虐殺 第二話
申の刻(午後3時ほど)、大浦軍により再び浄満寺への一斉射撃が行われた。矢の嵐に襲われる籠る兵と町衆ら、元から外でうろついている者は少なかったものの、また血を流す羽目になる。
そして次に大浦軍は大きな丸太を持ってきて……浄満寺の前門へ勢いよくぶつけた。相手には守る者もいないし、所詮は防備を考えて作られた寺ではない。呆気なく破れ、戸は粉々に果ててしまった。一気に境内が視界に広がり、音に驚いて仏殿や庫裏から出てきた者らがこちらを見て……思わず逃げる。ただし走って追おうにも、足場は折れた矢が散らばっていつのはもちろん、未だ片付けられていない死体、死体、死体……。中には鎧も身に付けぬ町衆もいるわけで。攻める側としては思うところありながら、一歩一歩前へと進む。辺りを警戒しつつ……横から矢が飛んでくるか、銃弾が放たれるか……。ただただ籠る者らは開かれた襖の奥にて刀を両手で持ち、怯えながらこちらへと構えていた。槍を持つ者も、女子供はさらに奥で互いを抱きしめながら震えている。
だからといって、降伏の意志はない。従うより死んだ方がましだと言わんばかりである。しかしそれでも戦うか。数多の傷を受け、大将はもちろん不在で……抗いたいがために抗っているだけ。戦う必要のなかった戦いなのだ。ただ静かにしていればよかっただけなのだ。それをいらぬ意地を張り、“じょっぱり”の心を露わにし、自ら死に行こうとする……。
大浦兵は彼らに近ずく。一歩ずつ、ゆっくりと歩み寄る。籠る者らは……震えが止まらない。思わず後ずさりする者もおり、かといって逃げ場はないのだが。この寺の外は……すべて囲まれているのだから。
すると誰かが馬鹿でかい大きな声を上げた。悲鳴ではないがどことなく哀しさを含む怒鳴り、結果としてそれは "鬨の声" となり、籠る者らを奮起させた。そうだ、戦わなければ生き残れぬ。絶望しか感じないが、戦ってこそ極楽浄土へもいけるに違いない……いや、その実は生きたいのだ。生きたいという潜在意識はあれど、うやむやにせあるを得まい。今は叫び声をあげ、目の前の敵を殺すのみ……。




