかましてみよう!」とギルさん。

「えっ!?えっ!?最終章!?」と慌てながらぶつぶつと詠唱をしていく、詠唱が進むごとに足元に魔法陣が現れたり足元の魔法陣の光が強くなったりしていく。

「ひゃあぁぁぁダメなのですぅ!!!」と詠唱をやめて足をバタつかせるリリアさん。

「あっははは。ダメだよ詠唱やめちゃ。」と呑気に笑うギルさんが片手剣を持つと蝶化身のAI五十鈴さんが何やら黒く光るオーラを剣に纏わせた。その剣で近づいてきた魔物を斬れば魔物は消滅した。

「さ、進もうか。」とギルさんはニッコリ笑顔で俺達に言う。

「あ、はい。」


「さっきの魔導書…獄炎の書・冥?」と咲がリリアさんに聞く。

「は、はい…でも、どれも一度しか成功した事がなくて…。」とションボリとするリリアさん。

「さっきはどうして失敗しちゃったの?噛んだ?」

「いえ、私は暗記済みですし、噛んだりもしないんです…ただ…。」

「リリアちゃんはジッとする事ができないんだよね?」とニコニコしながら言うギルさん。

「そうなんです…どうしてもジッとしていられなくて・・・動いてしまうんです。」

「そ、そうなんだ。」

「そこがリリアちゃんの可愛いところなんだよね。」とギルさん。


その後も幾度か魔物と出くわし、咲がワンパンして倒したりギルさんが倒したりとしてすっかり夜になった。

「さて、じゃあ結界をはるね。」と咲。

「うん。」

咲は東屋さんから貰った巻物を装備して、そこらに青白く光る得体のしれない数字の羅列を空中に浮かべていく…それが何個も何個も出され、それは列になって前に東屋さんが敷いてた結界のような形になった。大きなドーム型の結界で青白く光る数字がとても綺麗に見えた。

「よし、完成!じゃあテントを張って野営の準備だね!」と咲は機嫌よさげにテントを張る。

テントを張ると言っても現実世界みたいに杭を打ったりしないといけないわけではない。ただ、テントを取り出して置くだけだ。

テントの中は風呂もあればテーブルやフカフカなベッドだってある。簡易部屋とでもいうべきだろうか。

「リリアちゃん、俺…ドジだからテントを忘れてきてしまったよ…だから外で野宿するね。」とギルさんはションボリと悲しげな顔をしてリリアさんに言う。

「なっ!?…それは大変なのです…リリアのテントは部屋が余ってるので一緒に使うです。」とリリアさん。

「わぁ!なんて優しいんだリリアちゃんは。こんなドジな僕に部屋をわけてくれるなんて。」と演技っぽいギルさん。

「なんでも良いけど、見張りは必要。リリアが寝てる間はギルが外で見張り。」と咲。

「チッ。」とギルさん。

「りき、先にギルと見張り頼める?」と咲。

「あ、うん。」

「僕も見張りに残ります。」と護。

「ギル君お願いしますね。」とおどおどしながら聞くリリアさん。

「あぁ、まかせて。」と笑顔のギルさん。

テントの外に椅子を出して、野営らしく焚火を真ん中において椅子に座る。


先程まで常に口角をあげていたギルさんの顔が今は真顔だった。

普通になんか強そうなオーラがでてて、恐いんだけど…。

「りき君は…リリアちゃんを邪魔だと思ったかな?」とギルさん。

「いえ、別に。なんなら俺も何もしてませんし。」

「なら良かった。護君…キミから見て、リリアちゃんはどうかな?」とギルさん。

「僕は…。」

「君がただのAIじゃない事くらい俺にはわかってるよ。」とギルさん。

「…なら、率直に…彼女の借りている体はバグっています。回路が一つ閉ざされている。」

「っ!!やっぱり…治す事は可能か?」

「正直、ここの世界の体は現実世界の体と大差ないほど良く作られています、回路一つ治す事が難しいんです。でも…脳にあたる部分の回路ですから、何か特別な刺激を与えれば治る可能性はあります。」

「そうか…。わかったよ。ありがとう。」とそこでまた柔らかな笑みを浮かべるギルさん。

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