TONIGHT
今夜もまた、一人の夜。
思い出と共に去っていった君は、どこで何をしているのか。
もう、別れたのに、君のことばかり。積もって溶けない雪のように、僕の心に残っていく。
暗い暗い、僕の心。部屋がどれだけ明るくても、僕の心は暗いまま。
未練しかない。それ以外には、何もない。
何も感じない。
それが、辛い。
泣きたいのに、泣けない。
全てが君のせいで、僕のせい。
被害者で、加害者。
あれだけ吸いたかった煙草に、火をつけても、吸いたくないと思ってしまって。結局、虚無感がただ風に乗って、流されるだけ。
君の顔が鮮明に浮かぶ。
もう一度出会えたら、抱きしめたい、キスをしたい。したいことがたくさんあるのに、それをしてこなかった自分が、憎い。
君を、抱きしめられなかった、キスなんて、できやしなかった。
僕は君に、何もできなかった。
与えたのは、ただ大きな傷だけ。
君に、会いたい。
心からそんなことを言っても、心からそんなことを思っても、君はもう、ここにはいない。
神様は、いない。
ベランダに出て吸った煙草が、やけに寂しく、寂寥だけを届きもしない誰かに、流していった。