第9話-2 肌と肌を【アトリ】
ルードくんは隣に座り、マントの反対側を受け取りながら肌を密着させてくる。
うん。当然そうなるよね。
あ~~~~~~~~も~~~~~~~~なんでこんなことしちゃってるの私!?
いや、でも、私だけあったかくしてるなんてダメだし、そのせいでルードくんが風邪を引くのは嫌だし……でもでも、マントを返してもルードくんは絶対に受け取らないだろうし、そんなことしたらマントをかぶせてくれたルードくんに失礼だし……ルードくんと一緒にマントに包まることは間違ってないっ。
間違ってないけど……恥ずかしい……心臓が爆発しそう……。
ドキドキするどころか、ドッキンドッキンするぅ……。
肌着着てるから胸は見えないと思うけど、生地が薄いせいで透けてたりとかしてないよね?
あぁっ! そういえばもう三日間、湯浴みも水浴びもしてないんだった!!
に、においとか大丈夫だよね!?
汗臭くないよね!?
あ、でも、あぁ……今さらだよね……。
さっきあんなに強く抱き締められて……私もルードくんも服を脱いでて……でも、全然いやらしい感じはしなくて…………すごく、ドキドキした。
恥ずかしくて死にそうだったけど、全然嫌じゃなかった。
身も心も委ねてしまいたくなるような、そんな気分にさえなった。
実際にそんなことしちゃったら、恥ずかしくて死んじゃいそうだけど……。
ルードくんの方にコテンと首を倒し、体を預けてみる。
ルードくんの体がビックリするように震えたけど、すぐに私を支えるようにドッシリとしてくれて……すごく安心する。
私の方がちょっとだけお姉さんなのに、ルードくんの方がはるかに凄くて、頼り甲斐があって……ダメだとわかっていても、つい甘えてしまう。
ルードくんの役に立ちたいと、ルードくんに頼り切りじゃダメだと思っていても、ついつい甘えてしまう。
これって私、ルードくんのことが、す、す、『好き』って……ことなのかな?
でも……う~ん……でも……さすがに違う、よね?
だって、たった二日三日一緒にいただけで『好き』になるなんておかしいもん。
一目惚れって言葉は知ってるけど、目の見えない私には関係のない言葉だし、やっぱり『好き』というのは違う……かもしれない……と思う……気がする。
う~ん……だったら、弟ができた感じ?
でも、ルードくんに頼り切ってるせいで、どちらかというと私の方が妹みたいになってる気がするぅ……。
そんなことを考えているうちに段々眠たくなってきた私は、ルードくんに体を預けたまま、ゆっくりと眠りの底に落ちていった……。