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津軽藩起始 油川編 (1581-1585)  作者: かんから
第三章 狄狩り 天正十一年(1583)夏
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蝦夷荒 第四話

 兼平(かねひら)も十分にわかっている。だが人との繋がり、絡み合う利害。特に兼平氏は本拠の兼平村とは別に、西浜の田野沢(たのさわ)(=大戸瀬(おおとせ)漁港)も勢力圏だ。いつしか鯵ヶ沢(あじがさわ)の商家長谷川と合同で他国者の引き入れを行うようになっており、言わば他国者の利益の代表者でもある。特に六羽川合戦以降、深浦が安東領になったおかげで、目と鼻の先まで安東領に変わった。(現代の深浦町の領域ではなく、港町の集落としての深浦と思ってほしい)緊急時に対応する武力として他国者が入用なのだ。


 エゾ衆の言い分はわかる。他国者が嘘をついているのもわかる。だが馬鹿正直に “嘘” を見抜くわけにはいかぬのだ。罰するとしてもそれは軽いもの……。なにもエゾ衆にその身柄を引き渡し、むざむざと殺させるわけには参らぬ。何も利が欲しいわけではないが……それで家の者は食っていけるのだ。


 もちろんエゾ衆が交易でもたらす利も見過ごせない。彼らは北方との繋がりを以て、珍しい動物の毛皮や食べ物などを仕入れてくる。それら商人は商家長谷川にとっても重要なモノ。理右衛門はどのようにお考えであるか……と、兼平は隣の理右衛門をチラリと見る。



 すると理右衛門はたいそう穏やかに、エゾ衆へこう伝えた。


「角兵衛というやつは生粋の乱暴者故、他の者はそうでもないから安心なされよ。彼も教え諭せば同じ津軽の民になりえる。赦してはくれぬかのう……。」



 “しがらみ” ということでいえば、エゾ衆と商家長谷川は商品取引で密接に関係している。エゾ衆は持ってきた商品を商家長谷川に売り、代わりに和人の産物を得ているからだ。なので兼平に強く文句を言えても、理右衛門にはどうもしり込みしてしまう。……そして理右衛門は同じような口調で続けた。


「ただし他国者が狼藉を働いてしまうは、落ち着いて暮らせる場所がないからだろうの。そこでじゃ。エゾ村に自由に他国者が出入りすることを許してほしい。そして耕しておらぬ土地を彼らに貸し、代り彼らから産物をいくらか貰えばいい。どうであろうか、草ぼうぼうにしておくよりかはいいと思うが。」


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