不本意 第二話
「結果として信勝殿は殿と白取様を結び付けた立役者。他の津軽衆もきっと信勝様を見直し、温かく迎え入れることでしょう。」
白取は再び盃に唇をつけ……静かにすする。そして口に含んだモノを呑み切った。……白取は沼田に問う。
「しかし信勝は奥瀬と為信……いや、今や殿か。殿の娘とを結びつけようとしてなさる。これを沼田殿は止めようとなさらないのか。」
沼田は悪人の顔をした。騙す顔、地獄の主が微笑んだような……。
「何も知らぬまま進めてくださるのがよろしいのです。何も知らぬままが……」
白取様とて頭はよろしいのですから、わかりましょう……。
すこしだけイラつく白取。しかし仕方ないから考えてみるか……。信勝は奥瀬に話を持っていく。あいつのことだ。奥瀬をうるさいくらいに説得にかかるだろうから、最後には根負けするかもしれない。ただし実は為信側には娘を差し出すつもりはないし、果たしてどうするのか。しかも信勝には “話を進めてくれ” と嘘を伝えているという。
……しばらくして、白取ははっと気が付いた。
もしかして……と驚きの表情を沼田に見せ、すると沼田は……鼻で笑った。
「人を駒として使うときは、非情にならねばなりませぬ。」
つまりすべてにおいて信勝は、策を用いた張本人ということになる。本人の意図せぬままに、他者からはそのようにみられる。
「奥瀬は油断するでしょう。殿の実弟がめでたい話を持ってくるのですから、戦など疑うはずはない。それにいくら問い詰めたところで、信勝殿は心の底から、事を成そうと動いておられる。疑う余地などない。なのに果てには……白取様と大浦を裏で結び付け、奥瀬を偽の話で騙した悪人として、大浦家中では功労者として迎え入れられましょう。」




