表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/79

第44話-2 触れ合い【アトリ】

 やっと……やっとルードと触れ合えたぁ……。

 勇気を出すのに五日もかかっちゃったけど、やっと触れ合えたぁ……。

 それだけで嬉しくて、恥ずかしくて、『わ~』って叫びたくなっちゃうけど、この静かな時間を壊したくなくて……ずっとこのままでいられたらいいのにって思ってしまう。


 でも、それはダメ。

 私は、絶対に、捧唱の旅を成し遂げなければならない。

 だから、捧唱の旅の間は、ルードへの『好き』を我慢しなければならない。

 それに……私が『好き』を伝えたせいで、今の関係が壊れるのが……すごく、こわい。

 今の関係だけですっごく幸せだから……これ以上幸せなことはないかもって思えるくらいだから……どうしても壊したくないって思ってしまう。

 だから、捧唱の旅の間は、このままでいい。『好き』を伝える勇気がないだけだって言われたらそうかもだけど、このままでいい。


「すぅ……すぅ……」


 …………?


 ルードの方から寝息が聞こえてくるけど……もしかしてルード、寝ちゃった?

 もともと寝るつもりでこの部屋に来ただろうし、寝息もそのままだから……やっぱりルード、寝ちゃってる……よね?


「!?」


 ル、ルードが、こっちに倒れてきた!?

 どどどどうにか支えることはできたけど!

 下手に押し返して、ルードが向こう側に倒れたらベッドから落ちちゃうかもだし……どうしよう!?

 

「……あ」


 一つ、解決策が閃いちゃったけど……それはちょっと恥ずかしいような……でも、やってみたいような……。

 ルードを支える腕が痺れてきたし、もう考えている時間もないから、やっちゃおう……かな。


 急速に頬が熱くなっていくのを感じながら、お尻を後ろにズラして深くベッドに腰掛け、そ~っとそ~っとルードを私の方に倒していく。

 そして、倒したルードの頭を太股の上に乗せて……膝枕の、完成……ですっ。

 あぅ……これ、思ってた以上に……恥ずかしい、かも。

 でも……これ、思ってた以上に……いい、かも。

 ルードの倒れ方と、太股から伝わる感触からルードの頭の位置を把握し、そっと撫でてみる。

 

「むふ~」


 頬がとろけそうなくらい緩んじゃう。

 ルードよりも体が小さい私が言うのもなんだけど、ルードって本当に子供みたいに小っちゃくて、聞こえてくる寝息もどこか幼くて……ルードはこんなこと伝えられたら嫌がるかもだけど、かわいいって思っちゃう。


 昔、お婆様に膝枕をしてもらった時、何度も何度も頭を撫でられたことがあったけど、たぶんお婆様もこういう気持ちになったから、ついつい私の頭を撫でちゃったんだと思う。

 起こさないように、そ~っとそ~っとルードの頭を撫でている内に、なんだかウトウトしてきて、私は座ったまま深い眠りに落ちていった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ