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RealSocialGame  作者: 無月公主
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【意識共有】

自分の部屋の扉をあけた。

リビングの机で咲が眠っていて、護は散らばった紙やデータを片付けていた。

「あ、お帰りなさい。すみません、随分と一人にさせてしまったみたいで。」と護。

「ううん、いいんだ。それより、寝てるって事は完成したのか?」

「はい。さすが先輩です。きっと完璧に問題なく作動するでしょう。」

「へぇ…。凄いな…。」と言いながら俺は椅子に座ってため息をついた。

「何かありましたか?」

「え?」

「いえ、ため息をついてましたから。」

「え?あぁ。うん。アップデート内容が頭に入ってるかどうかテストしないと外に出られないルールになるみたいで…テスト勉強の事考えると憂鬱で…。」

俺も内心スノーさん達派だからな…。

「ふむ。意識共有してもかまいませんか?」と護。

それは確か…シンカさんもルナさんに…。

「それってどういう技なんだ?」

「意識共有ですか?……そうですね…、りき、今のアナタは【リアル】のパソコンです。りきという名前のパソコンなんです。ここまで大丈夫ですか?」

「うん。」

「パソコンには…ハードディスクっていうデータを保存する部品があるんですが、それが【リアル】での記憶です。」

「難しくなってきたけどわかるよ。」

「はい。そこに僕のデータを共有状態にしておけば、りきが欲しい時にほしい情報を得られるわけです。アップデートの内容を1回読むと、よりスムーズに出てくるようになりますよ。」

「……お願いしようかな。とても覚えきれる量じゃなかった。」

「データはありますか?」と護に言われて、俺はもらったデータの場所を護に教えた。

護は向かいの椅子に座ってじーーっとアップデート内容が入ったデータを眺める。

「確かに内容量が多いですね。……1日もらえますか。とりあえず睡眠不足と疲労がたまってて、少し気だるいので休憩してから…。」と言いながらあくびをする護。

「あ、うん。無理しないでゆっくり休んで。咲は俺の部屋に運んでおくよ。」

「ありがとうございます。」

眠っている咲の体をお姫様抱っこして、護が寝室の扉をあけてくれたからそのまま入ってベッドの上におろして布団をかける。

俺も眠ろうかと思ったけど、晩餐があるんだよなぁ。

そういえば…今いる部屋で十分かと思ってたけど、部屋が足りないんだった。

ポイントも随分溜まってるし、拡張するのもありかな。晩餐まで時間もないし、さっさと拡張してこよう。

俺はゲートを開いて初心者村にきた。

ゲートからすぐ近くにあるムーンバミューダ社の公式ショップに入って部屋拡張カードを買って外へ出るとシンカさんが立っていて「うわぁっ!!」と驚いて声をだしてしまった。

「不用心だと思いませんか?」とシンカさん。

「シ、シンカさん。どうしてここに?」

「今って一応幹部以外のギル員には待機命令をだしてるんですよ。東屋さんが裏で行動監視してくれてまして、りきさんの位置が初心者村に変わったと即時報告がきたもんですから急いできました。」

「え、あ…晩餐からだと思ってました。」

「晩餐の準備があるっていうのに良い迷惑です。早く戻りますよ。今外は危険なんで。」

「は、はい。」

シンカさんがゲートをだして「お先にどうぞ。」と言うので先に入ってみればギルドハウス内の厨房だった。

「で?何しにあんなところまで?」

「部屋を拡張したくて…。」

「それ今じゃなくても良くないですか?」とシンカさんはコーヒーメーカーのような見た目の不思議な装置で不思議な色をした液体をいれて、液体の入ったフラスコに草のようなもの人差し指と親指ですりつぶしていれてからフラスコを振る。

「…何をしてるんですか?」

「東屋さんの栄養剤を作ってるんです。空腹バフと睡眠不足と疲労解消効果がある栄養剤です。」

「え…栄養剤ですか。」

「今、随分と無理させてしまってるんで。」とシンカさんは黙々と栄養剤とやらを作り進める。フラスコの中の液体をコーヒーメーカーのような装置に突っ込んでいくとビー玉のようなものが出来上がっていく。

「へぇ・・・。」

シンカさんは出来上がった玉を袋に詰める。それからハーブっぽい草を何種類か出して、すり鉢にいれて棒ですり潰す。

「それは何を作ってるんですか?」

「……湿布です。集中力を高めて、癒し効果があります。」

「それも東屋さんにですか?」

「はい。」

すり鉢に少しの水をいれて、どこからか出てきた粉をサラサラといれて棒で混ぜて、次に紙を取り出して、そこに簡単な魔法陣のような図形をかいて、すり鉢の中身をそこに垂らすとピカっと光って、光が収まると、見たことがるような白い湿布が完成していた。

「さて、これを東屋さんのところに持って行きましょう。今日はマグ子さんに別の用事を頼んでいていないので自分達が行くしかないんです。これはよくある事なんで次からりきさんが一人でもできるように、ついてきてください。」と言ってシンカさんはゲートを出した。

底に入ってみると、配線だらけの部屋に目を何かの機械で覆っていて、頭にあらゆる線が張り巡らされている帽子を被っている物体が黒いリラックスチェアに座っていた。

「…もしかして東屋さんですか?」

「はい、良いですか?飴玉は口に突っ込んで下さい。それから湿布は服を開けて胸部に貼り付けてください。」とシンカさんは丁寧に見せながら説明してくれた。

「これ…どういう状況なんですか?」

「…ふむ。まぁ…この線一本に10人分の思考をつめてさらにそれを枝分かれさせてギル員分の人数にして、行動を監視する機械とでもいいましょうか…ギルド内にいる天才を集めて作った最高傑作の装置です。」

恐らく…ギルド内の神崎グループで作ったんだろうなと推測した。

「しばらく東屋さんはこれなんで、マグ子さんが留守の時はお願いします。」

「は、はい。」

東屋さん…今日休憩させてもらえるはずだったろうに…可哀想に…。

「さ、帰りますよ。」とシンカさんがゲートを開く、入ってみれば自分の部屋の前で後ろを振り返るとゲートは消えていた。

どうやら部屋まで送ってくれたようだ。

部屋に入ると、リビングに扉がもう1つ増えていた。入ってみると12畳くらいの広さの部屋で床が芝生で壁紙が青空の広がるひらけた景色の空間で、ヴァルプルギスの時ルナさんがお茶してた空間とそっくりだった。

俺の部屋が今たしかそういうセットだからか。新しい部屋を作るとデフォルトでこうなるのか。

家具はさすがに咲と相談して置くか。俺、センス無いし…。いや、待てよ…。俺は春風のタクトを握ってスゥを呼び出した。

「どうしたんでスゥ?」

「スゥ、ごめんだけど、この部屋にあう家具を決めてくれないかな。カタログはこれなんだけど。」といって公開ホログラムに今持っている家具のカタログを表示させる。前に咲が家具をあれこれ買い込んだ残りだけど…。

「どういう用途の部屋なのですぅ?」

「もう一つリビングみたいな部屋がほしいなって思って。」

「了解ですぅ♪」

スゥがあれやこれや家具を選んでくれて、配置も手伝ってくれて、あっという間に部屋が完成した。

現実世界と違って、タッチパネル操作だけで部屋が完成するのは楽でいいな…。

シンプルだけど、薄い色の木のテーブルに白いマーガレットの花がプリントされたフカフカなクッションがついた椅子が4つ。心地よいそよ風までついていて、俺的には大満足だった。

「ありがとう、スゥ。」

「お安い御用なのでスゥ♪」と言ってスゥは消えていった。

そして時計を見ると丁度晩餐の時間間近な時間になったので、広間へ行く事にした。

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