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第43話-1 翌朝【ルード】

 朝、目が覚めたら、すぐ目の前にアトリの顔があることに気づき、硬直してしまう。


 昨夜、アトリを寝室に連れて行き、ベッドに寝かせて離れようとした時、アトリに引き留められて、ベッドに引っ張られて……。


 いくらなんでも『一緒に寝て』と伝えようとしているわけはないだろうと考えたが、引っ張られて以降はアトリからは何も反応がなくて、意を決してベッドに入ってみたらアトリは全く拒まなくて……。


 顔を向け合おうものなら一睡もできない自信があったから、アトリから背を向けたら、彼女の方から寄り添ってくる気配を感じて……。


 アトリをベッドに連れて行く前に、娯楽小説で見たそういう場面が脳裏をかすめた手前、眠りにつくのがとことん遅くなってしまい、いつの間にか熟睡してしまって……。


 ――で、目が覚めたら()()、か。


 眼福だが、さすがにこの状況は気恥ずかしさの方が勝るな……!

 しかし、こんな安らかな寝顔を見せられると……やはりアトリは、本当に俺に一緒に寝たかったのだろうか?

 もちろん、いかがわしい意味ではなく、添い寝という意味でだが。


 そこまで思索に耽ったところで、気づく。

 この建物に近づいてくる人間の気配を。

 気配からして、十中八九パノンだと確信した俺は緊張を緩めるも、よくよく考えたら今の状況をパノンに見られるのは別の意味でまずいことに気づき、慌ててベッドから出ようと上体を起こした。が、それがまずかった。

 俺が上体を起こしたことに反応したのか、アトリは反対側に寝返りを打ち、ベッドから落ちそうになる。

 俺は慌ててアトリを抱き締め、落下を食い止めるも、その後の惨事までは食い止めることができなかった。


 パノンが寝室に入ってくる気配を感じ取る。

 当然、俺はベッドの上でアトリを抱き締めたままの状態で、それを見たパノンは、グリッツを思わせるほどの暴力的な殺気を室内に充満させた。


 ――これは……グリッツと対峙してる方が余程マシだな。


 そんなくだらないことを考えつつも、腕の中で眠り続けるアトリを起こさないよう気をつけながら、パノンの方に向き直った。

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