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津軽藩起始 油川編 (1581-1585)  作者: かんから
第七章 浪岡無血開城 天正十三年(1585)三月一日
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禅譲 第二話

 為信は襖の袂より、広間の奥まった方にいる弟へ大声で話しかけた。



「そういうことだ、信勝。」


 信勝は御所号を捨て置き、兄為信をまじまじと凝視する……。為信はかわいそうな目で弟信勝を見つめた。兄の後ろには鎧兜を被った武者らが控え、広間へ入る指示を今か今かと待っているようだ。




 ……前の方へ信勝が気を取られていると、横より白取がずがずがと近づき、御所号の肩を力づくでつかんだ。白鳥の荒い扱いにも関わらず、御所号は抵抗することなく彼と共に襖の方へ。すんなりと為信配下の者らへ引き渡された。……そんな御所号に為信はわざと恭しく一礼をする。そして口を開いた。


「御所号の地位をお譲りいただき、誠にありがたきことで。あなたのお身柄は、大浦家が責任を持ってお守り申し上げまする。」



 そんな威勢のよい声に対し、御所号はさぞくたびれた様な声で “あいわかった” とだけ応え、為信の兵らによって見えぬ方へ連れられていく……。そんな様子を見て白取は大いに笑った。


「これで浪岡北畠氏が元に戻るなどということはない。油川も明日には潰える。殿の天下でございますな。」




 しかし為信は笑おうとはせぬ。キッと白鳥を睨みつけ、存外な行いに白取はその場に固まってしまった。



「白取殿。これからは私があなたのお(かみ)でございます。あなたの身分や所領は保証いたしまするが……せいぜい励まれよ。」




 次に信勝の方へ歩み寄り、その場に力失い座っている彼の元へ膝をついた。為信の顔に表情はなく、結局はさまざまな感情こそあれど、どのような顔つきで話し出せばよいのかわからぬのだ。だがその顔は弟にとっては……末恐ろしくみえただろう。





”おぬしは、よう頑張った。もう苦労をせずともよい”


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